しばらく馴染むまで動かさずに、口付けを続けた。 飲み込めなかった唾液がこぼれ喉を伝う。
ロイの心が自分を受け入れてくれなくても、こうしてそれ以外の部分が混ざり合えるなら、その一時だけロイを手に入れた気になれる。
それを虚しいとする気持ちなどとうに消えた。痛む心があったら、最初からこんな傷つける行為などしていない。

「動きますよ」

痛みで硬直していたロイの身体から強張りが少しずつ消えていくのをキスの間に感じていた。
奥まで穿ったモノを入り口付近まで引く。

「う、動かすなっ!!」

内部が圧迫されていたのが、少し楽になるが、これから襲う衝撃にロイは身を竦ませた。

「うああっ!!」

挿入された時の圧迫感も凄まじかったが、内部で繰り返し出し入れされる圧迫感に、なりふりかまっていられなくなる。

「ひっ!うあっ・・・あ、あ、」

止むことのない揺さ振りに、喉をついて出る声に、艶が混じるのは、まだ先で。
ハボックは一切口を閉ざし、組み敷かれている身体に夢中で己の欲をぶつけていた。

中に熱を注ぎ込まれた感覚に血の気が下がった。

抱かれるのに慣れた身体は、血の滑りに助けられた注挿に、少しの快楽を見出そうとした。
思いも寄らぬ衝撃に打ちのめされていたので、現実から意識を逃避させたかったのかもしれない。 自分を抱く部下を見上げる気にさえも起きてこないほど、犯されたのがショックだった。
ヒューズへの罪悪感に苛まれ、腹心の部下に思いも寄らない形で裏切られたと感じた。

ヒューズにもハボックにも今後どう対峙していいか分からなかった。

体内で脈打つ肉と、一呼吸置くように覆いかぶさってきた男に、中に出されたのだと分かった。
頼りになる部下、自分に従順な犬だと思っていた男に、押し倒され、突っ込まれ、挙句の果てに中で出された。 悔しさと屈辱で、身体が震え、また新たな涙が筋を作る。

「大佐・・・」

ハボックは、ロイの中から抜かずに、上体を起こして、ロイの頬を両手で挟んだ。
嗚咽が止まらない。ここまでの屈辱を味わされた相手に、泣き顔を晒すのはロイのプライドをズタズタに切り刻んだが、止めることができなかった。

「ヨカったです、大佐は?」
「ふっ・・ひぐっ・・・っ・・もう・・いいだろ・・」

泣いて上手く言葉を紡げない。 相手を威嚇などできない、情けない声だと分かっていても、無理矢理に銜え込まされた相手に、何か言ってやらねば気が済まなかった。

「ホント、大佐って可愛いっすね。こんなになっても、強情なとこ全然変わらないんすから」

狂気の光を宿したまま、声だけはいつもの穏やかな声で。

本当は自分が知らないだけで、いつもハボックは自分をこの目で見ていたんじゃないか。
背後に従うハボックが自分をどう見ていたのかを考えるとショックを隠せない。 自分は何も分かっていなかったのだ。

「ああ、イってないですもんね。そりゃあヨクなかったのも仕方ないか」
「触るな!!」

ロイの下半身を見て、半立ちになっているモノを掴む。 ハボックの手に握りこまれたことの嫌悪感で、少しずつ快楽に答えた中心が力を失くす。

「うわ〜失礼じゃありません?せっかく、こっちはイカせてあげようとしてるっていうのに」

おどけて言っているものの、怒りが混じっているのが伝わる。
だからといって、強制的にイカされるのを大人しくされるがままになるわけにはいかず、ロイは身を捻る。

「くっ・・そっ・・!!」

後ろ手に縛られていて、両足の間に入り込まれているので、蹴り飛ばすこともままならない。
避けるように動く腰は、先を強請るように、ハボックの手の中で己をこするように動いている見えた。

「積極的っすね」

ロイの意図を知りつつも、強請るようにしか見えない動きを揶揄する。
口元を片方吊り上げて、苦笑すると、掴んだロイ自身を上下に擦り、特に裏筋を刺激してやった。

「ふっ・・!あぅっ、ああっ!」

一番の性感帯を刺激されれば、嫌でも背筋に快感の痺れが走る。
先端は先走りで濡れ始め、擦られる毎に、ぴちゃぴちゃ音が鳴った。

「こっちもお願いしますね」

中心を弄ることで、ロイの後孔が締まり、ロイの中から抜かず挿入したままだったハボックの雄が力を取り戻す。

「ま、また!?」

腹の中の圧迫感が増し、自身へ与えられる快楽に加えて、突き立てられるソコからの刺激に、ロイは身体が完全に陥落してしまう予感がした。

「気持ちいいんでしょ?」

ハボックはゆるゆると動きを再開し、ロイの前も弄った。
首を横に振ることで答えるが、前を直接弄られ、汁を零すのを止められず、感じているのは一目瞭然だ。

「意地張っていられるのも今だけですよ。 それとも、ヒューズ中佐のために心だけでも感じないってヤツっすか?」

ヒューズ・・・。

涙で視界がぼやける先にいるのは恋人とは違う男。
1ヵ月前の中央への出張で最後に会ったきりで、明日会うのを楽しみにしていたのに、今では会うのが怖い。
油断がこの事態を引き起こしたのだろうか。

そう思うと、情けなさで心が潰れそうになった。




(up.05.06.19)

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