FMV-KB211の打鍵フィーリング回復方法
1999年8月8日公開
1999年8月11日字句修正
1999年11月3日字句修正
- 緒言
FMV-KB211というキーボードは、富士通製のDOS/V用親指シフトキーボードとしてもう何年も売られていたものです。最近は、これとは別にFMV-KB611というOASYS刻印のあるものが販売されていて、キーの感触が軽いですし、値段の点でもこちらのほうが有利です。しかし配列的にKB211のほうが使いやすいケースは多いですし、現在KB211をお持ちの方も多いでしょう。私も2台所有しています。
このKB211はもともとスイッチバネがすこし強くてキーストローク感がやや重めなんですが、使い込んで古くなると滑りが悪くなり、最悪引っかかるような感じになるようです。
実はパソコン通信でKB211の感触が非常に良くないという発言を読んだことがあるんですが、多分同じ状態になっていたと思われます。
このまま放置しても使いにくいので、減ってしまった滑りの悪いキーと、使用頻度の低い新品に近いキーを入れ換えすみることにしました。
結果は満足すべき物で、KB211は完全に生き返りました。そこで本ページは、この改修の全容をご紹介します。
なお、ここに出ている情報に基づいて改造をした場合、いかなる損害があっても私は補償しません。ご自分の意志と責任において行なって下さい。
何故キーが重くなるのか
上の図は、KB211のスイッチの構造です。レバー状の板バネを持つスイッチがシャーシ下の基板に取り付けられていて、キーのピストンをバネで押し上げています。
キーを押し下げるとバネがたわみ、一定以上押し込むとスイッチが入ります。
ここで問題は、ピストンと軸受けの滑り(上の図のA部)です。キーボードが古くなるとここに埃が入り、キー全般が重くなります。キートップ側からでは掃除できないので、通常は回復できません。
また使用頻度の高いキーは、A部のモールド表面が荒れて滑りが悪くなり、キーの端を押すと明らかに引っ掛かるようになります。
私のKB211は、丸2年、毎日使ったら次第にそうなりました。最終的に動きが悪いキーは以下のとおりでした。
・親指右
・親指左
・→カーソル
・左SHIFT
・←カーソル
・変換
・無変換
・空白
この8個のキーは、上に書いてあるキーほど動きが悪いですが、ほぼ使用頻度順だと思います。
メンテナンス方針
このようになったKB211は、言ってみれば「寿命」なんですが、買い換えたくても新品はありません。KB211は、すでに製造完了なのです。
もちろん修理はできるでしょうが、使用頻度が高くて入力に支障のあるキーを、使用頻度の低いキーと交換し、自力で延命をはかってみることにしました。
やり方は裏蓋を開けて基板を外し、キーアセンブリ(上図で、緑の部分とオレンジの部分)を使用頻度の低いキーと交換します。ついでに掃除機で埃を吸い取ってやれば、全体にキーが軽くなります。
以下手順を示します。
表カバーを外す
上図の赤矢印の2本のビスを抜きます。
表カバー(キーボードの回りの部分)はビスを外しただけではとれません。上辺5箇所、下辺5箇所、横左右1箇所ずつの合計12個ものツメでケースにとまっています(上図の黒矢印)。
ここの外し方にはコツがあります。まず、左右のツメを外します。次にケース側(下側)カバーを湾曲させるようにして、キーボード側(上側)カバーを上にずらすようにツメを外します。これでキーボード側カバーがフリーになりますから、下のツメを外します。
これがキーボード側カバーを外した状態です。黒い部分が鉄板シャーシ。キーアセンブリはこのシャーシにとまっていて、キートップはキーアセンブリにはめ込んであります。
プリント基板もキーアセンブリに裏からビス止めしてあり、その裏側をアルミ箔を張ったボール紙で覆っています。基板とアルミ箔は、この状態でケースにビス止めしてあります。
アルミ箔とケーブルを外す
基板をケースに止めているビスは、左上とF3キーの上の二カ所です。まずこれを外します。F3キーの上のビスはケーブルのラグが共締めになっていますので注意してください(どうなっていたか、よく覚えておきます)。
F3キーの上のビスを外すとボール紙の下にコネクタがありますから、これも外します。
基板を外す
ビスとコネクタを外すと、基板とシャーシが一体となってケースから外れますから、ひっくり返して、基板の裏のビスをはずします。ビスは全部で18箇所あります。あお、F10キー〜poseキーのあたりに黒いテープがあり、それで基板上のICがくっついていますが、力を入れれば簡単にはがれます。
これで基板がはずれて、シャーシにキーアセンブリが付いた状態が見えてきます。
この画像はシャーシにキーアセッブリがはまっている様子です。凹凸のある黒いものが軸受モールド。白いのがピストンです。右端に見えているピストンが上がっていますが、これは向こう側からキーを押し下げた状態ということです。
こちらは対応する基板側のスイッチです。アヒルの首のような板バネが、普段はピストンモールドを押し上げていますが、キーが押し下げられると板バネがたわみ、根元のスイッチが入ります。
掃除する
ここまで分解したら、ピストン側から掃除機で埃を吸い取ります。一番強い吸引力で念入りに吸って下さい。これだけでもキーが軽くなります。
キーアセンブリの交換
次に重くなってしまったキーアセンブリを、使用頻度の低い場所と交換します。
キーアセンブリは大きさが3種類ありますが、交換対象は2種類のアセンブリに大別できます。私は次のような組み合わせで交換しました。
[横長スタビ付キー]
親指左右キーの仲間で、キーボード上に5個存在します。
まずテンキー部分にある「+キー」と「enterキー」を外して、「親指左キー」「親指右キー」と交換します。
外した元「親指右キー」を「左shiftキー」と交換。
最後に残った、元「親指左キー」と「左shiftキー」を「+キー」と「Enterキー」に使います。
これで親指シフトの命である親指左右キーが、ほとんど使っていなかった新品になります。左シフトフトは調子の悪かった親指右キーがつきますが、キーを押す角度が違うので、ひっかかりは感じなくなります。
交換する時は、まずキートップを外します。この手の横長キーは、キートップ内に針金製のスタビライザとそれを引っかけるモールド部品が入っていますので、なくさないように注意します。
キーアセンブリを外すには、矢印の2個のツメをキリなどで押しながら、裏から指で持ち上げます。ツメは弱いので傷つけないように注意して下さい。
[小さなキー]
以下の組み合わせで交換しました。
・右カーソル←→num lock
・左カーソル←→print screen
・変換 ←→「ほ」
・無変換 ←→「ひ」
・空白 ←→「-」
小さなキーは、キートップは単独ですから、あまり気にしないで外して大丈夫だと思います。キートップを外したら上の図の矢印のツメをおしながら、キーアセンブリを外します。
元に戻す
以上の作業がすんだら、基板を取り付けます。スイッチバネを痛めないように慎重にやらないと動かないキーができてしまうおそれがあるので注意して下さい。
基板をとりつけてアルミ箔ボール紙とケーブルまで付いたら、一度動作テストしてください。よければカバーを取り付けます。
禁断の秘儀、バネ下げのワザ
以上の改造で、古いKB211は見違えるように使いやすくなるはずですが、KB611の軽い感触にはかないません。特に親指左右キーはもう少し軽いと良いのだがと思ってしまいます。
そこで、この2キーだけバネを少し下げてみました。
いろいろやって、適量は0.5ミリ程度でした。1ミリではキーががたつきますし、スイッチが入るのが深すぎてかえって入力しずらいです。0.5ミリだと、キーがそこそこ軽くて、スイッチ深さ的には反応が快適な範囲でした。
まとめ
KB211の改修は以上のとおりです。夏場に入り湿気が多いせいか、最近キーが渋くて肩が凝って困ったのですが、非常に快適になりました。
現在入手可能な親指シフトキーボードはKB611で、これはKB211よりはキーの感触が若干よいのですが、DOS/V用としてはやはり特殊な部類に入ります。
具体的には、実行キーがあるのでカーソルが遠いことと、「PgUp」「PgDown」「INS」キーの配列が違い、Windowsに慣れた操作を阻害することです。
もっとも配置はキー配列ソフトを使うことで解決しますね。基板を直接修正してしまう手も有る。
まあ親指シフトキーボードがJIS化されるときは、おそらく限りなくKB211に近いでしょう。私は最近KB211を見直しているんですが、感触が戻ったので再び愛用したいと思っています。
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