詩画集&音楽CD「人生すてたもんじゃない」について  

                           音楽 宮崎漢生

 このCDは、全編、画家・宮崎芳和(二紀会・父)の作詞に、舞台音楽作曲家・宮崎漢生(息子)が、作曲・編曲・演奏を行い、音楽仲間・演劇仲間に歌っていただき録音したものです。
すべて、みやざき音楽制作舎仕事場で、ライヴ的に録音・ミキシングを行ったものです。

以下は、コンセプト・アルバムとしての全体の構成です。
歌詞を私がどのように解釈して作曲をしていったのかというコメントです。
( )内は、歌手名です。

1
のぼせもん(パティオ・イカウィイ)
 博多山笠の歌です。歌は、ハワイ出身のソウル・シンガー。博多出身の男衆で歌うべきかとも思いましたが、博多の祭が国際的な可能性をもっていいと考え、パティオ氏に依頼しました。「のぼせもん」とは、博多弁でニュアンスが難しいのですが、あえて説明すると、なにかに熱中して突っ走る人間の事です。「のぼせもん」とは、ロックスピリッツでもあり、生きざまでもあります。複雑でストレス過多な社会を乗り切っていくためには、もっともっと、「のぼせもん」が増えないと活力がでません。そして、それを影で支えているようで男を手玉にとっている「ごりょんさん(のぼせもんと言われる男衆の女房衆)」の心意気。山笠にでている人間だけでなく、そういう人間模様の歌です。
2

糸車(影田奈都美)
 人を最も癒すものとは、何なのか。人に刺激をを与えない、安らぎを与える・・といった消極的なものより、すでにこの日本の社会は、「積極的な癒し」が必要になってきていると考えます。それは、故郷であり、幼き日の美しい思い出である。そして、一緒に生きて来た人々や、生きてきたそのものに対する感謝の気持ちである。この曲からは、それを作詞の父の具体的な体験(熊本県・天草)を通していく曲へと入っていきます。
露天風呂の中で、湯舟に映った月を両手ですくう。その行為から、宇宙的な精神世界へとワープします。

3

故郷港(岩切芳江)
 歌詞は、かなり演歌的なのですが、あえて、情念的な世界ではなく、牧歌的な曲想にしました。私の二胡とヒチリキが聴こえます。糸車が過去の家であるのに対し、風景がそれを包むものへと変化しています。
癒されるものとは、自身の原風景であり、母の存在である。

4

伴天連祭(木本とも子)
 天草・下島南端の牛深という漁港の祭です。
 演歌ですが、ロック系と音頭系をミックスした仕上げになっています。
 九州の祭のざわめきのサンプリングなども使用しています。

5
雪の宿(影田奈都美)
 具体的な場所は、湯布院の手前にある湯の平温泉です。
 歌詞は、演歌なのですが、深遠な山の風景をイメージするために、叙情的なフォークの曲想で、演奏はオーケストレーションです。
6
いのちの燈台(大下美智子)
 演歌的な要素をもっているのに、演歌じゃない曲が続いた所で、曲想も演奏も演歌です。それでも、ベタの演歌ではないアレンジをしています。
 自分の人生とそれを支えてくれた人々に対する感謝の気持ちの歌です。
 人生における、心の支えとは何か、それがこの曲です。
7

聖なる星の街(パティオ・イカウィイ)
 一気に、ラテンへ。スペインのサンチャゴへの巡礼の歌です。
 父から子へ受け継ぐものがある。それは、ただひたすらに、自分の理想にむかってあらゆる苦難と戦い、歩み続ける「絶えまない情熱」である。

8
大学通りの願掛け地蔵(木本とも子)
 場面は福岡へ。なだらかな風景の中に、家族と暮らしとを支える女性の強い意志が隠されています。

9
天神あたり(宮崎漢生)
 天神(福岡市の繁華街)歩いていると、なぜか、こころ細くなったり、不安になったりします。そういう時代を客観的に歌っています。歌はヘタなのですが、音域だけは広いため、バスからテナーまで、一人で全パートを私が歌っています。
10 天草空港(岩切芳江)
 都会の街で疲れて、再び、故郷をめざして飛行機で旅たちます。
 その世界感をいきなり変えるために、ポップスから演歌へ転換します。
11 島の出船(大下美智子)
 未亡人となった女性が、海で亡くなったご主人をしのぶ歌です。
 美しい思い出を残してくれた事に対しての感謝に満ちた歌です。
12 早崎海峡(岩切芳江)
 天草と島原半島の間にある海峡です。幼き日の原風景から、時間がたちあらゆるものが姿を変えていった事を自分の中で認め、現在の自分をあるがままに受け入れる事。それがこの歌です。
13 むつごろうロック(宮崎漢生)
 諫早湾干拓事業に対する反対を叫ぶ歌です。
 私たちの有明海を返せ!!!。
14 さくら(やまもときょうこ)
 どれほど沢山の人々が生まれ、死んでいった事だろう。一見、おびただしい数の花びらも、縁を持ってそこに集い咲き、散っていく。私達、人間も縁があり、湧きいでるように生まれ、死んでいく。また、次に生を受ける時、親子として、兄弟として、友人として縁をもって生まれてくる。という事を歌っています。

15 人生すてたもんじゃない(宮崎靖子)
 これまで、私の知人・友人の中で、自らの生命を絶って逝かれた方々がいます。自殺というのは、死亡原因の中で、どんどん大きくなってきています。
 人それぞれの生き方でいい。自分を悲観する事も卑下する必要もない。と言いたい。
 この曲のエンディングは、青空の海原を、大漁旗をかかげて、波へ向かって走っていく小さな漁船の姿です。どんな事があっても、自分の気持ちの中で、旗をかかげているかぎり、生き抜いていける。今、人生をなげだそうとしている方々、すべてにこの歌を届けたい。

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