発行 貝瀬皮膚科
 2003(平成15)年6月30日 第9号
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 《 インターネット版 》
◆◆◆ 特集 水虫 ◆◆◆
[ 水虫の歴史 ]
 「みずむし」という言葉は江戸時代、文化年間の書物にすでに現れており、古来から人々がこれに悩まされてきたことをうかがわせます。そのころは、水田で働く農夫や(田虫・たむしの語源)、川に入って洗濯をする婦人の足に正体不明の虫が付いてかゆくなる(水虫の語源)ものと考えられていました。

[ いろいろな水虫 ]
 普通に言う「水虫」は、足にできるものを意味していますが、できる場所によりそれぞれの俗称があります。

    頭   → しらくも(頭部白癬)
    体   → ぜにたむし(体部白癬)
   うちまた → いんきんたむし(股部白癬)
    足   → みずむし(足白癬)
 今回は、水虫(足白癬)を特集します。

[ まん延する水虫 ]
 水虫の多さは、皆さんの想像以上です。日本国内に2.100万人の罹患者がいると推計されています(2000年・ジャパン・フット・ウィーク研究会)。
 白癬菌は文明社会にまん延しています。旅館・ホテルの脱衣室、プールサイドなど誰もが裸足になる場所からは莫大な量の白癬菌が検出されます。

[ 原因はカビ ]
 水虫の原因は「白癬菌」と呼ばれるカビの一種です。台所や浴室でよく見かけるカビと生物学的に近く、また、キノコとも菌学的に同一の範囲に含まれます。
 白癬菌は皮膚をつくる蛋白質(ケラチン)を栄養源とします。そのため、もしも口から体内に侵入しても、体内にはケラチンが存在しないので決して内臓には感染しません

[ 水虫もどき・・・ホントに水虫か?]
 水虫によく似た足の皮膚病はたくさんあります。水虫でないものに、水虫の治療薬が効くはずもありません。実は、水虫が「治らない」と言っている人たちのうち、調べてみると水虫ではない人が約3割あるのです。
 皮膚科専門医は初診時に必ず顕微鏡検査を行ない、確かに水虫であるかどうかを確定させます。これを行なわずに、見ただけで「ああ、水虫だね」と言い、水虫治療薬を処方する事は、厳に慎まなければならない行為です。 皮膚科の研修歴も業績もない医師が、看板に「皮膚科」を「つけ足し」て集客をねらう事例が指摘されています。こうした非専門医で「だろう診断」が多く行なわれています。

[ 3つのタイプ ]
(1) 趾間型足白癬
 足の指の間にできるもので、かゆみはあったりなかったりです。ひどくなると皮膚がべろりとムケてびらん(皮膚の欠損)を生じます。夏に発症・悪化しやすいものです。細菌が侵入して腫れることもあります。

(2) 小水疱型足白癬
 足の裏に小さい水疱が多発して、強いかゆみがあります。夏に発症・悪化しやすいものです。細菌が侵入して腫れることもあります。

(3) 角質増殖型足白癬
 広く足の裏の皮膚の厚みが増し、ガサガサになります。この型はかゆみがありません。菌に対する免疫がうまく働かないとこの型になります。そのため糖尿病など、免疫が弱っている患者さんに多くみられます。
 (1)(2)でみられる激しい炎症・かゆみは、菌を排除しようとする免疫反応の表われでもあるのです。

[ 水虫の治療 ]
 「水虫は治らない」のは過去の話であって、現在では根気良く適切に治療すれば必ず治るようになってきました。

(1) 外用抗真菌剤(ぬりぐすり)
 抗菌力が高い外用剤が次々に開発され、多くの場合、塗るだけで十分治ります。ただしこの外用剤によってカブレることがあるので、肌に合わない時は薬を変更します。

(2) 内服抗真菌剤(のみぐすり)
 重症であったり、爪の中にまで菌が侵入した場合(爪白癬)に内服します。水虫を治す内服薬は、実は1960年代から存在していたのですが、副作用の問題と併用薬に注意が必要であり、広く用いられてはいませんでした。
 そこで1990年代に3種類の新薬が次々に開発されるに至ります。これらはより副作用が少なく、他の薬との飲みあわせも心配が少ないように作られています。それでも30人にひとり位に肝障害・血液障害がみられますので、これらを早期に発見するために定期的に血液検査をしながら内服していただきます。

[ 水虫は必ず治る ]
 治療薬が進歩しているため水虫は必ず治ります「治らない」理由を挙げてみましょう。
(1) 水虫との思い込み。そもそも水虫でない。
(2) 根負け。水虫治療には根気が必要。
(3) 旧態依然たる薬を使用。昭和30年頃開発された薬も、いまだに市販されている。
(4) 再感染。実は一度は治っている。

[ 水虫の予防 ]
 白癬菌が足の角質に定着するのに約1日かかることが知られています。従って、足を毎日石けんで洗うことでかなり予防できます。風呂場の足拭きマットなどは頻繁に洗い、日光に当てましょう。

□□□ 天文豆知識 □□□
月面で何が? アリスタルコスの謎

 月には、不思議な現象が観察されています。一時的な強い光普段は見られないはずの色変化煙のようなものがみえる・・・などで、「月の一時異常現象」と呼びます。観測家の間ではよく知られた現象で、手塚治虫はこれを題材にしたSFまんが(クレーターの男 / ウィリアム・フロスト・ウィリー)を1970年に書いています。
 これら異常現象の多くが「嵐の大洋」にあるクレーター、「アリスタルコス」に集中して目撃されています。
 アリスタルコスは小さな望遠鏡でもギラギラ とまぶしいくらいに輝いて見えるクレーターです。そのため、錯覚だったり影の部分にある山の頂上が輝いているだけだったり、また偶然月の方角を通過した人工衛星を誤認した、などのケースも少なくないようです。
 月面で何かが起こっている?・・・月に人が常駐していない以上、真実は誰にもわかりません。月夜の晩には、月で起こっているかも知れない未知の現象に思いを馳せてみましょう。

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