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●企画趣旨:なぜ地域社会に芸術を浸透させたいか 芸術、なかでも絵画や彫刻などの作品の数々は、心身ともに元気で活力にあふれた人にとっては、あくまでも「鑑賞する」ものでしかなく、実際には何の役にも立たないと思われがちです。しかし何らかのきっかけで心や体のバランスが崩れたとき、人はそこに救いや活力を見いだし、救われた気持ちになることがあります。ふだん必要でないと思われるものこそ、実は人が生きていくうえで無くてはならない不可欠なものなのです。 ここ亀有には、活気あふれる商店街がいくつもあります。そこには個性的なお店が数多く点在(point)しています。当企画は、第一に各店舗オーナーの皆様のご理解とご協力が不可欠となりますが、その各店舗内外において、長期にわたり、作品の展示をさせていただきたく思っております。 芸術家の意識が店舗(ポイントpoint )に日常的に組み込まれたとき、そこにはより個性的で、魅力あふれる空間が生まれるのではないかと考えます。 ●具体案:芸術家による店舗展示について 商店街の店々に作品を展示することは、芸術家、店舗オーナーの双方にとって特別な試みです。展示のしかた次第では、オリジナル色溢れる魅力的な空間が演出できますが、芸術家の力量次第では、店頭にならぶ商品の力に押され、在り来たりの平凡な展示で終わってしまう危険性も含んでいます。 具体的なプロセス まず、芸術家と店舗は、どんな展示空間にしたいのかお互いに意見を出しあい、それについて充分に話し合うことが必要です。このプロセスを経て、相互理解が深まり、魅力ある空間を創ろうという意識が双方に生まれます。それからはじめて具体的な共同作業が可能になります。 魅力的な展示にするにはどうしたらよいか? 芸術家は、店舗内の雰囲気を最大限に活かした展示を心掛けねばなりません。ギャラリーなどの個展会場で発表した作品を、そのまま持ってくるような安易な展示は避けなければなりません。生活が息づく空間には、力のない展示など弾き飛ばしてしまう力があるからです。芸術家には「その店舗でしか成立しない展示」が求められます。おのれの力量が試されるところです。 つぎに、芸術家と共同作業(コラボレーション)をする店舗オーナーは、宣伝効果だけを期待してはいけません。もし、即効性のある宣伝を第一の目的にするのであれば、広告代理店にでも依頼するのが有効です(もちろん費用はかかりますが)。 展示期間は半年もしくは1年間。これって長い?短い? 商店街の活性化を目的に、芸術家が作品を1〜2週間ほど店舗に展示する試みは、すでに全国津々浦々あらゆるところで行われています。しかし、このような短い期間では、芸術が日常に浸透することはなく、一過性のお祭り的なイベントで終わってしまうのが現状です。 人は「水や空気は買わなくても手に入る。あって当然のもの」と思い、ありがたみを忘れがちです。しかし、水や空気がなければ人は生きていけません。芸術も同じです。日常生活ではさほど必要とされませんが、先に述べたとおり、人が心身のバランスが崩したときこそ、その必要性を感じ、水や空気と同様に必要不可欠と実感するのです。だからこそ、ある短い期間を設けた展示では、なんの意味がありません。「日常にいつでもあるという状態」を創り出すことこそが重要なのです。 ●芸術家と店舗の相互理解について 「芸術家」にとっての展示の意義 芸術家が、自身の作品を世の中に浸透させるべく作品発表の場を設ける--。これは、芸術に対する理解を世に広めていくうえでとても大切なことです。なかには、芸術家は制作だけ、専念していればよいという意見もあります。しかし、それは芸術に理解があり、文化の成熟した国での話で、残念ながらまだまだ日本では通用しません。芸術家は、日々自身の手の届く範囲だけでも裾野を広げ、耕し続けていく努力をしていかなければなりません。これは、芸術家自身を成長させる上でも大切なことです。 「店舗」にとっての展示の意義 直に作家と接することは、「いままで感じたことがない、考えたことのないたくさんの事柄」を彼等から享受できるよい機会でもあります。通り一遍ではない独創性をもつ彼等の、普段とは違った角度からも物事を眺める姿勢を垣間見ることで、「この人は、なぜこんな考え方をするのか? この発想はどこからでてくるのか?……」と感じることでしょう。この経験は、柔軟な考え方、自由な発想が求められる際などに、きっと役に立つと思います。 |