雑記
「トンネルヴォールト」という呼び方について
このサイトで「トンネルヴォールト」と呼んでいるヴォールトは、他には「円筒ヴォールト」とか「かまぼこ形ヴォールト」あるいは「樽形ヴォールト」などと呼ばれることがある。
「円筒ヴォールト」というと、文字どおり360度の「円筒」を連想されたりするので、人によっては、厳密にいえば円筒を半分に切ったものだから「半円筒ヴォールト」という呼ぶのが正しいという。しかし、このヴォールトをさらに半分に切ったヴォールトを何と呼ぶかということになると、前者の呼び方に従えば、「半円筒ヴォールト」あるいは「1/2円筒ヴォールト」になり、後者の呼び方に従えば「1/4円筒ヴォールト」ということになってしまい、混乱が生じる。
その点、「トンネル」を使えば、ほぼイメージが実物と重なるので問題がないし、「かまぼこ」のようにややつぶれた形や、「樽」のように真中が太い形に惑わされることもない。
数年前、フレッチャーの「世界建築の歴史」を翻訳した時にも、共訳者の間でこのヴォールトの呼び名が問題になり、最終的に「トンネルヴォールト」にすることになった。しかし、中には「トンネルヴォールトは専門用語としてはどうか」と難色を示す訳者もいた。つまり、「トンネル」というと、「汽車汽車ポッポーポッポー」の童謡や、幼児のお砂遊びでつくるトンネルを連想してしまい、学術的な響きがないというのである。
ちなみに、英語ではtunnel vaultで、まさしく「トンネルヴォールト」の意味である。「トンネルヴォールト」が専門用語らしくないというのなら、もっと英語の原音に近い「タネルヴォールト」と呼べばいいのでは、という意見も出たが、誰も賛成しなかった。
やはり「トンネルヴォールト」という呼び方が、理解しやすく誤解がないという点で最もすぐれていると思う。