メッセージコラム   
新規作成:平成20年2月10日


19.国公立と私立の社会的評価:国公立神話は幻想!

 

 大学を目指す受験生とその保護者の皆様、今年の入試もいよいよクライマックスを迎えようとしています。首都圏の有力私立大学は、今が入試の真っ只中。地方から初めて首都圏の大学目指して上京された方もおられる思います。そして、2月25日からは、いよいよ国公立大学の前期試験が始まります。一人でも多くの皆様が希望の大学に入学されることをお祈りいたします。後、1ヶ月間、頑張って下さい。

 さて、入試結果が出ると皆さんは、また、そこで決断を迫られることになります。

1.国立大学と私立大学にダブル合格したが、どちらの大学に入学したら良いか?(贅沢な悩み? でも、大変重要な決断です。)

2.希望の国立大学は不合格となった。私立に入学しようか? それとも浪人して、来年、希望の国立大学を目指すか?

どちらも大変重大な選択を迫られます。しかし、その選択は最終的には、受験生本人が下すことになります。保護者や学校の進路指導の先生、塾の先生に相談するとしても、やはり最後は受験生本人の意思で結論を出す ことが一番大切ではないでしょうか?

ここで、やはり気になるのは、地方の公立高校では依然として「国公立偏重:神話」という困った進路指導が継続されいるということです。故郷広島県の公立高校では、この傾向が強いようです。昨年、週間誌で国公立大学現役合格率において、全国の上位にランクされた公立高校も数校あり、その影響もあって、国公立大学現役合格に偏重した進路指導が行なわれているのではないかと大変危惧しています。私は、地元の国立大学をその地域の人材養成バンクとしての役割を期待していることも事実ですが、受験生の希望を 最優先に考慮することなく、国公立偏重の進路指導には、どうしても納得できません。

 そこで、週間誌をはじめ、各種民間調査結果等を参考にして、 社会が大学をどのように評価しているのか、参考資料を提示したいと思います。最終的に進学先を決定する際の参考になれば幸いです。ただ、最終決断は、受験生自身が自己責任として、しっかりやって欲しいということは言うまでもありません。

 

表 首都圏、関西圏など大都市圏における大学の評価(国公立+私立)

主な学部系

グループ分類

主要大学(学部)

法学部系

 

 

 

Aグループ

慶應義塾大、早稲田大東京大、一橋大、京都大

Bグループ

上智大、中央大、立教大、明治大大阪大、神戸大、同社社大

Cグループ

北海道大(法)東北大、学習院大成蹊大、法政大、名古屋大、立命館大、

大阪市立大、、九州大

Dグループ

千葉大、青山学院大、南山大、関西学院大、関西大、岡山大、広島大、熊本大

西南学院大(法)など

経済・経営・商学部系

 

Aグループ

慶應義塾大、早稲田大東京大、一橋大、京都大

Bグループ

立教大、青山学院大、上智大、明治大、横浜国大、名古屋大、大阪大、神戸大

Cグループ

東北大中央大、成蹊大、法政大、同志社大、大阪市立大、九州大など

Dグループ

小樽商大、福島大、横浜市立大、滋賀大ほか地方の国公立大

理工系

 

 

 

Aグループ

東京大、東京工業大、早稲田大、慶應義塾大京都大

Bグループ

北海道大、東北大、名古屋大、大阪大、九州大

Cグループ

筑波大、千葉大、東京農工大、 電気通信大、横浜国大、東京理科大、上智大、明治大、法政大、名古屋工大、立命館大、同志社大、京都工繊大、関西大、 大阪府立大、神戸大、広島大、徳島大、九州工大など

Dグループ

その他地方の国立大

(参考文献)週間東洋経済2007年10月13日号 「学部別難易度ランキング」ほかを参考としました。

[解説]

1.明治以降の日本の高等教育を発展の歴史を見れば、理工系は国立、文系は私立という棲み分けがなされてきました。

2.上記、リストを見ても、文系では、社会的貢献及び人材輩出面でも圧倒的に私立が優位です。

  *文系の法学部系及び経済・経営・商学部系のBグループとCグループの各大学は、同一の実力と考えて頂いても結構です。

  *工学部出身で電気のエンジニアである筆者にとって、文系学部の実力評価については、実態と異なる可能性がありますので、ご承知下さい。

3.文系の学部は、地元の国立大学へ入学する場合を除いて、入れる国公立大学を全国から探して遠方の大学へ入学するより、首都圏、関西圏の歴史と伝統のある私立大学を目指す選択も十分に考えられます。(地方の国公立大学へ合格できる実力があれば、十分、有力な私立大学合格は可能です。)

4.一方、工学部をはじめ理工系は、旧帝国大学を中心に国立大学が圧倒的に優位です。

5.理工学系は、A、Bグループで80%以上、C、Dグループも国立を中心に50%以上が大学院に進学しています。

6.一方、大学院へは、同じ大学の学部からの内部進学者を30%以下に 押さえるという教育再生会議の答申があり、学部で東大に進学しても、東大大学院へ進学できないケースが十分に考えられます。

7.従って、上記の内部進学者30%ルールを前提にして、理工系Aグループの東大、京大、早稲田大、慶應義塾大の4大学が協定して、大学院では相互の学生を受け入れを検討する動きがあります。(詳細は、読売新聞2007年12月29日付参照)

8.つまり、折角東大へ入学しても、上位30%に入れず、東大大学院へ進学できなくて、京大、早稲田、慶應など協定した他大学の大学院に進学する可能性が十分にあります。そうなれば、最終学歴は東大ではありません。このように、これからは、どこの大学へ入学したかは、あまり重要ではなくなるということです。

 *上記5〜8より言えることは、東大に不合格となっても、早稲田又は慶應に合格した場合には、無理に浪人して東大に再チャレンジする必要もないように思います。

 

国立大学も2010年(平成22年)度から、再編の第2ランドに突入します。正しく、スクラップ・アンド・ビルドされて半減される可能性すらあります。つまり、国立同士、国立と地元公立大、国立と私立の統合も十分に予想されます。また、近い将来、国立も限りなく私立化の方向に向かうことは避けられません。このような大きな時代の節目に、「現役国公立大学合格者○○名 或いは合格率○○%」を言ってもみても、全く意味がありません。

受験生は、大学に入って何を学びたいかを良く考えて、大学を選択することをお薦めします。国公立へ入学することを目的化してはいけません。大学で何を学びたいかで大学や学部を選択するようにして下さい。万一、自分が希望する大学に入学できなくても、学びたいことが明確であれば、大学院で再チャレンジは十分に可能です。また、一端就職して、再び大学院へ再入学することが当たり前の社会になります。決して、大学への入学がゴールではありません。学問をするスタートラインに立ったに過ぎません。このことを肝に銘じて、進路を選択して下さい。

 筆者は、中学、高校、大学受験と経験してきました。勝敗は3勝3敗でした。自分の能力の限界まで頑張りました。そして、社会人になってから、技術士や気象予報士などの国家試験に挑戦し、技術士は足掛け7年、5回目の挑戦で、また52歳て挑戦した気象予報士は、足掛け2年、3回目の挑戦で合格を果たすことができました。また、54歳の現在、「設備設計一級建築士」を目指して、一級建築士への挑戦を決意しました。この原動力は、全て、中学、高校 、大学の受験で経験した自分との闘いでした。そして、自分の能力の限界まで勉強した経験が、今日の自分を支えてくれています。それが、今でも新たな挑戦を目指す原動力・エネルギーの源になっています。受験という試練は、人間を必ず成長させてくれます。一生懸命に取り組めば、取り組むほど、将来、自分に帰ってくるリターン が大きいことを信じて、頑張って下さい。

 

[参考資料]

1.メッセージコラム「20.将来の職業を意識して進路を決定して下さい!」(08.2.11)

2.民間機関による大学格付け(ランキング)

3.役に立つ大学ランキング2006年版

 

                                                     制作・運用者:小林 勝広