自転車エルゴメーターによる最大酸素摂取量の測定結果の考察

最大酸素摂取量について

酸素摂取量の最大値は10分目に測定された3.95l/min、体重1kgあたり63.7ml/minでした。10分目以降の酸素摂取量は低下しました。

このことについては2つの見方があります。

一つはこの時間帯に負荷を0Wにしてしまったからかもしれません。

もう一つの見方は、最大運動に近い運動をしている時には、運動の強さを強くしても酸素摂取量が上がらなかったり、やや低下することがあるということです。

本測定では、総運動時間は11分弱で、この時間は一般的に適切とされています。

感想としては、さらにもう1段階上の220Wの負荷で駆動できなかったのが残念です。しかし、9分30秒目から10分目にかけての酸素摂取量の増加率はわずか0.5%であったことや、心拍数が年齢から推定できる最大心拍数の9割を超えていたこと、呼吸商が1.2を超えていたことから、この段階から負荷を上げても酸素摂取量は一定であったと考えられます。

 

最大酸素摂取量が3.95l/min、体重1kgあたり63.5ml/kg/minという値について

この値は一般的に見て高い値のようです。東京都立大学 体育学研究室著 (1989) 日本人の体力標準値 第四版 不昧堂出版 によると、21歳男性の最大酸素摂取量の標準値は2.98l/min、体重あたり47.6ml/kg/minとされています。

また、全体の約68%の人が2.53l/min〜3.43l/min、42.0ml/kg/min〜53.2ml/kg/minの間に位置し、さらに、全体の約95%の人が2.08l/min〜3.88l/min、36.4ml/kg/min〜58.8ml/kg/minの間に位置するとされています。

今回測定された値は上位2.5%に入る値とされています。

僕はトライアスロンレースの為に、持久力を高めるトレーニングをしています。よって、一般成人と比べるのではなく、スポーツ選手と比べる必要があります。

 

エリートスポーツ選手の最大酸素摂取量について

山地 啓司著 (1992) 最大酸素摂取量の科学 杏林書院 には男子スポーツ選手の最大酸素摂取量が載っています。トライアスロンと関係のある競技選手の最大酸素摂取量の中で特に高いものをいくつか抜粋すると次のようになります。

スウェーデンの水泳選手は6.42l/min (Holm'er 1974)

1964年オリンピック東京大会 自転車競技銅メダリストののG.P.(スウェーデン)は6.00l/min、80ml/kg/min (SaltinとÅstrand 1967)

1968年オリンピックメキシコ大会 マラソン銀メダリストの君原選手(日本)は4.82l/min、84.2ml/kg/min (黒田ら 1977

アメリカのトライアスロン選手は84.5ml/kg/min (O'Tooleら 1987)

 

スポーツ選手の最大酸素摂取量は専門種目によって様々です。これまでに世界中で多くの研究者がスポーツ選手の最大酸素摂取量を測定してきました。やはり、持久力を必要とする競技で世界で活躍する選手の最大酸素摂取量は一般人とはくらべものにならないほど高いです。

 

最大酸素摂取量と競技能力について

最大酸素摂取量はあくまでも酸素を摂り入れる器の大きさであり、持久力と深く関わっています。しかし、あくまでも器の大きさでしかありません。どんなに酸素を摂り入れたとしても速く泳いで、速く走れるとは限りません。

たくさんの酸素を摂り入れてたくさんのエネルギーを作っても、そのエネルギーが競技に役立つように使われなければいけないのです。

よって、最大酸素摂取量が高ければ競技成績もよいかというと、必ずしもそうではありません。競技には技術面や精神面など、いろいろな要素が必要です。最大酸素摂取量だけでは競技力は高くならないと思います。

僕の専門種目であるトライアスロンには水泳があります。水泳は水をかく技術がなければ、どんなに最大酸素摂取量が高くても泳げないと思います。

だから、最大酸素摂取量がトライアスロンの記録に直接結びつくということはないでしょう。

これが僕のトライアスロンの成績です。

日本学生トライアスロン選手権 東海北陸ブロック予選会

1999/7/11 7:30 スタート
晴れ
気温28℃ 水温27℃ 湿度64% (9:00)

Swim 1.5km 27:17
Bike 40km 1:09:35
Run 10km 46:39
Total 51.5km 2:23:40

男子完走者52人中30位

にっぽん音吉トライアスロンin知多美浜

1999/8/29 8:00 スタート
晴れ

Swim 1.5km 26:27
Bike 40km 1:11:15
Run 10km 46:14
Total 51.5km 2:23:56

男女完走者415人中79位

トライアスロンレースは同じ条件では行われていません。したがって、トライアスロン選手の成績と最大酸素摂取量の関係を考えるには、同じレースに出場した者どうしが、同じ条件で測定された最大酸素摂取量を使わなければなりません。

最大酸素摂取量と競技記録が強く結びつくものとして、12分間走があります。12分間走とは12分間に自分の力で歩くまたは走ることで、どれだけの距離を移動することができるかという体力テストです。途中休んでもかまいません。走った距離によって、最大酸素摂取量が大体わかるそうです。

今度一回試してみたいと思っています。

 

まとめとこれからの課題

今回測定された最大酸素摂取量(3.95l/min、体重1kgあたり63.7ml/min)は一般の人と比べると非常に高い値でした。

自分の持つ酸素摂取能力はトライアスロン選手の中でどのような位置付けができるのか知るために、一緒にレースに参加したトライアスロンの仲間にも最大酸素摂取量を測定してもらい、成績と比べる必要があるでしょう。


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1999/9/15