大学工学部研究力調査
(出典:日本経済新聞 2004年2月16日朝刊)

2004年2月22日新規作成

 日本経済新聞社が、まとめた大学工学部研究力調査(2004年2月16日朝刊)は、今年の4月に迫った国立大学法人化を控え、今後の日本の大学改革を占う上でも非常に示唆に富み、興味深い結果となっていますので、以下にその概要を紹介します。

 

[調査概要]

全国の国公私立大から有力な108の工学系学部・大学院研究科を選んで実施(期間は、03年12月〜04年1月)

@ 学部長・大学院研究科長を対象としたアンケート結果

 *回答は、93学部・研究科

A 米国調査会社ISI(トムソンサイエンティフィック・グループ)による論文数調査

B 文部科学省の研究費交付実績など

 

[得点化した項目]

研究力を@研究企画力、A成果発信力、B産学連携力を欠く100点満点とし、合計300点満点で評価

研究力(300点満点)

研究企画力(100点満点)

成果発信力(100点満点)

産学連携力(100点満点)

個々の研究者の実力

個々の研究者の実力

大学の組織力(マネージメント力)

・科学研究費補助金獲得額

・競争的研究費獲得額(上記除く)

・21世紀COEプログラム採択額

−以上、教官1人当り−

・論文掲載数

・特許出願数

−以上、教官1人当り−

 

・企業との共同研究契約件数

・受託研究金額

・ベンチャー企業の起業件数

・技術移転機関を通じた移転実績

・知的財産本部の有無

 

[指標別評価結果:上位10大学]

研究企画力

成果発信力 産学連携力

1位 奈良先端科学技術大学院大学

2位 大阪大学 

3位 東京大学

4位 慶應義塾大学(理工)

5位 名古屋大学

6位 京都大学

7位 東京工業大学

    早稲田大学(理工)

9位 東北大学

10位 九州大学

 

1位 東京農工大学

2位 東北大学

3位 神戸大学

   慶應義塾大学(理工)

5位 東京工業大学

   大阪大学

   豊田工業大学

8位 新潟大学

9位 名古屋大学

10位 東京大学

    奈良先端科学技術大学院大学 

1位 早稲田大学(理工)

2位 東北大学

3位 東京大学

4位 東京工業大学

5位 東京農工大学

6位 名古屋大学

7位 名古屋工業大学

    京都工芸繊維大学

9位 大阪大学

10位 徳島大学

 

 

[総合評価:上位60大学]

大学工学部研究力総合評価結果

1位 大阪大学

2位 奈良先端科学技術大学院大学

3位 東北大学

4位 東京大学

5位 東京農工大学

   早稲田大学(理工)

7位 東京工業大学

8位 慶應義塾大学(理工)

9位 名古屋大学

10位 京都大学

11位 九州大学

12位 神戸大学

13位 山口大学

    北陸先端科学技術大学院大学

15位 豊橋技術科学大学

16位 長岡技術科学大学

17位 北海道大学

18位 名古屋工業大学

19位 京都工芸繊維大学

20位 新潟大学

    徳島大学

22位 横浜国立大学

    豊田工業大学

24位 岐阜大学

25位 大阪府立大学

26位 岩手大学

27位 金沢大学

28位 熊本大学

29位 埼玉大学

30位 群馬大学

31位 山形大学

    電気通信大学

33位 岡山大学

34位 信州大学

    東京理科大学

    立命館大学

37位 明治大学(理工)

38位 広島大学

39位 九州工業大学

40位 宇都宮大学


41位 関西大学

42位 愛媛大学

    東京都立大学

44位 千葉大学

    関西学院大学(理工)

46位 大分大学

47位 静岡大学

    高知工科大学

49位 香川大学

50位 鳥取大学

51位 福井大学

52位 北見工業大学

    山梨大学

54位 富山大学

    鹿児島大学

56位 室蘭工業大学

    法政大学

58位 茨城大学

59位 佐賀大学(理工)

60位 金沢工業大学

    同志社大学

        (内訳)国立:47校  公立:2校 私立:12校)

 

[改革意欲度評価]

改革意欲度評価項目

改革意欲度評価結果:上位10大学

・任期付き任用制度の有無

・人事評価制度の有無

・他大学出身者の比率

・民間企業出身者の比率

・兼業教員の数

・共同研究契約ルールの有無

・利益相反ルールの有無

・企業との包括提携契約の有無

1位 奈良先端科学技術大学院大学

2位 工学院大学

3位 立命館大学

4位 高知工科大学

5位 九州大学

6位 北見工業大学

7位 京都工芸繊維大学

   香川大学

9位 九州工業大学

   大阪工業大学

 

[私の感想]

@ 大学工学部の研究力評価は、「科学技術立国日本」を維持発展させて行く為にも、必要不可欠だと考えます。

A 工学部の研究力は、伝統的に国立大学が強く、今回の調査結果からも、それを裏付ける結果となりました。

B しかし、人材・研究費とも絶対的に優位にある旧帝国大学(東大、京大、東北大、北海道大、九州大、大阪大、名古屋大)が、上位を独占している訳ではなく、新設の工業系単科大学や、地方国立大学の健闘が目につきます。

C 国立大学法人化後、大学独自の収入源は医学部と工学部です。特に、工学部が、企業との産学連携による、共同研究や、TLOによる技術移転等を積極的に行い、独自の収入源を確保することが必要不可欠となります。

D 特に、地方の国立大学と地元企業との連携することで地場産業を育成し、その結果、地方の活性化と大学の収入確保という双方に大きなメリットが期待されます。

E その為にも、特に地方の国立大学では、学長や工学部長などのトップマネージメントが大きなカギを握っています。

F 地方分権、地方産業の活性化なくして、日本の将来の発展は期待できません。是非、地方国立大学を中心とした産学連携に期待しています。