発行 貝瀬皮膚科
 2003(平成15)年4月22日 第7号
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 《 インターネット版 》
◆◆◆ 特集 いぼ ◆◆◆

[ いぼって何?]
 俗に言う「いぼ」には以下のようなものが含まれ、しばしば混同されています。

(1) いぼ尋常性疣贅[ゆうぜい])
 もっとも普通に「いぼ」と言われているものです。ヒト乳頭腫ウィルス感染して年齢に関係なく発生します。ウツるものです。

(2) みずいぼ伝染性軟属腫[なんぞくしゅ])
 伝染性軟属腫ウィルス感染して幼児に発生します。ウツりやすいものです。

(3) 年寄りいぼ(脂漏性角化症)
 顔や手の甲などにできる、盛り上がったシミのようなものですが、早い人では30代からでき始めます。別名・老人性疣贅とも呼びます。年とともに、誰にでも発生するものです。ウツりません

---- 今月は(1)をとりあげました ----

尋常性疣贅
[ いぼ(尋常性疣贅)の症状 ]
 ウオノメとは違って、ザラザラしています。多くは黒い細かい点々を伴います。多発する傾向があり、ウツるものだけに外界との接触の多い手・足によく生じます。放置すると数が増えてゆき、あるいは他人に感染させ続けるため、必ず治すべきものです。

[ いぼの治療 ]
 治療はかなり大変です。少ない回数で確実に治せる方法は現在まで開発されていないのが実情です。

(1) 液体窒素法(凍結療法)
 通常、液体窒素法を行ないます。液体窒素はマイナス 196.5℃という超低温の液体で、これを綿棒に含ませて「いぼ」に当てます。すると、いぼが瞬間凍結され、すぐ体温により急速解凍されます。ちょうど冷凍食品の鮮度が落ちるのと似た理屈でいぼが破壊されるわけです。
 いぼの治り方には、きわめて大きな個人差があります。凍結療法に対する皮膚の反応(破壊されやすさ)の個人差のほかに、ヒト乳頭腫ウィルスに対する免疫力の個人差が大きいためです。
 多くの場合、相当な治療回数を必要とします。1回で治る人から100回かかる人まである、と主張する皮膚科医もあります(横浜市・ちかかね皮膚科 http://www.e-skin.net/index-c.htm)。ただ1度だけの治療で治ってしまう人は、確かに存在します。しかしそのような人はごく小数です。100回というのは、少々極端かもしれませんが、50回程度かかる人もまた存在します。
 治療間隔は週に1回の施設が多いようです。最低でも2週に1回は行ないたいところです。
 いぼは徐々に黒くなってきますが、いぼが破壊されていることの現れであり、心配いりません。また、水疱になることもありますが、水疱ごと切り取ってしまえば治療期間をぐっと短縮できます。

(2) 漢方薬 「 ヨクイニン」
 イネ科の植物、おなじみのハト麦の成熟種子が主成分です。いぼの治療に古来から使われ、ウィルスに対する免疫をつけるもの、とされています。当院では、液体窒素法の効果が出にくい人や、いぼが数十個も多発している人に対して補助療法として処方しています。

(3) DNCB感作療法
  DNCBという化学物質を、いぼに塗付する方法です。DNCBには、人工的にカブレを起こさせる強力な作用があり、そのときの炎症反応でいぼを攻撃するものです。
 この方法の問題点はDNCBと、それに似た化合物に対して、カブレやすい「体質」ができあがってしまうことと、DNCBが発がん性を持つ可能性があることです(発がん性には否定的見解もあります)。若い患者さんにはあまりお勧めしたい方法ではありません。

(4) レーザー治療(炭酸ガスレーザー)
 少ない回数で治すことができますが、かなりの痛みがあり、いぼが取れたあとの「穴」がふさがるまでに時間がかかります。再発率が高いことも知られています。また、レーザーでジュッと焼くときに、ウィルスが飛散してかえって周囲に多発させる事例が多く知られています。
 とりあえず治すのには最速の方法ですが、必ずしもベストの方法とは言えないようです。

(5) ケミカルピーリング
 いぼは角質のかたまりです。トリクロル酢酸やグリコール酸などの薬品を用いて、角質を除去する新しい治療法です。しかしこの方法も、薬液の使い方に難しいところがあり、やけどのようになってしまった、などのトラブルも伝え聞かれます。

いぼの断面図
(6) お勧めできない治療法
 サリチル酸系の張り薬(スピール膏・イボコロリ絆創膏など)を使うと、これらによりフヤけた部分に沿って、かえって拡がることがあります。また、いったんは取れたように見えても、いぼは以外に深いため(右図)、深層から再発してきます


□□□ 天文豆知識 □□□
ここにも日本の「世界一」

すばる望遠鏡全景
 世界最大の光学望遠鏡はどこの国が持っているでしょうか? 米国のパロマ山天文台口径5m反射望遠鏡・1948年完成)と記憶していませんか? あるいはロシアのゼレンチェクスカヤ天文台口径6m反射望遠鏡・1975年完成)を知っていればかなりの物知りでしょう。ちなみに、電波望遠鏡では米国に口径305mというものがあります(本紙5号参照)。

 現在、世界最大の光学望遠鏡はわが日本国が製造し、所有する「すばる望遠鏡」(口径 8.2 m反射望遠鏡・1998年完成)です。場所は国内ではなく、標高が高く空気が澄んだハワイ島・マウナケア山頂(標高4,200m)にあり、わが国の文部科学省が運営しています。

すばる望遠鏡本体
  8.2 mもの巨大な反射鏡を形成し、磨くために7年もの歳月がかかりました。これほどのサイズになると、望遠鏡の「傾き」により反射鏡が「たわむ」という問題が出てきます。そのため、すばる望遠鏡では反射鏡の裏側に「アクチュエーター」と呼ばれる伸縮性のアームを261 本設置、制御して、「たわみ」をキャンセルするという工夫がなされています。

 こんなとこにも日本の「世界一」があります。不況で世間は沈みがちですが、日本は世界に誇る多くの技術を持ち、過去に戦乱などの大混乱を幾度も乗り越えてきました。日本人は、もっと自信を持ってもよいのでは?


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