飛行機を見たいと少年は考へた
夢にまで見て飛び立つ思ひでやつて来た
建物は古びてゐた
巡査の意地わるさうな目つきと
紳士達のわざとらしい身ぶりと
待合室の閑散な煙草のけむりのたゆたひが
彼をむかへたものだつた
一刻を爭ふことのために
あんなやつらが乗つてゐたのか
叫んで 彼は 緊張を
あざ笑ひたい程だつた
夢をこはさなかつたのは
廣い 長い 滑走路の遠い眺めであつた
貧しい彼を愛情を持つてむかへたのは
人間の居ない場所だけであつた
戻る