白点病の対策と実態

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第一回 白点のライフサイクルと実態

ここでは、我々マリンアクアリストにとって最強の難関とも言える、奥様・・(私はいませんが)ではなく

白点病について、私の知っている限りのことと、対策を記したいと思います。

一般論は別にして、その他のことは私の実験や観察に基づいてのことですので、間違っている可

能性もあります。しかしそれでも、一般的に言われていることとかなり違う事があるのは確かのよう

です。

白点の一般論とライフサイクル

白点というのは、だいたいがスズメダイやハゼなどはあまりかからず、特にチョウチョウウオ、ヤッコ、

ハギが罹りやすい病気です。

海水魚の病気の代名詞になっているほどの病気で、原生動物の1種が寄生し、体に0.5mm以下の

白点が見えるのが特徴です。やがて白点が増え、魚のえらなどに寄生し魚が死んでしまいます。

白点病虫の生活サイクルは、まず魚に付着し、約3日間魚体から栄養を吸収し、大きくなって離れて

即〜約数日後、約100〜200の仔虫(遊走子)に分裂します。それでまた魚に付くというサイクルです。

新たなライフサイクル?

そして、水温にもよりますが、親虫が分裂して仔虫が飛び出し、それが水中を泳いで、2日間くらい

たって宿主に付着できなかった仔虫は死ぬと言われていました。

ところが、これがどうやら死んでいないようなのです。長く飼っておられる方なら判ると思いますが、

まず、白点が蔓延している水槽に、新しい元気な魚を入れると、3〜4日くらいで魚の体表に白点

が見えるようになります。これは、蔓延している水槽に仔虫が水中におり、それが魚を入れた日に

ついてだんだんと大きくなってくるのですから、これなら通常です。

しかし、それまで白点があまり出ていなく、ある日、濾過器や底砂を巻き上げて翌日に一気に白点

が出る場合があります。これが、どうして「翌日」なのか?ということです。

また、白点が蔓延した水槽でも、2週間も水槽を置いておけば白点は自滅するはずでしたが、

私の実験では、いくら待っても新しい魚を入れると3〜4日後にすぐに発病しました。水温は25℃前

後でした。

仔虫は砂の中で生きている!?

そうして到達した結論が、もしかすると仔虫が死なずにずっと生きているのではないかということです。

もちろん、濾過器や底砂をいじったときに、それまで休眠状態で潜んでいた親虫が破裂、分裂も

したことも考えられますが、先に記した、肉眼で見える程度まで膨らむ時間の疑問があります。

また、私は自分で顕微鏡で白点の親虫を観察しながら、親虫をピンセットの先でつぶしてみたことが

あります。親虫は、顕微鏡でみますと、ちょうど0.5mmくらいの大きさの「真っ黒の玉」です。


親虫の写真がありました。2004・1・4追記^^

それをつぶすと、それこそ中から1,000匹くらいは居るかのような仔虫が出てきました。ただし、こ

の仔虫の大きさは、非常に小さく、0.001mmくらいで、一般的に言われている大きさ(0.05mm)

よりもっとて小さかったです。(もちろん水温その他の影響もあると思います。)

そして、白点が何週間も蔓延していた水槽の底砂を、一部取り上げて顕微鏡でみますと、下記の

ようなものが無数にみられました。1個の大きさは、ちょうど0.05mmくらいでした。

 

これがもし白点であれば、親虫でないことは確かです。しかも大きいです。あるお店の方がおっしゃ

るには、白点は仔虫でも細菌を食べて生きているということでした。もしそうなら、砂やろ材の中で

あるていど成長し、遊泳能力は失っていても魚に付さえすれば寄生できるじょうたいなのでは?とい

うのが、推測です。

高水温飼育の論理

じゃあ、どうしようということですが、上記の理論では、死ぬことなく水槽内の白点はいくらでも時間

とともに増えていくじゃないか、ということになります。実際、そういう雰囲気で、薬をつかえない無脊

椎水槽でだんだんと白点が出やすくなって、ついに本格的に発病、全滅・・。ということになってしまう

ことが多々あるとおもいます。

 それと、高水温飼育にしておけば、白点が出ないという話もよく聞きます。ですが、逆に活動が活発

になるという話もあります。これはどういうことかといいますと、どうやら、27.5、あるいは28℃以上に

しておけば、やっと、魚に寄生できなくて砂などに潜んだ白点の仔虫が体力を使い果たして順次、

死んでいくようなのです。ですから、

白点が非常に少ないときからこれをやっておけば、多く発病しない限りつねに数を減らしていける、

ということではないでしょうか。一旦発病してから水温だけを28℃くらいにするだけでは、白点を応援

してしまうだけですが、白点にとっての餌、すなわち魚にほとんど寄生できない時から水温だけを上

げておけば、体力を使い果たさせて殺すことができるであろう・・。というところです。

つづく

予定 第二回 薬で殺す方法と魚種

飼育を始める前に基本的な計画を立てることが第一歩

実際は、発病が本格化してきますと、やはり薬の頼る必要がでてきます。ただ、最近は無脊椎と魚を

一緒に飼育することが、なぜか一般的になってきてしまい、また店がやみくもにライブロックを薦め、それ

がないと飼育できないように言うので、とにかくライブロックを入れてしまっている水槽になっている場合が

多く、ライブロックのためだけでも薬がつかえないという状況がよくあります。

そのために病気になった魚だけを別のところに入れて治療し、また本水槽にもどして再発して・・。

とこんなことを何度もやっているうちに魚が死んでしまいます。

魚にとっては、今住んでいる水槽にそっと薬が入るのがもっともショックが少ない治療法です。それと、白

点病が発生したときは、その「魚」ではなく、「水槽」そのもの全体が病気にかかったと思うべきです。

ですから、病気になった魚だけを一時別にして、なおったら本水槽に戻すということは、すぐにまた再発

を招いてしまいます。

最初は「魚だけ」か、「病気にかからない魚+無脊椎」からはじめましょう。(2003・11・22)

治療の前に、もっとも大事なことは、飼育する生き物を限定することであり、下記のどちらかにすべき

です。

@もし病気が出ても治療できる状態で(すなわち無脊椎を飼育せず)飼う。

A無脊椎と飼育するのであれば白点病に対して強く、普通に飼育していれば病気にまずかからない

 魚だけを飼育する。

@はいつでも手が撃てますし、Aは撃つ必要がありません。はっきり言いましてこの点を踏まえてお

きさえすれば、困った状況にはならないのです。白点は発病が怖いのではなく、発病しても治療が出

来ない状況を作ってしまっていることが一番困難なのです。

白点病にかかりやすい魚種はチョウチョウウオ、ヤッコ、ハギ、ニセスズメの仲間などです。これらが

白点に罹ると、「罹る」=「水槽内の白点の数が爆発的に増える」ですので、本来罹らない魚にまで

被害が及んでしまいます。

もともと特にサンゴ類は体半の魚との長期の同居は難しく、すべてのサンゴに対してほぼ完全に無害

といえる魚は、現在販売されているものの種のなかでは小型のハゼ、ハナダイ、ニセスズメ、その他

の小型魚の仲間など極わずかの種しかいません。むろん、サンゴの方にも魚との同居に向いた種も

ありますが、種類を選ぶ必要があります。

サンゴ全般を飼育するのであれば、少なくとも最初のうちは他の魚種を控えたほうが良

いです。そうでなくとも海水魚は飼育が難しいとされる生き物なのですから、せめて人の采配でよい

結果をだせることくらいは、自分の希望をある程度辛抱してでも合わせないとうまく飼育することが

できません。

サンゴ水槽にヤッコやハギを入れて白点が発病して手がうちにくく、、また普段から特にヤッコがサンゴ

をしばしばつつくため、つねに両方とも状態が悪いようになっている水槽をよく見かけます。たしかに、

サンゴと魚を一緒に飼育したいのは私も同じですが、もう身にしみて、同居は難しいと悟りました。

こういうことはできるだけ避けたいものです。

 ただしサンゴ水槽には、最低1匹は魚が居ないと、ヨコエビなどの横行があまりに激しく

なり、サンゴの食害を招くことになりますので、小さなハゼ1匹〜でよいですから入れておくことが必要

です。ぜひ、サンゴ水槽に一度ハタタテハゼなど遊泳型のハゼ数匹だけ入れてしばらく飼育してみて

ください。サンゴの調子は大変良くなります。

薬による治療

実際に白点が出始めたときは、やはり薬による治療をしなければいけなくなります。

私は下記の2種の方法のどちらかをお薦めします。もちろんこれは、無脊椎はダメです。

@硫酸銅治療

もうご存知の方も多いと思いますが、銅イオン、また硫酸銅による治療です。白点が多く出てきてし

まった時はこれに頼らなければいけないのですが、使用法を誤りますと魚に危険です。

-使用法-

(銅イオンの場合は、取扱説明書にしたがって投薬してください。下記は硫酸銅の結晶を用いる場合
です。

まず硫酸銅1gを1Lの水に溶かします。この溶液を1Lの水に1cc入れると1ppmの濃度になります。
多くの魚の場合、飼育水の硫酸銅濃度が計算上で0.5ppm、(実際は0.3〜0.4ppm)になるように
投薬することをお勧めします。
たとえば60cm水槽の場合、水量は約50Lですから25cc入れれば計算上は0.5ppmになります。
ただし、硫酸銅の濃度(正確には銅イオン濃度)は、使用しているろ材や砂、水中の硝酸塩?など
によってかなり消費・分解されるため、最初はあまり濃度が上がっていないときがあります。
また、一旦濃度が上昇すると、今度は時間がたってもすぐには濃度が減少してこない傾向もあります。

この量を、12時間に1回入れ、まず約3日間(すなわち6回の投入)続けます。その後、今度は24時間
に1回のみの投薬にし、さらに3日程度続けます。この途中で目に見えて回復してくれば、投薬を中止
します。出来れば銅イオンテスターを使用し、0.3ppm〜0.4ppmに調整することをお薦めします。

-その他注意-

使用法を誤ると魚を死亡させてしまいますので充分に注意が必要です。また、硫酸銅を使用した場合、
ヤッコなどはヒレ、目などが曇ったり炎症を起こす場合がありますので、できればグリーンFゴールドと
の併用をお薦めします。

硫酸銅は劇薬の有毒物質ですので子供の手の届かないところに保管し、また余ったものを水道などに
流さず、結晶はくれぐれも保管して、あまった溶液などはトイレに捨てる必要があります。

AグリーンFゴールド顆粒(+メチレンブルーのダブル混浴)治療

私は個人的にはこちらが好きです。
ただし、薬品を併用して使用するのは、あくまでメーカーのサポート外ですから、自分の責任において
やって下さい。
あまりに白点の症状がひどいときは、やはり硫酸銅を使用する必要があります、こちらもほぼ効きます。
また、魚に対して安全であり、硫酸銅は上記に記しましたように、魚自体にも炎症などの原因になりま
すが、こちらは逆にそれを治癒させる働きももちます。

一般的にはグリーンFゴールド顆粒はすでによく用いられているようですが、私はメチレンブルーとの併用を
行っています。メチレンブルーはもともと淡水魚の尾ぐされ・白点治療薬で、白点病虫自体は淡水も海水も
似た生き物ですので、海水の場合でもいくらか効き目があるであろうと思い、使用しています。

-使用法-

各薬品に書いてある使用料を1回だけ使用します。
使用後、水に色がつきますので、それを取り除きたい場合は、水を替えるか、活性炭を飼育水50Lに対
して一般的なものを2個程度使用すればほぼ完全に取ることが出来ます。

-これまでの良かった使用感-

白点ではありませんが、病気と炎症でもうぼろぼろになったマクロス(大型ヤッコ)が、3週間程度を経て完
全に復活しました。誰の目にももうだめだと思われていましたが、奇跡の復活でした。海水魚はこういう事は
きわめて稀です。
あと、クイーンエンゼルもヒレが一部炎症をおこしたものを治療し、そのまま飼育しておりますがすでに1ヶ月
薬浴しっぱなしでも全く問題なく、体表・ヒレ・目とも状態は完全に綺麗です。

 第3回 濾過器の安定と底砂

安定したウエット濾過層の実力

「水質または水槽が安定してくると白点が出ない、または濾過器が安定していると白点に罹った魚を

収容しても自然治癒する」という事が昔からしばしば言われます。確かに事実です。しかし、これは水槽が

そうそう簡単にはこういう状態にはなってくれません。まず、私自身は完全にこの状態になったことのある

水槽は、関西ではお店で2件しか見たことがありません。両方とも、ウエット濾過層でした。今はナチュラル

システム、ベルリンシステムが流行っていて、いつのまにか濾過層をなくすのが流行りみたいになっていま

すが、私はこれは、少なくとも魚を飼育する上では不適だと思っております。

確かに硝酸塩は増えにくいかもしれませんが、水質の安定と水中の雑菌の低減、硝化反応そのものに関

しては、濾過層が行ってくれることであり、なにより硝酸塩の増加を防ぎたいために他の要素をすべてな

いがしろにしている気がしないでもありません。

「魚より硝酸塩が大事」で、まるで「命より健康が大事」という主義のような感じがします。

 底砂の状態

仮に濾過層が安定し、白点を除去できる状態になっていても、もう一つ重要なポイントが底砂です。

ここが白点の巣になっていると、いつでも発病してしまいます。これも以前、私の良く知っている尼崎の

玄人のお店曰く、「いつも触って綺麗にしておくか、あるいはまったく触らないか」のどちらかだそうです。

前者の場合、毎度おなじみのマガキガイ、底ハゼ類などで掃除をすることになります。後者の場合、底砂

をとにかくいじらない状態にしておくのですが、これはそのままでは危険なので、私は数cmの岩、また庭

用の玉石を敷き詰めたりして、魚が容易に底砂を巻き上げないようにしています。

また、底砂を敷かなければどうなのか?ということもあります。これは、底によく水流があったり、また他

の生物が綺麗にしてくれているのなら白点はあまり居ませんが、常にゴミが溜まってよどんでいるなら、

砂があって掃除されていないときと状況はあまり変らないようです。

第4回 濾過層の役割と現在の流行

濾過層の役割

「水質または水槽が安定してくると白点が出ない、または濾過器が安定していると白点に罹った魚を

収容しても自然治癒する」という事が昔からしばしば言われます。確かに事実です。しかし、これは水槽が

そうそう簡単にはこういう状態にはなってくれません。まず、私自身は完全にこの状態になったことのある

水槽は、関西ではお店で2件しか見たことがありません。両方とも、ウエット濾過層でした。今はナチュラル

システム、ベルリンシステムが流行っていて、いつのまにか濾過層をなくすのが流行りみたいになっていま

すが、私はこれは、少なくとも魚を飼育する上では不適だと思っております。

確かに硝酸塩は増えにくいかもしれませんが、水質の

安定と水中の雑菌の低減、硝化反応そのものに関しては、濾過層が行ってくれることであり、なにより

硝酸塩の増加を防ぎたいために他の要素をすべてないがしろにしている気がしないでもありません。

「魚より硝酸塩が大事」で、まるで「命より健康が大事」という主義のような感じがします。

 ベルリンシステムと白点

先にも少し触れましたが、現在、海水の珊瑚を中心にした水槽にベルリンシステムというのがあります。

ベルリン式は、糞などの蛋白質が高分子の状態でいる内にプロテインスキマー(以下PS)で取り除こうと

言う考えで、それが分解されてアンモニアになり、最終的に生成される硝酸塩を元から取り除いておこうと

いうものです。そのために、濾過器があると硝化反応が進みやすいので取ってしまうという考えです。

珊瑚を飼育するためには、差し当たってはそれほど強力な濾過が、元々いらなかったという事です。

餌を与えたり、魚が多く入っていれば、それだけ水も汚れますが、餌が少なく、ほとんど珊瑚だけの水槽で

あれば、水槽内にいっぱい珊瑚を入れて、何とエアーレーションだけで飼っておられる方もいらっしゃいま

した。つまり、特に好日性の珊瑚であれば、餌をまったく与えずに飼えば、死なない限り水はあまり汚さな

いと考えていいと思います。

海水魚は淡水魚よりむしろ強力な濾過器をつけなければならないと言うのがほんの数年前まで常識でし

た。フルドライろ過で珊瑚を飼うという事が一つの最高のシステムのように私も思ったものです。

確かに、魚類や、陰日性の珊瑚に餌を与えて飼育する場合では濾過槽はとても重要だと思います。しか

し、ナチュラルシステムで飼育できているという事は珊瑚類はあまり水を汚していない事の証拠だと思い

ました。では結果的に、「濾過層がいらないのではずす」ということは「濾過層がある」ことに比べてどうな

のか?ということになります。

いくら汚さないといっても、もしどれかのサンゴなどが死んでしまったり、なにか起きればいざの時のアンモ

ニア、亜硝酸、そして水の濁りの処理能力が大変低いため、困った状況になりけりです。

で、PS自身が取っている汚れは、カルシウム、マグネシウムと、見た目以外はほとんどが取らなくて良い物

をとってしまっています。もちろん、取るべき汚れも取っていますが、考えれば考えるほどPSは魚水槽向き

なのでは?と思ってしまいます。

 ところで、肝心な白点に対してですが、濾過器が無い以上白点を積極的に取り除く力はあまり無いと考え

るべきだと思います。また物理的に水中から濁りを取り除く力が弱いため水中の雑菌、細菌数も多くなっ

てしまうと思われます。どんなシステムでも大概は時間が経てば、大きな有機物は沈殿してさしあたり水は

綺麗になります。しかし、何か起きたとき、また普段から水中の菌数が少ないことは魚の病気の発病の頻

度に大きくかかわってくるはずです。

最後に

最後に、白点で困らないためのことをまとめておきたいと思います。

1.白点に罹りやすい魚を飼育する場合は、ライブロック、無脊椎、など薬がつかえなくなる生き物を入れない。
 (店が入れろといっても入れないようにしましょう。)

2.濾過層は他の病気に対する安定を考えても、ウエット状態になっているものをお薦めします。

3.海水魚は誠実な店主がやっている普通の値段のお店で買う。(ヤッコ・チョウチョウウオが¥1500程度^^)
  量販的で無脊椎と一緒に販売しているお店は白点が蔓延している場合があります。
  絶対に違法採取物を扱っていないところが良いです。なぜなら、商売のためなら平気で違法物でも売る人
  が、客に対してだけ誠実であるなどという事はあまりないからです。
  まあ、今後も客で居てもらうために嘘が言えないということもありますが・・・。

一応終わりです。それでは失礼駿河の国に茶の香り。