発行
貝瀬皮膚科
2003(平成15)年9月30日
第12号
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《 インターネット版 》
◆◆◆ 特集 ヘルペス[その2](帯状疱疹) ◆◆◆
[ 単純疱疹 とはちがいます ]
単純疱疹(たんじゅんほうしん)
については前号でとりあげましたが、
帯状疱疹(たいじょうほうしん)
も「
ヘルペス
」と総称される皮膚病のひとつで、単純疱疹と同じく
ウィルス感染症
であり、
乳幼児から高齢者まで、いつでも、誰にでも起こりえる
ものです。
[ 原因は みずぼうそう と同じ ]
たいていの大人は、水痘(みずぼうそう)になったことがあるでしょう。実は、
帯状疱疹の原因ウィルスは、この水痘と同じ
なのです。「水痘・帯状疱疹ウィルス」と言います。
ご存知のように、水痘は一生に一度限りで、再発することは原則としてありませんが(まれですが例外的に再発例があります)、ウィルスは消滅することなく、脊髄または脳の近くにある「神経節」と呼ばれる神経の一部分に住みつき、「冬眠状態」に入ります。そして、何年何十年後に何かのきっかけで目覚めて騒ぎ出すと、こんどは水痘ではなく、帯状疱疹となって発症するのです(
再活性化
)。
このきっかけは、単純疱疹とほぼ共通していて、
免疫力の低下
、すなわち風邪などによる発熱・紫外線・ストレス・重い病気のときなどです。ただし、やはり単純疱疹と同じように、
ほかの健康上の問題が、なにもない人にも発症します
。
帯状疱疹も原則として再発することはなく、
一生に一度限り
です(少数の例外はあります)。
[ 横並びに出る ]
帯状疱疹は
必ずどこか1本の神経に沿って発症
します。その結果発疹が横並びになるため「帯状」と呼ばれるのです。始めは大小さまざまの水疱(すいほう)ができ、のちにカサブタとなって2〜3週ほどで治っていきます。
発症する神経は必ず1本だけ
なので、体の左右どちらか片方にしか出ません。また、同じ理由で上下に広がることも決してありません。
[ 顔に出た場合は眼・耳にもご用心 ]
帯状疱疹は頭からつま先まで、全身どこにでも発症します(ただしある1本の神経に沿った部分だけですが)。これが
額から頭にかけて
(三叉神経第1枝)出ると、痛みが強く、まぶたが腫れて眼が開けられなくなることがあります。この場合、ときに
角膜
にも影響しますので、
眼科
でも診てもらいましょう(
角膜ヘルペス
)。
また、顔面神経麻痺・味覚障害・聴覚障害・めまいなどを伴うことがあり、このような場合は
耳鼻科
の受診も必要です(
ラムゼイ・ハント症候群
)。
[ 問題は「神経痛」 ]
帯状疱疹の最大の問題点は発疹そのものではありません。「
痛い
」ことです。痛みは個人差が大きく、若い人ほど軽く短期間でおさまりますが、逆に高齢者ほど痛みが強く、しかも治るまでに長くかかる傾向があります(
帯状疱疹後神経痛
)。
通常の神経痛と同じように鎮痛剤を処方しますが、それでも不十分な場合は麻酔科で神経ブロックを行ないます。
痛みを軽く、短期間で済ませるためには、次に述べる
抗ウィルス薬をなるべく早く
飲み始めると良いとされています。
[ 帯状疱疹の治療 ]
使用する
抗ウィルス薬
(バルトレックス錠)は単純疱疹と同じです。こんにちでは1日3回の内服ですむようになっています。ただし、内服する量が単純疱疹の場合よりも3倍多く必要で、成人は
1日6錠
を7日間を限度として内服します(高齢者・肝腎障害があれば減量)。
この薬は薬価が高く、1日分6錠で 3835円です(もちろん保険が効きます)。
発症後、
少しでも早く
内服を始めなければならない点も単純疱疹と同じです。この薬は
あくまで「進行をおさえる」もの
であり、完成してしまった「キズ」を治すものではないからです。
[ 帯状疱疹になってしまったら ]
ごくありふれた病気ですので特別心配することはありませんが、
乳幼児
に感染させると
水痘
になってしまうので注意しましょう。ただし、感染力があるのは発症から数日間だけと考えられています。
神経痛に対しては患部を極力冷やさないようにしましょう。発疹がひどく崩れたりしない限り、他者への感染に注意を払えば、お風呂も普通に入れます。
□□□ 天文豆知識 □□□
火星人が建造!?「人面岩」
1976年7月31日、米国NASAの火星探査機「バイキング1号」が送信してきた写真に、当時の人々は騒然としました。火星の表面に「人面」のようなものが写っていたのです。宇宙人が造ったものだ、なんて言う人まで現われました。「火星の人面岩騒動」として知られています。
それから22年後の1998年4月6日、同じくNASAの火星探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー」が、より高性能の機器を使って同じ場所を「撮りなおし」しました。その結果、およそ「人面」らしくなく、「岩」でもない、ただの「くぼみ」が写っていただけでした。
「人面岩」は、二十数年前の低解像度の機器で写した画像を、画像処理によって強調したためにたまたま「人面」のように見えただけ、と結論づけられました。太陽光の入射方向などの偶然もあったと考えられます。
人面岩騒動は、味気ない終わり方をしましたが、宇宙人の存在を一瞬でも連想させたファンタジーあふれる事件であったと思います。ところで、皆さんは大接近した火星を見られましたか(
本紙10号参照
)?
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