2003年の初演から3年、『百鬼夜行抄2』も無事閉幕。今市子さんの人気漫画、そしてわかぎゑふさんの脚本とのコラボレーションも楽しい舞台でした。 今回も公演終了後、加納さんにお話を伺いました。 加納さん及び花組芝居さんの寛大なご配慮によりその模様をこちらにアップさせていただきます。(いつもありがとうございます!) なお、以下の文章の文責はすべて大原にあります。 また、もしよろしかったら、新・ご記帳所に感想などをぜひ一言書き残していって下さるととてもありがたく存じます。 ●初演とは大分趣が違う『百鬼夜行抄2』となりましたね。前作はオムニバスの内容で、まさに『妖怪が出てくるサザエさん』という感じでしたが、今回は1本通したストーリーになって、より深みがある舞台になっていたと思います。それはどうしてでしょうか? 脚本をお書きになったわかぎゑふさんが言ってましたが、前回の公演のときに書かれていた原作漫画と、今の原作は作品の持つ雰囲気やテイストが変わってきているんですね。それに基づいて舞台化をしたらこういう形になりました。 ●配役については前回に引き続いてのキャストの方と新キャストになっている方といらっしゃったんですが、どうやって決めたのでしょうか? 今回は配役を初めに決めずに稽古に入って、11通りも配役を変えて読み合わせしたんです。「これははまるかな」と予想していた人がはまらなかったり、予想外の人がはまってたり。結局想定外の配役になりましたね(笑)。初めは配役は全部変更しようかと思ったんですが、前と同じキャストを想定してわかぎさんが脚本を書いていたということもあって、4人は前回と同じ配役になりました(青嵐の水下きよしさん、飯嶋絹の八代進一さん、飯嶋覚の桂憲一さん、住職の原川浩明さん)。 ●今回の配役の特徴としては、前回入座披露した新人3人がそれぞれ大役を演じていたことだと思います。加納さんから見て、飯嶋律を演じた美斉津恵友さんは? 原作に書いてある律よりも熱い律になっていた気がしますね。でもそれが彼のキャラクターに合っていたと思う。普段の彼は飲んでる席でもずっとニコニコして黙ってるような割と無口なヤツなんですけどね。前回公演のときの律は浪人生だったんですが、美斉津が律をやることになって「学ランを着せたらはまるよね」ということで、高校生の設定にしたんですよ(笑)。実際、学生服を着せたらピッタリでしたね。 ●そういうことだったんですか(笑)。鬼灯を演じた小林大介さんも独特の色気がある役者さんで、面白い個性だなと思ったんですが。 実際他の同期よりも年が上なんですが、いろいろ経験もしてきているし、無名塾の入塾試験も最終審査まで残ってたそうですよ(笑)。今、猿若流の踊りを習っていて、歌舞伎にも興味があるみたいです。 ●そして、堀越涼さんが前回の『ザ・隅田川』の清玄尼に続いての女形で、飯嶋司を演じました。この3人を配役したことで、花組芝居の今までとは違う面も出てきたんじゃないかと思います。 個性がそれぞれ違う3人が入ったものですから、今回は起用してみようと。劇団としても刺激になったと思うし、良い形になったんじゃないかなと思います。。実は妻夫木家のパパ(谷山知宏)とママ(丸川敬之)も公演終了後に入座が決まりまして、次の公演で入座披露の予定です。 ●話の芯となる部分は開(各務立基さん)とかつら姫(加納さん)のストーリーでしたね。 開の話は原作でも重要なエピソードになってますから、それに添って取り上げました。原作の開はもうちょっとのほほんとしたところがあるんですけどね。 ●加納さんは美斉津さんと組んでらしても全然違和感ないですよね?! (笑)……でも年齢2倍ですからねぇ(笑)。ただ、普段は女形をやるときも男声でやることが多いんだけど、今回は(律との釣り合いを取るために)裏声ということはないけど声の高い部分を使って演じてましたね。 ●今回の舞台で印象に残るものというと、木の枠をつかった可動式の舞台装置です。それが一瞬にして変わることで、飯嶋家の家屋に見えたり結界に見えたり……とスペクタクルさを演出してましたね。 以前は『シャンソマニア』(2003年)や『いろは四谷怪談』(2004年)で椅子を使ったり『和宮様御留』(2004年)で大きな屏風を模したものを使ったりしてきたものが発展して、今回の舞台装置になりました。実は『伝統の現在NEXT3 眉かくしの霊』でも同じ形の装置を使ってたので、舞台美術家(川口夏江さん)はちょっと難色を示したんですが(笑)、これが今回の作品には一番効果的だろうと。稽古前は木枠に何かを張ったりすることも考えてたんですが、稽古場で動いてみると「枠だけのほうが良いな」ということになりました。この装置のシリーズもいろいろやってきたので、また新しいのを考えないと……(笑)。 前回のときは妖魔の人形をたくさん飾っていたんですが、今回の舞台装置ではそれは合わない。だったら、舞台にいる黒衣を妖魔に見立てたらいいんじゃないか、と。それも衣装は普通の黒だったら面白くないのでグレーにして、面布の下には白い仮面をかぶって…ということにしました。裏話ですが、顔が見えないようにするために面布をやや厚手のものにしたら、照明が反射して外が見えにくくなっちゃって演じてる連中は大変だったみたいです(笑)。歌舞伎の雪衣が随分薄い面布だったのですが、実は意味があるんだと初めて知りましたね。 ●今回も今市子先生も見にいらっしゃったそうですね。 ええ、前回も見に来てくださったんですが、今回は楽屋にいらっしゃったときもわりと興奮したご様子で「面白かったー」とおっしゃって下さって。楽しんでいかれたみたいですよ。先生が舞台をご覧になったことで、漫画にも影響を与えることができたらいいかな、と思っています。 ●そうですね! その結果、また『百鬼夜行抄3』が舞台で見られたらいいですね。 何年か後にはまたやりたいですね。 ●今回の舞台を拝見していて強く思ったのは、「これは劇団ならではの舞台だな」ということです。 劇団員の年代も22歳から48歳になりましたから。旗揚げした当初からは考えられないですが、親子関係がリアルに演じられるようになったんですよね。そんな中で、今回の舞台は「全員野球」になっていたと思う。20周年を前に今回の『百鬼』で劇団というものを改めて見つめ直すことができたのはよかったかなと思います。 ●ということで、来年はいよいよ劇団創立20周年! 『かぶき座の怪人』を再び取り上げようと思ったのは…? 劇団創立3年目に上演した作品で、花組の名前が世間に知られるようになったきっかけの作品でもありますから、20周年記念には相応しいだろうと。また2001年に福島三郎さんと共同脚本で書いたのもとても面白かったものですから、ぜひやりたいなと思ったんです。 ●内容としては2001年版の再演、ということになるのでしょうか? そうです。現在の座組に合わせて多少書き換えるところはあると思いますが、基本的には2001年版の再演です。舞台美術に古川雅之さん、照明の吉沢耕一さん、音楽の村治崇光さんとそのときと同じスタッフで上演します。村治さんは「この曲はもう一度録音し直して…」とか今からいろいろお考えになって下さってるみたいですよ。 この作品には宇治乃川霧という(「かぶき座の怪人」の)役が出て来ますが、これは六世中村歌右衛門をイメージしている役なんですね。僕にとっては中村歌右衛門という存在は非常に大きくて…。(『かぶき座の怪人』の中でも御曹司の恋松が自分の役者としてのあり方に悩む場面があったが)、歌右衛門も父親の五世歌右衛門が早く亡くなった後不遇になって「何くそ」と思っていた時代があったんです。自分の中で歌右衛門の存在は芝居作りの原点になっているところはあるから、『かぶき座の怪人』を取り上げたかったというのはありますね。 ●20周年記念としてはその他に……? 1月に『落語+』という催しを南青山MANDALAでやります。皆何を噺そうかと今から考えてるみたいですよ(笑)。その他にも演出部の大野裕明が演出する舞台『ザ・漱石』や、HON−YOMI芝居などがあります。これ(HON−YOMI芝居)はリーディングという予定ですが、もしかしたら普通の芝居になるかもしれません。そして、年末には新作公演をを上演します。 ●いろいろな企画が目白押しですね。20周年も驀進し続ける花組芝居を楽しみにしています! よろしければ、下のリンクボタンをクリックして感想や20周年に向けての期待! などを記帳していって頂けたら今後の励みになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 新・ご記帳所はこちらです |