みずむし・たむし(白癬)
根気よく治療すれば決して治らないものではない


 医学的には「白癬」といいます。俗に、しらくも(頭)・ぜにたむし(体)・いんきんたむし(うちまた)・みずむし(足)などとも呼ばれます。原因となる白癬菌はカビの一種で、皆さんの食卓に上がるキノコときわめて近い性質を持ちます(キノコは「菌糸体」と呼ばれるカビの集合体です)。

しらくも(頭部白癬)
 菌の感染場所は、おもに毛の本体にあり、炎症やかゆみは意外と強くありません。このため頭の「湿疹」と間違われ、こじらせてから皮膚科へ受診される患者さんが少なくありません。まちがった治療が続くと菌が頭皮深く進入して毛根を破壊し、「ケルスス禿瘡(とくそう)」といわれる重症型になることがあります。こうなると、毛根が破壊されるためそこの毛が永久に生えてこなくなることがあり、ちょっと注意が必要なものです。たむし・みずむしに比べると患者さんは多くはありません。しかし、そこが落とし穴で、専門医でない人による誤診の下地となっています。

ぜにたむし(体部白癬)
 手のひら・足のうら以外、ウブ毛の生えているところならどこにでも生じます。発疹の形がコンパスで描いたようにきわめて正確な円形になることが多いため「ぜに(銭)」たむしと呼ばれます。その発疹の中央部分は自然に治っていることが多く「中心治癒傾向」と呼ばれます。その結果、発疹は「輪のような形」になります。白癬の中ではわりあい治りやすいものです。ネコの白癬が人に感染することがあり、その場合小さな発疹がからだじゅうに多発します。

いんきんたむし(股部白癬)
 ムレて菌が感染しやすい内股(うちまた)に生じたもので、発疹の性質は体部白癬とほとんど同じです。

みずむし(足白癬)
 おなじみの、白癬の代表選手。足の指のあいだにカサカサや、フヤケを生じるもの(趾間型)・足のうらに小さな「みずぶくれ」ができてかゆみが強いもの(小水疱型)・足のうらが厚みを増してガサガサになり、そのわりにかゆみがないもの(角化型)などのパターンがあります。俗に「治らない」とか、「みずむしの特効薬を発明したらノーベル賞」などと言われますが、根気よく治療すれば決して治らないものではありません。治らないのは、薬の種類・使い方などそれなりの理由があるはずです。

爪白癬
 これにはとくに俗称はないようです。手の爪もやられますが、ほとんどが足の爪です。爪が白や黄色に濁り、厚くもろくなります。これ自体には自覚症状はありませんが、白癬の中ではいちばん治すのに根気が必要なものです。
 硬い物質でできている爪は、ほかの白癬と違って外用薬(ぬり薬)だけでは治すのが難しく、たいてい内服薬(のみ薬)が必要です。この内服薬は、おおまかな目安として爪が生え変わるまでの期間続けます。


貝瀬皮膚科情報紙「やなぎばし快快通信」9号にも「水虫」をさらに詳しく特集しています。あわせてご覧ください。

貝瀬皮膚科ロゴマーク
貝瀬皮膚科のトップページへ