楽器 最終更新日 2006.06.01
●舞踊で、楽器や唄を受け持つ人たちを地方(じかた)といいます。
「おわら風の盆」では、結婚や年齢などで踊り手を退いた人が、地方として参加します。女性の地方も増えてきました。
諏訪社で音合わせをする地方。手前の背中が胡弓の上田省三さん。(1994年9月1日)
鏡町を流しながら移動する諏訪町の地方。中央が唄の村杉和彦さん。(2003年9月2日)
●三味線(しゃみせん)
「おわら風の盆」といえば、哀調を帯びた胡弓の音が連想されますが、最も大事な楽器が三味線です。三味線が刻む音を支えに、唄と胡弓とがからまり、おわらの哀感が醸し出されます。
14世紀末に中国の三絃が琉球へ伝わり、それが三線となりました。三線が16世紀後半に堺へ伝わり三味線になったといわれています。
三味線は天神・棹・胴の部分からなり、天神と棹は一本の木から作られます。棹は、紅木(こうき)・紫檀(したん)などの硬くて重い木が用いられます。
棹の太さから、太棹(ふとざお)・中棹(ちゅうざお)・細棹(ほそざお)があります。「おわら風の盆」で使われるのは中棹で、常磐津・清元・地唄などに用いられるものです。
太棹は義太夫(人形浄瑠璃)などに、細棹は長唄・端唄などに使われます。
胴には、花梨(かりん)か桑が用いられます。猫、または犬の皮が張られています。
「おわら風の盆」では、野外で長時間演奏することが多いため、音の表情が細やかな猫よりも、強い音で丈夫な犬の皮が多く用いられています。
糸(弦)は絹製で、太い糸から順に「一の糸」「二の糸」「三の糸」と呼びます。
●胡弓(こきゅう)
中国の胡琴を改造したとも、琉球から伝わった胡弓(クーチョー)が変化したともいわれます。
中国にも二胡・高胡などの弓で弦をこする楽器がありますが、それらを胡弓と呼ぶのは誤りのようです。
形は三味線に似ています。
棹は、三味線と同じように、紅木や紫檀など硬い木が用いられています。
胴には、花梨が用いられます。犬、または猫の皮が張られています。音色の面から、表を猫、裏に犬の皮とする人もいます。
膝上に縦にして構え、弓の張り具合を薬指でコントロールしながら演奏します。弓には馬の尾の毛が用いられます。
近頃のおわらでは、合いの手の間奏楽器というよりも、唄に拮抗する重要な楽器になりました。
「おわら風の盆」に胡弓が用いられるようになったのは比較的新しく、輪島の漆職人だった松本勘玄(1879-1949)が、明治四十年代に使い始めました。八尾町で聴いた旅芸人・佐藤千代の胡弓に触発されたのだといいます。
松本勘玄が使用した胡弓が、八尾おわら資料館に残されています。現在の胡弓よりもかなり重いようです。その写真が八尾おわら資料館のHPのここ(http://www.city.toyama.toyama.jp/yatsuo/kyoiku/siryokan/SIRYOU/6_1.html)にあります。
●太鼓(たいこ)
中央が諏訪町の太鼓、井沢澄雄さん。町流しを始める前の輪踊り。頭の手拭は厳しい残暑を避けるため。(2002年9月2日)
能や長唄で用いられる締太鼓(しめだいこ)を用います。猿楽太鼓(さるがくだいこ)とも呼ばれます。
胴には欅(けやき)が多く使われます。
胴は直径約26cm、高さ約14cmの円筒形で、その両側に直径約34cmの牛の皮を当て、その皮を調緒(しらべお)という麻紐(あさひも)で締めたものです。締め具合で、音の高低を調節します。皮の表面には直径約4cmの丸い鹿皮が貼ってあります。
二本の撥で打ちます。町流しの時は、首から吊り下げます。
●尺八(しゃくはち)
現在は使われていません。
かつては、地唄(三味線)・筝曲(琴)・胡弓を合わせて三曲と呼んでいました。
明治になると、尺八が胡弓にとってかわり、胡弓は衰退の一途となりました。
その尺八が「おわら風の盆」では姿を消し、胡弓が重要な位置を占めるようになりました。
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