TH-F7はケンウッドより発売された144/430MHz FM5Wデュアルバンドのハンディトランシーバーだが、トランシーバーとして見た場合は普通のデュアンバンダーだが、受信機としてみると非常に特色のある機種だ。実はこのTH-F7を使う前にバーテックススタンダードのVX-7を使用していたが、以下の大きな理由で乗り換える形となった。
・空線キャンセラーは使わない (鉄道無線などには興味が無い為)
・中波帯向けのバーアンテナ内蔵
・Narrow/WideFMだけではなく、SSB/CW/AMの受信が可能
ともかくバーアンテナの効果は絶大で、VX-7に中波帯専用のコイルを内蔵してることを「売り」にしているRHA627と組み合わせて、TH-F7を内蔵バーアンテナ使用の条件で実際に中波帯のAMラジオ放送局を聞き比べたところTH-F7の圧勝だった。しかもTH-F7のバーアンテナは短波帯のラジオ放送でも効果があり、中波・短波帯のラジオ放送を聞く条件ならばVX-7は敵ではなかった。(逆に、VHF帯のFM放送ではVX-7の方が良い感度を示し、スピーカーなどの出来の良さも手伝ってTH-F7ではVX-7に太刀打ち出来ない。)
アマチュア無線的には「SSB受信も可能」という機能が一番気になり、雑誌などでも大きく取り上げられたが一言でまとめれば「簡易的な仕組み」であり、選択度や感度などは本格的なHF帯トランシーバーや受信専用機と比べてはいけない。昔はAM形式しか受信できない短波ラジオ向けに外部BFOというものがあったが、それを使用して聞いた感覚に近く「とりあえず受信できるような仕組みを持っています」的なレベルと思っていた方が落胆が少ないと思われる。
そのSSBモード時の周波数調整方法だが、基本は5KHzステップでおおまかに調整を行い、FINEモードに切り替えた後に0.1KHz単位で微調整していく内容となっている。使い勝手としては特に問題はないのだが、簡易的なSSBの再現だけに帯域の切れなどフィルタ関係の装備は一切無いことから日曜日の7MHz帯などを聞こうとするならばCWのモールス音が混じったSSB音声が再現されることも珍しくはない。コンテストの時などになると2組の交信が微妙に混ざったような状態になり、混信に対しては非常に弱い仕組みとなっている。
この混信特性の悪さだが簡易受信機としてみると実は便利な点もある。それは5KHz単位でバンド内をスキャンする時に交信している局があると簡単にSSB独特のモガモガ音が聞こえてくるので各バンドのコンディションなどを知るには非常に役立つ。
全体的な受信感度としては得手不得手の周波数こそあれど、ハンディ型の広域帯受信機の平均レベルを維持していると思われる。しかし、不得手の部分にFMラジオ放送帯があり一昔前の受信感度レベルと思われるが個人的に144/430MHz帯の交信は興味が無いので無線機として使うよりは受信機として使うことが多い。
送信機として見ていくと、専用のリチウムイオンバッテリー使用時は[High:5W][Low:0.5W][E-Low:0.1W]と出力が極端に低くなる設定となっており、あまり高い評価は聞かないし使いにくい。バッテリー運用時の中間的な設定として2Wもしくは1W程度の送信出力モードが欲しかった。
幾つかマイナスポイントがあれど、VX-7と比較してTH-F7を選ぶ決定的な差になったのは直感的な操作性だ。普段使わない機能を操作する時でもマニュアルが無いのになんとかなってしまう。これは出先で威力を発揮し、「これかな?」というレベルで目的を達成できてしまう。
個人的に重宝している機能としてメモリchに登録した周波数を簡単にVFOへコピー出来る機能があり、単なるメモリチャンネルのサーチだけではなくメモリ登録された周波数をVFOに移してのサーチが簡単となる。VX-7では全ての機能を使うのにマニュアル(お世辞にもわかりやすいマニュアルではなかった)を必ず必要とするくらい複雑だが、TH-F7の場合はファンクションキーと連動させて安易に想像し易い操作となっている。(例としてメモリチャンネルの周波数をVFOに移す場合はVFOに移したいメモリを選択している状態で[F]+[M→V]の2ステップで完了)
このメモリchからVFOへコピーする機能は最初に開局した当時に使用していたTH-45Gもほぼ似たような操作であったので、ケンウッドの独特の操作性なのかもしれない。
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