(講談社版世界名作全集より)
「牧場の少女カトリ」を見て、主人公カトリがすっかり気に入りました。最初、彼女を実在の人物だと思っていましたので、原作を読みたかったことはもちろん、彼女の一生、特にアニメで描かれたのちのことを調べていました。しかし、北欧の文学史関係の本を調べてもカトリ・ウコンネミという作家は見当たりませんでした。
その後、カトリが実在しないと知り、さらに、原作本を読んで、アニメとのキャップに愕然としました。原作でも、カトリは辛抱強い働き者の少女として描かれていて、その点はアニメのカトリにも当てはまりますが、原作には少女らしいかわいさはあまり感じられませんでした。また、カトリの周りの人々のイメージが悪く(とくにクーセラ屋敷)、それがギャップを広げています。
しかし、アニメのカトリの原点であり、フィンランドの農村の様子を知るための資料でもありますので、機会があれば読んでみるのもいいでしょう。
「牧場の少女」の原作である「Paimen, piika ja emäntä」は3部作からなり、「牧場の少女」は、1936年、出版された少女編です。
| 原作者 アウニ・ヌオリワーラ[Auni Nuolivaara](大日本雄弁会講談社・世界名作全集(46)「牧場の少女」より) | |
| 1883年、フィンランドのコルピラテに生まれる。少女時代から音楽、美術、詩を趣味とし、スウェーデン、スイス、イタリアに留学し、音楽や文学の勉強をする。帰国後、タンペレで、音楽とフランス語の教師をする。 1927年、結婚、小説の創作を始める。 1936年、「Paimen, piika ja emäntä」(牧場の少女)を発表。 1937年、同続編を発表 1972年、死去。 |
| 表紙 | 挿絵 | 出版社、訳者、初版年月日など |
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大日本雄弁会講談社、森本ヤス子訳、昭和27年11月25日初版 初の邦訳本。出版された邦訳本の中では、一番文章が長い。 |
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小学四年生第32巻第6号9月号別冊付録、槇本ナナ子訳、昭和28年9月1日発行 |
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日本書房・小学文庫、荻野洋子訳、昭和58年12月初版 日本書房は、昭和30年にも、学級文庫として大宮杉訳として邦訳本を出版している。 |
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集英社、マーガレット文庫28、森本ヤス子訳、昭和51年初版。 ライコラ屋敷編とクーセラ屋敷編までで終わっていって、ユントラ屋敷編は収録されていない。 |
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いのちのことば社、森本ヤス子訳、昭和59年初版。 |
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いのちのことば社、森本ヤス子訳、平成13年新装発行。 | |
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講談社昭和30年5月号「なかよし」付録、谷川一彦。 唯一の漫画化。ストーリーは、大筋で、原作と同じです。 しかし、ライコラ屋敷編では、カトリがテンペラ屋敷を訪ねたとき、テンペラ屋敷の奥さんになって、赤ちゃんをあやしている母の姿を見ただけで、母や妹に会わずに帰ってきたことになっていて、原作とは違っていました。この部分は、原作では重要な部分だと思うので、この描き方は不満でした。また、グニラおばあさんのことや牛と熊の闘いの話もカットされていた。 クーセラ屋敷やユントラ屋敷の話は、ほぼ原作のとおりに描いていると思います。 「なかよし付録・牧場の少女」は、「牧場の少女」唯一の漫画化としてずっと大きな関心がありましたが、ストーリーも絵も原作のイメージを損なうことなく描かれていたので、よかったです。 「なかよし付録」のカトリの服装が、昭和27年発行の「講談社版世界名作全集」(森本ヤス子訳)の挿絵のカトリの服装と似ています。「なかよし付録」は、おそらく「講談社版世界名作全集」を参考にしていると思われます。 |