平成21年度 都道府県別東大・京大合格者ランキングと公立高校占有率

2009年5月24日新規作成

(参考資料)週間朝日09年4月10日号、サンデー毎日09年4月19日号

 明治維新以降、政府は中央集権国家を確立するために、優秀な官僚確保が急務となり帝国大学を創設します。戦前の旧制度では、帝国大学を中心に、官立(国公立)専門高等学校が主なエリート養成機関でした。その頂点にたつ大学が東京大学 と京都大学です。

 この70年以上前までに確立した旧高等教育機関の格付けが、戦後64年間維持され、入学偏差値という形で、さらに顕在化されてきました。

 

1.旧帝国大学

現大学名

設立年

旧帝国大学時代の学部

平成20年運営費交付金額(億円)

平成20年度科学研究費

補助金(億円)

平成20年度科学研究費

補助金採択件数

東京大学

1886年(明治19年)

理・工・医・農・法・文・経

883億円

188億円

2,745件

京都大学

1897年(明治30年)

理・工・医・農・法・文・経

609億円

132億円

2,234件

東北大学

1907年(明治40年)

理・工・医・法文

507億円

97億円

1,872件

九州大学

1911年(明治44年)

理・工・医・農・法文

429億円

55億円

1,360件

北海道大学

1918年(大正 7年)

理・工・医・農

410億円

56億円

1,263件

大阪大学

1931年(昭和 6年)

理・工・医

505億円

91億円

1,863件

名古屋大学

1939年(昭和14年)

理・工・医

357億円

62億円

1,315件

 

2.旧官立(国立)の単科大学(11大学)

 戦前(昭和20年以前)に既に大学に昇格していた単科大学群です。上記の旧帝国大学に次いで、格の高い大学として今でも高く評価されています。

現大学名

設立年

旧大学名

平成20年運営費交付金額(億円)

平成20年度科学研究費

補助金(億円)

平成20年度科学研究費

補助金採択件数

旧商科大学(2大学)

一橋大学

1920年(大正9年)

東京商科大学

61億円

7億円

115件

神戸大学

(法・経済・経営学部)

1929年(昭和4年)

神戸商科大学

222億円

26億円 734件

旧医科大学(6大学)

新潟大学(医学部)

1922年(大正11年)

新潟医科大学

189億円

11億円

418件

岡山大学(医学部)

1922年(大正11年)

岡山医科大学

183億円

18億円

594件

千葉大学(医学部)

1923年(大正12年)

千葉医科大学

182億円

18億円

597件

金沢大(医学部)

1923年(大正12年)

金沢医科大学

179億円

15億円

518件

長崎大学(医学部)

1923年(大正12年)

長崎医科大学

162億円

10億円

375件

熊本大学(医学部)

1929年(昭和4年)

熊本医科大学

163億円

14億円

426件

旧工業大学(1大学)

東京工業大学

1929年(昭和4年)

東京工業大学

214億円

43億円

679件

旧文理科大学:前身高等師範学校(2大学)

筑波大学

1929年(昭和4年)

東京文理科大学

457億円

30億円

886件

広島大学

(文学、教育、理学部)

1929年(昭和4年)

広島文理科大学

267億円

24億円

796件

 

上記18大学は、名門国立大学として人気の高い大学です。その18大学の中にあって、東大、京大の2大学が格別であることは、上記リストから一目瞭然に読み取れると思います。

 ただ、平成の時代に入り、上記名門国立大学の政治家・国家官僚・大企業経営者への人材供給センターとしての役割が、次第に弱まりつつあります。それは、慶應大、早稲田大を中心に首都圏、関西圏の名門私立大学 の台頭によるものです。そのような時代的背景を考えると、地方の名門公立高校から東大、京大を目指す従来型の進路指導をもう一度考え直す時期に来ているように思います。東大・京大を目指す地方の受験生の受験動機としては

1.大学や大企業の研究者

2.政治家・国家公務員(キャリア)

3.大企業の経営者

4.地方にUターンして地方自治体の首長・議員、地元企業幹部

などが、考えられます。

 しかし、高校の進路指導は、東大・京大へ何人合格者を出すかが「目的化」され、生徒1人1人の個性と能力を把握し、本人の希望を十分 に沿った進路指導が行なわれているのか、甚だ疑問です。少なくとも進路指導に当たる高校の先生方をはじめ、地方の教育行政に携る幹部の方々には、その地方で必要な有能な人材をどのよに育成していくかの戦略が求められます。 生徒本人の意思・希望を踏まえた上で、次世代の地方を支える人材をどのように育て、確保していくかの長期的展望にたった進路指導が肝要だと思います。

 最近では、地方出身の東大・京大生が卒業後、地元にUターンし、地元の有力企業や都道府県庁・市役所や学習塾(講師)勤める人が増えているいう話を聞くようになりました。 生まれ育った地域に力を発揮すべき職場があれば、それに越したことはありません。

 明治維新以来、約140年間も続いてきた「中央主権官僚国家ニッポン」も、制度疲労を起しており、大きな流れとしては「地方分権:道州制」の方向に向かうと思われます。1990年台のバブル崩壊と今回のサブプライムローン問題に端を発した不況により、「地方分権:道州制」への方向は加速すると推測されます。このような時代の大きな変化の中で、東大一極集中の流れは、時代に逆行しているように思われます。少なくとも、当面は東大と京大という東西に2つの「山の頂点:東西横綱」がしっかりと存在し、来る道州制移行時には、上記7旧帝大が地域ことに対等に並立する「八ヶ岳型」が望ましいと考えます。

以上、観点で今年の都道府県別東大・京大合格者ランキングを作成しました。

 

1.都道府県別東大・京大合格者数ランキングと公立高校占有率(判明分のみの集計)

今年
順位

昨年

順位

 

合格者数(人)

合格者の内、公立高校からの合格者

都道府県名

合格者合計

(東大+京大)

東大

京大

公立合格者

(東大+京大)

東大

京大

公立占有率

(%)

1

1

東京都

999 902 97 80 65 15 8
2

2

大阪府

630 63 567 329 28 301 52
3

3

兵庫県

488 180 308 167 26 141 34
4

6

京都府

381 54 327 111 9 102 29
5

4

愛知県

370 185 185 278 140 138 75
6

5

奈良県

322 77 245 61 3 58 19
7

神奈川県

270 235 35 55 44 11 20
8

8

福岡県

195 104 94 119 50 69 61
9

9

広島県

180 81 99 35 7 28 19
10

12

埼玉県

120 100 20 84 71 13 70
11

11

静岡県

102 43 59 91 38 53 89
12

20

岡山県

101 54 47 71 31 40 70
13

15

北海道

99 64 35 72 43 29 73
14

16

岐阜県

98 32 66 93 29 64 95
15

10

千葉県

96 79 17 46 34 12 48
15

29

滋賀県

96 12 84 89 12 77 93
17

17

鹿児島県

95 72 23 27 17 10 28
17

13

三重県

95 29 66 66 21 45 69
19

22

愛媛県

74 39 35 39 12 27 53
20

28

長野県

69 41 28 63 36 27 91
20

14

茨城県

69 51 18 48 35 13 70
22

24

富山県

67 48 19 66 48 18 99
今年度順位

昨年度

順位

 

合格者数(人)

合格者の内、公立高校からの合格者

都道府県名

合格者合計

(東大+京大)

東大

京大

公立合格者

(東大+京大)

東大

京大

公立占有率

(%)

23

18

和歌山県

64 26 38 9 3 6 14
24

30

香川県

62 28 34 53 23 30 85
25

21

石川県

60 24 36 59 24 35 98
26

26

栃木県

52 41 11 47 37 10 90
27

23

福井県

50 19 31 49 19 30 98
27

25

群馬県

50 40 10 48 38 10 96
29

28

長崎県

47 38 9 41 33 8 87
30

32

熊本県

43 24 19 39 22 17 91
31

27

新潟県

37 23 14 36 22 14 97
32

37

大分県

36 28 8 27 23 4 75
33

36

徳島県

35 19 16 24 12 12 69
33

41

山梨県

35 26 9 24 19 5 69
35

33

宮城県

32 20 12 27 18 9 84
36

34

宮崎県

31 24 7 18 15 3 58
37

31

山口県

30 9 21 30 9 21 100
37

35

高知県

30 18 12 3 3 0 10
39

46

島根県

25 11 14 24 10 14 96
40

40

福島県

24 12 12 24 12 12 100
41

38

山形県

23 20 3 23 20 3 100
42

44

青森県

21 17 4 21 17 4 100
43

43

秋田県

20 13 7 20 13 7 100
44

38

佐賀県

19 10 9 12 6 6 63
45

47

鳥取県

16 5 11 15 5 10 94
46

42

岩手県

15 14 1 15 14 1 100
47

45

沖縄県

9 5 4 4 3 1 44
今年度順位

昨年度

順位

都道府県名

合格者合計

(東大+京大)

東大

京大

公立合格者

(東大+京大)

東大

京大

公立占有率

(%)

       ( 特記事項)合格者判明率は、東大:98.8%、京大:96.3%

[分析結果]

[全国]

1.47都道府県別に、「東大志向(ピンク)」、「京大志向(ブルー)」、「東大、京大が同数(識別なし)」に分類してみました。

 

2009年度

2008年度

2007年度

東大優位(志向)の都道府県数

27

27

26

京大優位(志向)の都道府県数

18

12

16

東大・京大互角の都道府県数

2

8

5

 

2.公立の合格者占有率の極端に少ない都府県は以下の通りです。

  @東京都:8%、 A高知県:10%、B和歌山:14%、C広島県 、奈良県:19%、E神奈川県:20%、

 

□東京都、京都府、広島県公立高校 東大・京大合格者の前年度比較

 

 

平成21年度(2009年度)

平成20年度(2008年度)

平成19年度(2007年度)

公立合格者

(東大+京大)

東大

京大

公立占有率

(%)

公立合格者

(東大+京大)

東大

京大

公立占有率

(%)

公立合格者

(東大+京大)

東大

京大

公立占有率

(%)

東京都

80

65

15

8.0

97 73 24 9.6

103

86

17

9.5

神奈川県

55

44

11

20.3

40

31

9

16.2

53

42

11

19.1

京都府

143

11

132

29.1

90 8 82 26.4

98

11

87

27.5

広島県

35

7

28

19.4

24 10 14 14.6

32

10

22

21.0

3.東京都は学区制を全廃し、日比谷、西などの往年の名門校に都内どこからでも入学出来るようになりましたが、東大合格者数の伸びには、まだ繋がっていません。

4.京都府は、「堀川高校」の頑張りにより、公立占有率を伸ばしてきましたが、 公立占有率30%近くまで回復しました。後は、平成16年度に中高一貫校に移行した洛北高校(旧制府立一中) の1期生(中学校から入学した生徒)が卒業する平成22年春の入試結果が今から楽しみです。

5.それにしても、東京都、広島県は学校群制度や総合選抜を、また、京都は小学区制、神奈川は小学区制に近い形態を長年続けてきた 影響は大きいと言えます。

6.その結果、国立・私立の中高一貫校が大学進学実施を伸ばしてきました。従って、今後共、公立高校から東大・京大への合格者数を大幅に増やすことは、困難と言えます。

7.一度公立を潰してしまった後遺症(ダメージ)は、そう簡単には取り戻せない典型例と言えます。

8.受験戦争の緩和(15歳の春を泣かすな!)と学校間格差の是正の美名の下、「リベラル派知事」の元で行われた公教育改革の結果が、公立の没落、私立中高一貫校を目指した受験競争を加速させた責任は重いと言わざるを得ません。もう二度とこのような愚策が繰り返さないで頂きたい。

 

[関連資料]

平成20年度  都道府県別東大・京大合格者ランキングと公立高校占有率

平成19年度 都道府県別東大・京大合格者ランキングと公立高校占有率

・平成18年度 都道府県別東大・京大合格者ランキングと公立高校占有率

平成17年度 都道府県別東大合格者ランキングと公立高校占有率