<注意>この文章はハボックが黒いです。 ぶっちゃけ酷いヤツです。それなりの性描写があります。




ロイは息を整えるために、喉元手をおき、なんとか落ち着こうとした。
久しぶりに全力で動かした足はガクガクで、日頃の訓練不足を呪う。
何が起きたのか分からず、ただその場にいたら危険だと頭で警鐘が鳴り響いていた。
このままここにいても見つかる。
重くて、もう動きそうにない足を叱咤し、再び走ろうとするが、それがもう遅いことに気付かされた。

「大佐、何してるんすか?」
「っ!!」

いつの間にか後ろにいた。
振り返るのが怖い。自分の心音が酷く大きく鳴り響いている気がする。
深呼吸を一回して、後ろをゆっくりと振り返ってみると、自分が逃げてきた男が立っていた。

もう追いつかれたのか。
自分の足が遅いのか、それともこの男の足が速いのか。
追いつかれてしまったこの状況ではそんなことを考えるのは無意味なことだが、 少しでも冷静さを取り戻そうと、この男に抱く感情に意識を向けないようにする。

「大佐じゃ、オレを撒くなんてできませんよ」

一歩一歩距離を縮めるその姿に、ロイはそれが少し前までの優しくて、穏やかで、 そして田舎臭さのあったハボックと同一人物だと思えなかった。

発火布は奪われて手元にない。 油断した隙に、気付いたらいつものポケットから抜き取られていた。
錬金術で逃げようにも、錬成陣を書く道具もなければ、書く隙もない。
書いている間に、捕まってしまうだろう。 それは容易に想像できることだった。

「無駄っすよ。どこに逃げるっていうんです?」
「近づくな」

きつく睨みつけて命令するが、ハボックは聞いていないように、さらに距離をつめ、 腕を伸ばす。ロイはその腕を力いっぱい払った。

「近づくなと言ったのが聞こえなかったのか」
「聞くつもりなんてないっすね」

少しずつ後退するロイに、ハボックは一気に距離を縮めると、物凄い力でロイを引き寄せた。

「放せっ!!」

腕の中でもがくが一向に外れる気配はない。 それどころか、すごい力で締め付けられ、身動きができない。
顔を上げれば、目が合うのが分かるので、絶対に上げたくなかった。
ハボックの顔など今は見たくないからだ。

「大佐、大人しくしてくださいよ」
「くそっ!ふざけるな!!」
「すぐ済みますよ」

声がどんなに優しくても、これはいつものハボックではない。
おそらくいつもの温かい木漏れ日のような目は、今は凍りつくような光が浮かんでいるに違いない。
上半身は完全に固定されていて、このままでは無駄に体力を消耗するだけだ。
ロイは少しでも自由な足で、この腕から逃げ出すために脛を思いっきり蹴ろうとした。

「おっと、危ねー」
「うわっ!!」

ロイの行動を読んでいたハボックは、蹴られる前に、ロイを肩に担いだ。
急に視界が高くなったことにロイは驚き、反射的にハボックに顔を向けた。
それでもハボックは表情一つ動かさず、ロイと目を合わせる。
その頬には、叩かれた後があり、口の端に血が滲んでいた。
それは、ロイがハボックから逃げるきっかけになったものだ。

「行きましょうか」
「どこにだ!!」
「車に戻るんですよ。大佐が出ていっちまったから、あのままなんです」

肩に乗せられたままの移動で視界が揺れる。
地面に手を伸ばしても届きそうに無い。
広い背中を殴ってみるが、上手く力が入らずびくともしなかった。
時間が夜中だということと、裏路地に逃げ込んたことが重なり、人の気配が全くしない。 助けを呼んでも、おそらく誰にも聞かれないだろう。
逃げ道を模索している内に、ロイはハボックから逃げて来た車に連れ戻されてしまった。
乱暴に後部座席に放り込まれ、息を詰まらせる。すると、ロイが体勢を整える前にハボックが上から圧し掛かった。

「っ!!止めろっ!!」
「さっきみたいに逃げられると困るんで、少し痛いかもしれませんけど我慢してください」
制服の飾り紐でロイの両手をきつく縛ると、ハボックはロイの身体から離れドアを閉める。
そして、運転席に戻りエンジンをかけた。

「どこに行く?」

詰問口調でロイが尋ねると、「オレの家です」と静かに返ってきた。

ハボックの家の前に着くと、また肩に担がれ、下ろされたのはベッドの上だった。
煙草の匂いが布団にまで染み付いていて、荷物のように投げ出されたロイが考えたことはまずそれだった。
これから行われることを考えるとぞっとする。この匂いに囲まれた中で、その主に抱かれるのだ。
忠実な部下だと思っていた男に、無理矢理にされるなんて屈辱以外の何者でもない。
ロイは縛られた紐がはずれないか色々動かしてみるが、きっちり縛られていてほどける様子はなく、腕がじんじん痛む。

「さてと」

ロイをベッドに置いた後、部屋の扉に鍵を閉めに行ったハボックが、少しの間を置き、ゆったりとした足取りで、 ロイのいる寝室に戻ってくる。

「探したんですけど、軟膏みたいなのウチに置いてなかったんすよ。 まあ、少し辛いかもしれないけど、我慢してくださいね」
「ふざけるな!!お前となんてそんなことするつもりなどない!!これをほどけ!!」
「嫌ですよ。大佐にはその気はなくても、オレにはあるんですよ。オレ、結構こっち自信あるんで、 大佐も楽しめると思いますけど」
「女とでもやってろ!!」
「まあ、試してみてくださいって。ヒューズ中佐と比べてみてくださいよ」

その瞬間ボタンが弾け飛んだ。




(up.05.04.23)

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