陰日性サンゴの飼育研究

陰日性サンゴ飼育法 2005年2月24日 2006年5月21日改定

ここでは、飼育の難しい陰日性サンゴの当方での飼育経験を元にした内容をご紹介します。僅かでもお役に立てていただけますと幸いです。

これまでの経緯

 陰日性サンゴは、だいたいが飼育が難しいとされています。当方も全く同じ意見です。

その難しさは、好日性サンゴのそれとは違って、腐食などは起こりにくく、突然死亡はしないものの、とかく給餌が必要であり、頻繁に給餌を行っても非常に痩せ

やすい、という部分だと思います。

サンゴのエサはプランクトン系など非常に多種のエサが各種販売されていますが、実際は「これを与えたら確実に生きる!」というようなものは無いと思います。

むしろ、栄養面ではそれらの餌は十分に配慮されているのですが、給餌方法に難問があります。

各類による飼育方法、方針の違い

陰日性サンゴには、主にヤギ類、キサンゴ類、トサカ類があります。

キサンゴ系はエサを人為的に固形のものでも、与えれば食べますので頻繁に食べさせればなんとか飼育できるという印象です。それでも、根元部分の共肉は

徐々に剥げてきてしまう場合が多いです。(開かせてエサを与えるテクニックは後で・・。)

 ヤギ類とトサカ類です。これらは、ポリプが小さく、水中にただよっている非常に細かなエサを食べて生きているのですが、頻繁にエサを与えてもだんだんやせ

てくるの場合が多いのです。餌が足りなければ、ものの1ヶ月もしないうちに痩せて死んでしまいます。

それでも、延命手段の域を出ない印象があります。

 以下、こちらで以前よりはずっと改善されたと思われる陰日性サンゴの飼育方法をご紹介させていただきますが、以前のように普通の飼育方法よりは飛躍的に

長生きするようになったとはいうものの、それでも延命措の域を出ていない印象があります。とくにヤギ類は給餌を頑張っても半年くらいたつとどうしでも痩せやすい

傾向にあります。

ヤギ・陰日トサカは要求している飼育環境が、他の生物とまったく違う

 ヤギ類とキサンゴ系は、陰日グループということで、私も少し前まで、一緒に飼育しておりましたが、よく考えてみたら、食べる餌も生体の形も違うので、やはり

別のほうが良いと思うようになりました。

 魚にしても多くのサンゴや無脊椎にしても、飼育にあたっては水中にできるだけ細菌や有機物やゴミが少ないほうがよく、水中にゴミが漂っている状態は有害

な細菌の繁殖を招いて病気を引き起こすことは想像に難くありません。まして、有機物(ゴミなど)は、いわば細菌の巣みたいなものですのでこういうものができる

だけ水中にないことが理想です。

 ところが、ヤギ・トサカ類は違いまして、この逆の環境が必要であり水中に、常に(あるいは長く)有機物やエサになるものがただよっている状態が必要になりま

す。自然の海に習いまして、餌が水中にある「時間」が重要であると考えております。今までのシステムでは、ヤギ1固体にプランクトン系などの液状の餌をあた

えていたとして水槽内に投入した餌のおそらくは99パーセント近くはサンゴ自身が「食べることができていない」無駄になってしまっている状態です。

 当方でも、フレーム1というオリジナルのエサで飼育をしていますが、この餌自体、いいかげんなもので((・・)あ・)別にこの餌のおかげで飼育できているわけで

はないと思われます。

 今まで、他の生き物を飼育している場合は、とにかくろ過能力、また、水を物理的にもきれいにすることを目的としたろ過システムを一般には構築してきたと思

います。これらの仲間には、今までとは逆に、水中に少しでも浮遊物が残りやすい環境をシステムをつくってやるのです。一般に、水流が強い方が良いといわれ

ていますが、実際はそれほど強い流れが無くても状態よくしております。うちのシステムを例にあげてご紹介しましょう。

当方でのヤギ・陰日トサカ飼育法

 例として、うちでは以下のような環境で、ヤギと陰日トサカを管理しています。


2005・2月初頭撮影

水槽は60*45*45の約100Lです。水槽の底にはパウダー砂を敷いてあります。濾過器にはニッソーの密閉式フィルターのもっとも小型のものを使用し、濾過器内

部には岩のような数cmの小岩を入れてあります。水流の追加に、水槽中央部の上に見えませんが毎分5Lのパワーヘッドが前向きにつけてあります。

そして、飼育対象であるヤギやトサカのほかに、ヤドカリ数匹、マガキガイ数個、また在庫としてフレームスキャロップを入れてあります。

 このシステムで狙っているのは、あたえた餌が水流にのって水中をまず舞い、水槽の底はパウダー砂になっているので砂に中には潜りにくく、もう一度舞い上がる

か、あるいは砂の上におち、それはヤドカリやマガキガイなどが掃除しながらもういちど舞い上げてくれます。フレームスキャロップは、バコ!と水を吐き出すと周辺の

沈殿物は一気に舞い上がります。まさに「ハタキ」にふさわしい、非常に便利な生き物です。

そのような事で、ここではまず底砂に上におちたものは、砂の状態と生体の影響でもう一度舞い上げてくれます。そして、濾過器の方は大きなろ材を使用したりして、

あまり濾過器にひっかからないようにしていることが目的です。

この外部式濾過器も本当は無いほうがよく、底砂に細菌が完全に繁殖するまで好気ろ過の念のためにつけておりましたが、もうはずしてしまっていいと思います。

(ろ材は砂というより岩なので、単にその岩を水槽内にいれればいいかとおもいます。)

実際の生体の状態

 全体的に、サンゴは痩せずにもっております。普通、ヤギを普通のサンゴといっしょに飼育していると、1ヶ月とまたずにやせてくるのでまあまあ維持できていると

考えてよいと思います。ポリプの開き具合は、ほぼ年中開いてますが、昼間に時々閉じていることもあります。(飼育本数は、ヤギ各種を大小で30個くらいです。

トサカはこの撮影時に1個販売し、残り1個あります。)給餌は1日1回、フレーム1をサジにかるく1杯くらいを、水中にほりこんでいます。(時々忘れていますので、

1.5日に1回くらいの給餌でしょうか・・。)

@  A

@去年(2004)の11月頃からいるヤギです。アップするのを忘れてたのでそのまま実験用にしていました。

Aは今在庫で多い、巨大なヤギから私が株分けしたパープルレッドヤギの群れです。正直、管理が悪いので水槽内で倒れたりしてめちゃめちゃになっていますが、

 一応はやせも少なく、元気です。これらとは、正月前の12月23日からのお付き合いです。

 実は、つい数日前やっとお客さんが買ってくれて売れていったピンクのビロードトゲトサカなのですが、あんまり長いこといて、「根」がいっぱい生えていました^^;

取るときにブチっといったので驚きました。 一応写真に撮っておきました。これも入店は去年の11月だったと思います。

飼育状態はこのような感じです。発想を転換しましたら結構経済的に効果的な飼育法が望めるとおもいます。

キサンゴの仲間の飼育

 キサンゴの仲間は、ヤギ類とは初頭で書きましたように、ヤギ類とはだいぶ違いまして、比較的大きな餌をたべます。


管理水槽 

こちらでは、魚を一切入れていない水槽に、自動首振りパワーヘッド(エデニックローター)1機に底面フィルターをつけただけの状態で飼育しています。

状態は開いたり閉じたりです。やはり夜にひらいているものが多いようです。人為的に餌を与えて飼育することが多いですし、そのほうが元気に飼えるのですが、こち

らではあえて固体の口に直接あまり頻繁に給餌せず、においをさせるためだけにフレーム1を蒔き、「開き癖」だけをつけて水槽内のヨコエビなどを夜に自動的に捕食

させようとしております。

しかし、これは魚がいるとヨコエビが出てきにくく、”開き癖”がついた下の写真のような固体は元気にしておりますが、開いていない固体はやはりだんだん痩せてしま

い、骨格がみえてきてしまいます。

キサンゴを開かせるには

 私も実感するまで、本当にキサンゴが開くプロセスが良くわからなかったのですが、非常に面白い性質があります。

まずいつまでたっても開かないキサンゴを経験された方も多いと思います。これは放っておきますと本当に最後まで開いてくれないことが多く、数ヶ月の後に痩せて

白い骨だけが残ってしまいます。

また、臭いの強い餌のや、その汁(アマエビ、アサリ、レッドプランクトンなど)を水流をとめて各キサンゴの上にそっとかぶせると、開いてくる固体も多く、それらは

”半開き”になった時点でさらにもう少し大きな餌(上記の生エサを切ったものや、個体の沈降性の人工飼料など)を与えてやると良いのですが、問題は匂わせても

まったく開かない固体も多いのです。これらに対しては、水槽内の水流をとめて口の部分に餌を置いてやるか、やや強引ですがピペットや細いピンセットなどを利用

して、口の中に軽く押し込みます。そのまま数十分まってやると、キサンゴは「開かないまま」あるいは「半開き状態」になってそのまま飲み込んで食べてしまいます。

 そして、そのあとに少し開く場合もあります。ひらかない場合でも、毎日のようにそれを行っていますと、食べた後、開くようになってきます。

そのうち、夕方頃から勝手に開くようになってきて、餌も触手で取るようになり、与えやすくなってきます。こうなるとしめたものです。週に2回くらい餌を与えると良いで

しょう。餌は実際は何でも食べ、当方では与える時には、生餌でなく、魚用の大き目の2-3mmの粒状飼料やバイタルフードを水につけてピペットなどでサンゴの上に

置くように与えたり、ハナタテサンゴなどの大きな種類には、チップス状の「コリドラスのえさ」を口にかるく押し込むように与えることがあります。

 キサンゴは種類が多く、開きやすさも違うのですが、イボヤギ・ハナタテサンゴ・などは楽です。難しいとされている種でもそれほど?あまり差がないような気もしま

す。

トップページヘ