<<2005京都>>

京都ブランド〜2005年10月22・23日〜



 延暦13年10月22日、桓武天皇は平安京に遷都した。この日が京都の始まりだ。一方、遷都から1100年の時の流れを経た明治28年、平安神宮が創建された。これは明治維新によって衰退した京都の町おこしのための事業として行われたものである。また時を同じくして、明治から延暦まで1100年の時をさかのぼるかのような華麗な行列による祭りが始められた。これが「時代祭」である。祭は、毎年10月22日の記念日に行われる。現在では、当初を大きく上回る規模となり、七つの時代を十八列、約2000名の大行列で、京都御所から平安神宮までの約2kmにわたって時代絵巻を繰りひろげる。文物風俗を模した衣裳や装具は、その道の権威者によって時代考証され、京都以外の地ではまねのできないものとなっている(写真=維新勤王隊列〜観光協会ホームページより)。


 時代祭を見物した。この日は、雨こそ降らないもののとにかく寒い。曇天に風。それにしてもつい数日前までの残暑がうその様だ。ただ次第に近づいてくる笛の音は少しずつ心を躍らせくれる。先ずは維新勤王隊の列だ。揃いの紫色をした義経袴が凛として美しい。そして何より笛の音が清清しく響く。桂小五郎・坂本竜馬・中岡慎太郎・高杉晋作と誰もが知っている明治維新のヒーローたちが進む。続いて江戸時代では徳川城使上洛列が再現される。徳川幕府は年末年始などには親藩や譜代などに城使として京都を訪問させ皇室に対して礼を尽くした。列は先頭を行く槍もち・傘もち・はさみ箱もちなどの「ヒーサー」という掛け声と動作が粋だ。

 列は安土桃山、室町、鎌倉、平安へと遡る。これら各時代では女性にスポットを当てた婦人列が充実している。特に平安時代では、巴御前・常盤御前・紫式部・清少納言・紀貫之の女(むすめ)・小野小町など政治・文化の両面で女性の才能が花開いた時代であったことが現される。延暦時代に至るまでの所要時間はおよそ二時間。これぞ京都ブランドといった他では味わえない祭を体感できる。御所内の緑が行列を引き立てて時間旅行気分を助長してくれる。悪天候がうらめしい。夜は「鞍馬の火祭」を楽しむ予定にしていたが中止した。最後にトイレをもっと整備する必要がある、と苦言を呈しておこう。御所は普段、あまり多くの訪問者を迎えないのだろう。

 翌日は河原町から祇園にかけてを散策した。ここ数年、何度も京都を訪れているが、何故か、最も京都らしい「花見小路」を通っていない。ここは情緒溢れる格子の家並みが続く。足を踏み入れるのを躊躇しそうな料理屋そして甘味処、旅館、茶屋が軒を並べる。一軒の茶屋から舞妓さんが二人出てきて、待たせてあるタクシーへ乗り込む。先に場外馬券場などがあって車の渋滞がひどい。渋滞は少し興ざめだが仕方ない(写真=風情ある街並みと車の列)。

 場外馬券場に寄る。今日の第11レースはディープインパクトが三冠に挑む菊花賞だ。少し前に借りて観たDVDの「シービスケット」にいたく感銘して菊花賞にあわせて旅行を計画した。シービスケットは、大恐慌から立ち直りかけた時代の米国で、圧倒的な人気を誇った実在の競走馬の名前。脚の曲がった小柄なその馬は、暗く不安な時代の中で人々に夢と希望を与えた。映画は、何度も挫折しながらも、馬と騎手と調教師と馬主が一体となって勝利をつかむドラマチックな感動作だ。馬券は大学生の頃に一度買っただけ。その時は22倍の配当を当てて(と言っても元は200円)喜んだのを今も記憶する。7枠(ディープインパクト)と前評判の高い4・5・6・11枠を組合わせた三連単・三連複をいくつか買った。淀のレース場へは昼過ぎに向かう予定だ。

 近くにある建仁寺は禅宗の大きなお寺だ。最古の禅寺であり臨済宗の大本山で今も禅の道場として知られる。ここには俵屋宗達の国宝である『風神雷神図屏風』が保管されている。「通常、レプリカが展示」というパンフレットの通り、そこにはレプリカがあった。また、このお寺の本堂にある小泉淳作という画家の描いた双龍図が見ごたえある。11.4m×15.7m、畳にして108枚分の面積を持つ巨大な天井画だ(写真=2002年4月完成と新しい)。また他に、重要文化財の勅使門、茶室の東陽坊、枯山水庭園(写真=境内から庭園と本堂を望む)など見所が多い。

 建仁寺をあとにして昼食をとった。京都に住む息子が競馬場に先行して出かけている。携帯で様子を聞くと既に七レース。しかも物凄い人だそうだ。来ないほうがいいそうだ。近くにある京阪電車なら何とか間に合いそうだが、忠告を受け入れて中止とした。予定外の時間はスウィーツとショップという妻のための時間に当てた。「花見小路」にある適当なお店を選んで入った。どの店も値段がいい。たかがスウィーツに1000円である。だが店を出る時には十分に満たされていることがわかった。器がいい。味がいい。店の雰囲気がいい。そして私たちは、店員さんの態度・仕草・言葉使いに、ここで京都を味わっている、という満足感を得ることができた(写真=見て美しく楽しい)。これが京都ブランドなのだと。

 ディープインパクト三冠なる。帰りの新幹線車中で結果を聞いた。買った馬券のほとんどがかすっていた。また3連複は最低1000円から購入のところを知らずに500円で申込み取り止めたものが少しあったのだが、その一つが当たっていた。妻としきりに「残念・ざんねん」と盛り上がったのだが、こんな小額で運を使い果たさなくてよかった、とも言える。でも競馬場まで足を運んでいたらエキサイトは間違いなしで、次回の京都訪問も競馬場が組み込まれること必至である。

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