(ないっ!!)

ロイはいつも枕元に忍ばせている発火布を探った。
これがあるためハボックに押し倒されても、がむしゃらな抵抗をしなかったのだ。

どうせ最後まですることはない。
頃良いスキをみて、発火布をちらつかせれば自分から離れる。
ロイはそう高をくくっていた。
しかし、自由になっている左手で探っても発火布の感触がない。
必死になって探していても、首をこれ以上上に動かせないので手で探る以外方法はない。
だが、そうこうしている間にもハボックの手や顔がどんどん下に移っていく。
まさにロイにとって時間との勝負だった。

「大佐、何か探してるんですか?」

ロイの右腕を掴んだまま、ハボックが顔を寄せる。

「うるさい!!顔を近づけるな!!」
「うわー。傷つきますよ、それ。」
「知るか」
「もしかして・・・発火布とか?」

そう言うとすぐハボックは今までロイが探っていた枕元に手を伸ばした。
ハボックが先にそれを見つけたら、自分の逃げる手段がなくなってしまう。
ロイはハボックよりも先にそれを手にしようと左手を動かした。

(これだ!!)

かなり上の位置に発火布はずれていた。
通りでいつもの位置にないはずである。
勝った、と内心ロイは思った。

「オレの勝ちですよ、大佐」

そう、発見したのはいいが、自由になる左手だけでは発火布は上手くはめられないのだ。
一瞬にして、ハボックに取り上げられ、部屋の端に投げ捨てられた。

「大佐ってどこか抜けてますよね〜。まあ、そこが可愛いんですけどね」

本格的にロイは青ざめてきた。
これでは中尉に無能と言われても反論できないのも仕方ないのかもしれない。
ハボックはロイの上に乗ったまま、勝ち誇ったかのように満面の笑みを浮かべている。

「止めろっ!!馬鹿犬!!」
「オレだって男なんです。これで止めれるわけないでしょう」
「これは命令だ!!私の上から離れろ!!」
「聞けませんね」
「お前!!飼い主に口答えする気か!!」
「どんな犬だって、従順なときばかりじゃないんですよ!!」

足の間に身体を入れられては、どんなに暴れても不利な体勢を覆すのは難しい。
その上、ハボックとロイとではかなりの体格差がある。 つまり体力と力では勝てないロイが下にいる時点で、劣勢なのは火を見るよりも明らかだった。
ハボックは片膝をロイの股間に当て、グリグリと刺激する。

「うわ・・っ!」

刺激を受け、ロイの中心が僅かばかり反応を返したことに気を良くし、 ハボックは既に肌蹴させた胸の突起物をペロッと舐めた。

「あっ!バカっ!!止めろ!!」

ロイは初めての感覚に背筋を反らした。
女を抱くように、自分を抱こうとするハボックを今更ながら驚きの目で見る。
男同士のセックスでは突っ込むところが違うというだけで、女とヤルのと大差がないのは耳にした事があるが、 いざそれが自分の身に起こるとなると、冷静に考えてはいられなかった。

「変なトコを舐めるなっ!!」
「へへっ、ここ感じます?」

ハボックは今のロイの反応をもっと見たくて更に舐めると、ロイは再び背中を反らし、押し殺した喘ぎを漏らす。
いつもきっちり軍服を着込み、厳しい顔を崩さないロイが、軍服が乱され、己の愛撫に反応し、声を押し殺す姿は、 酷くハボックを煽り、思わず喉を鳴らした。
もっと乱れた姿を見たくて、スラックスを脱がそうとベルトを外す。
ロイは抵抗を強め、ハボックの背中を蹴ろうとするが、それは叶わず、下半身が空気に曝された。

今にも泣きそうな顔をして、ロイがハボックを睨みつけると、その視線を無視し、ハボックはスラックスの片足を抜いた。
その際にも、ロイに蹴られそうになったが、足首を掴んで上手くかわし、押さえ込む定位置に戻った。
ロイの中心は先程からの刺激で既に半勃ち状態になっている。

「見るな!!見るな!!見るな!!」

愛撫する際に解放された右手でハボックの頭を押し返し、左手で肌蹴られたシャツの裾を引っ張り局部を隠そうとする。
顔を真っ赤にして、シャツで局部を隠そうとする姿にそそられ、もうしばらくこのままにしようかと思ったが、殴られる気配が したので、有無を言わせぬ力で、両手をシーツに押し付けた。

「気を抜くと、あんたは何するか分からないっすね」
「お前がこんなことをしなければ、私は何もしないんだ!!」
「あんたに惚れてる男を家に上げて、普通に考えて何もないわけないでしょうが」
「お前はいつも、こんなにがっついているのか!!」
「こういったことは今回が初めてです。」

問答を続けていても、この調子のロイだと、いつまでたっても協力を得ることはできないと判断し、 ハボックは先を続けることにした。
外気に曝されたロイの中心に触れると、先走りで先端が少し濡れている。
お互いに気持ち良くなりたかったので、男だったら刺激されたら快感を生む箇所を集中的に弄った。

「あっ、あ、あ、あ・・はっ・やめっ、うぁっ」

先端から汁溢れ、中心はどんどん固くなっていく。
ロイは男性ならではの的確な扱いに、快感を抑えることはできなかった。 感じまいと声を押し殺していたのが、絶え間なく襲い掛かる快感に、喘ぎが自然と口を突いて出るのを止められない。

「ふぁっ、ああ、あ、うぅ、ふぁっ」

ロイの痴態に己の限界も感じ、そろそろ自分も気持ち良くなろうと、ロイの後腔に先走りで濡れた指を差し入れた。

「うわぁ!!」

すると、甲高い悲鳴と共に身体が大きく跳ねた。
ハボックは予想外の反応に動きを一旦止める。

男を抱くのは何しろ初めてだ。自分は何か間違えたのだろうか。
悲鳴をあげたロイは、小刻みに身体を震わせている。
これまでのプロセスを思い出しても、どこがいけないのか分からないハボックは首を捻った。
指をこの程度濡らしたくらいでは足りないのかもしれない。
かといって、ローションの持ち合わせはないし、今更買いになど行ったら、どうなるか目に見えている。
しかし、このままコトを進めてしまうにはロイは酷く痛そうだ。
ハボックの指を銜えたまま、身体を震わしているロイを見ると、とてもじゃないがこのまま進められそうにない。

そう思い、ハボックは少しでもロイに気持ち良くなってもらおうと、両膝裏を持ち身体を折り曲げ、思い切り足を左右に開かせた。

「え!?」

湿った感触でロイは我に返った。己のさせられている姿堪えようのない羞恥心を覚えるだけでなく、信じられない箇所に 舌が這わせられたことにショックを受けた。

「ハボック!!な、何てことをしているんだ!?」
「ちゃんと馴らさなきゃと思いまして」
「そんなことせんでいい!!止めろ!!止めろ!!」
「だって痛そうにしてましたし、絶対この方が楽ですよ」
「バカっ!!そんなトコロでしゃべるな!!」
「も〜、黙っててください」
「ひっ!!」

舌の動きが再開され、ぴちゃぴちゃと濡れた音が鼓膜を震わす。
より身動きがとりにくくなったが、2つに折り曲げられた姿勢のため、自分が何をされているのか 視線を僅かにずらすだけで見て取れる。

「あ・・はっ・・んぁ・・」

後腔に侵入してきた生暖かい異物の感触に、罵しろうとする言葉を失った。
胸を舐められたり、中心を弄られるのとは違う類の刺激に、頭が真っ白になる。

ハボックは十分ソコが濡れたのを確認して、再び指を1本挿入した。
滑りで先程よりも楽に侵入でき、これなら大丈夫だとハボックは胸を撫で下ろした。

「い、痛いっ!!抜けっ!!抜けっ!!」
「ウソでしょっ!?まだこれでも痛いんすか!?」

侵入しやすくなったというのに、まだ痛みを訴えるロイに、ハボックはまだ濡らし足りなかったのだろうか、と考える。
しかし、自分の尺度ではあるが、かなり丁寧に濡らしたと思う。
唾液なので、ローションに比べたら滑り具合が足りないが、強引にコトに及ぼうとしているとはいえ、 女とヤルよりも自分は丁寧に濡らしているつもりだ。
ヒューズは中央にいるから、しばらくシていないんだろうか。
有り得ることだ。女と違う箇所に入れるのだから、少しヤらないだけで、狭くなってしまうのかもしれない。
だが、例えそれだとしても、このロイの反応は後ろを使うことに慣れているとはとても思えないものだった。

(もしかして・・・)

ここでハボックは考えたことのなかった一つの推測をした。

「大佐・・・もしかして、処女なんすか?」
「しょっ、処女とか言うなっ!!馬鹿者!!」

顔を真っ赤にして怒鳴るロイはハボックの問いかけを肯定しているのも同じだった。

「ま、マジっすか!?」
「・・・」
「まだ中佐とヤッてないんですか!?」

やけに痛そうにしているから、おかしいと思った。 だが、まさかヤッたことがないだなんて驚きだ。

「さっさとどけっ!!」
「嫌です!!」

押さえ込む力をさらに加えた。

「オレだってのっぴきならない状態なんすよ!!あんただって同じ男なら分かるでしょう!?」
「分かるか!!一人でヌいてろ!!」

必死の抵抗が幸をなし、上手いこと動かせた片足をハボックの鳩尾に叩き込む。

「いってーー!!」

ロイにとって予想外だったのは、どくかと思っていたハボックの身体が前のめりに倒れて、 自分の身体の上に倒れてきたことだろう。

「重いぞ!!」
「あ、あんた・・・」

どこまでもえらそうなロイの態度にハボックはあきれを通り越して感心した。

「このままではお前はレイプ犯だ!!」
「・・・うっ」

それはハボックとしては戴けない。 できればやはり合意でしたいのだが、この上司は絶対に頷くことはないだろう。
それに、この機会を逃せば永遠にロイを抱く機会なんて来ないかもしれない。

「大佐・・・」
「嫌だ」

頑なに拒むロイにハボックは一瞬止めようかと思った。

「・・・ヒューズとでさえシたことがないのに」

本当に微かな呟きだったが、ハボックの耳は確か聞いてしまったのだ。
一瞬にして頭に血が上った。

「・・・中佐とだったらヤッてもよかったんですか?」
「そんなことは言ってないだろう」

ハボックの指摘は図星だった。
思わず漏れた言葉に暗い声で反応を示すハボックにロイは聞かれた事実に後悔しつつも それでも弱気になることはなかった。

「言ってると同じようなもんじゃないっすか」
「何でもいいからさっさとどけろ!!」
「大佐、そういう態度が男を煽るんですよ」

ハボックはもう止める気はとうに消えう失せていた。
ロイを犯すことで、ヒューズとの間にさえもないロイとの関係が築くことができることに喜びを感じる。

捻じ込んだ指を抜かず、そのまま奥に押し込んだ。
ロイは衝撃に息を止めた。目を見開いて、痛みに耐え、うっすらと目の端に涙すら浮かべている。
いつも気丈で、自信が満ち溢れている目に涙を浮かべでいる姿は酷くハボックの雄を興奮させた。
もう後戻りはできない。
痛そうにしているロイに構わず、指の本数を増やし挿入する。
優しくする余裕なんてなかった。理性が欲望に侵食され、本能の赴くままにロイを犯そうと思った。
痛みに耐えている表情も、零される涙も全てに雄の興奮が高まり、性的衝動を加速させた。

奥まで入れられた指の感触に恐怖しか感じず、ロイの身体がカタカタ震える。 それはハボックにも伝わったようだった。

「もう少し、我慢してください」
「で・・き・・ない・・っ・・うぅ・・」

首を横に振って、涙を零す。

ハボックの指は決して細くない。外で体力仕事をすることが多いのもあり、むしろ節張っていて太い。
指でこれだけ痛いのだ。これが今から入れようとしているモノだったら、裂けるに決まっている。
どんなにロイが軍人として訓練していて痛みに耐性があっても、その部分への衝撃など考えていない。
指でまさぐられる感触と痛みに目がチカチカする。
いっそのことこのまま気を失ってしまい。
その願うが、ロイの意識は痛みと異物感で支配され、遠のくことはなかった。

「うぅっ」

ぐりぐりと奥を目指す指は、これから挿入する雄の道を作る目的で、バラバラに動かされた。
ロイの身体はガチガチに強張り余計硬直した。

「力を抜いてください」

力を抜くどころか、益々力が入り、異物の侵入を拒もうとする。

「い・・・いた・・いたい・・・」

涙がボロボロ零れ落ち、歯の根が上手く噛み合わないが、必死で拒絶の言葉を紡ごうとするロイは、 ハボックには逆効果で、止めるどころか、嗜虐心を煽る。

「大佐・・・」

気持ちよくしてあげたい。
そう思いながらも、必死のロイは押さえ込む力が弱まると、抵抗を強める。
ロイを犯すことに夢中になったハボックに、それを抑えながら、相手を気持ちよくするという 芸当ができる余裕はなく、ロイが必死なのと同等にハボックも必死だった。

「もう無理っす」

中に入れていた指を一気に引き抜き、ロイが一瞬力を抜いた隙に、ハボックは自身を押し入れた。
声にならない悲鳴と散った涙がロイの衝撃を表していた。





ハボックがロイの身体から離れたのは、数回中に放った後だった。
それも、ロイの意識がなくなっていることに気付いたから止めたのだ。
組み敷いていた身体は弛緩してぐったりしている。
よほど力を込めたのか、シーツを握り締めた後がくっきりと残り、唇には血が滲んでい た。瞼は腫れていて、一目で長時間泣いていたことが分かる。このままでは明日になれ ば、もっと腫れていることだろう。
頬を濡らした涙はまだ乾くことなく、気を失う直前まで泣いていた証拠だった。
身体に残る、強く掴まれて赤くなった痕の残る手首と腰、太腿に自分の握力が思ったよ りも強かったことを知った。
鬱血は身体中に散らばっており、白濁液が散っているのが何事があったかを物語っている。
極めつけは、内股の赤い筋だ。 入り口が切れて、たった今ハボック自身を収めていたソコは痛々しく腫れ上がっている。

「大佐・・・」

優しく癖のない柔らかな髪に指で梳くと、さらさら指の合間をこぼれていく。

「愛してます」

何も聞こえていないロイの唇に自分の唇を重ね、犯してしまった事実を今更悔やむ気はないが、 それでも、突きつけられた現実にロイを傷つけてしまった己の愚かさを、例えそれが偽善と 罵られようとも、嘲った。




(up.05.03.07)

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