6月24日。
 
今年もまたこの日が来た。
 
終わった夏。終わらせた夏。去年と同じようで、去年とは確かに違う夏が、すぐそこまで来ていた。
 
園原市立園原中学校3年、浅羽直之は梅雨時にしては珍しく晴れた空を見上げていた。
 
 
 
 
イリヤの空、UFOの夏SS
二人の空、二人の夏
  
 
新聞部は水前寺の後を引き継ぎ、晶穂が部長となった。
去年の旭日祭のディオラマが受けたのか、新学期になって2年生が1人、新入生が2人入り、今や正式な部として活動している。
OBの水前寺は「ジャーナリズムの自主自立を守るために体制からは慎重な距離を保つべきである」とかなんとか喚いているが、当の晶穂の耳には届いてはいない。
否、右の耳から入って左の耳へと抜けているのだ。
新聞のタイトルはあいかわらず「園原電波新聞」であったが。
 
「浅羽ー!原稿はー!?」
晶穂の声が響く。この二人の仲はぜんっぜん進展していない。
 
「あーはいはい、今書いてるよ」
「急いでよね、期末試験前に発行するんだから」
 
浅羽直之は原稿を書く手を止めて窓の外を眺めた。
そこには梅雨の晴れ間の束の間の青空が広がっている。
何処までも蒼く、青く...。
イリヤを呑み込んだ青空は悲しいほどに高く、浅羽直之を拒んでいたのだった。
 
 
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