アフリカのタイコ in えにし庵
大阪を中心に活動する「アフリカの会」のメンバーが念願の第一回アフリカンドラム、ジェンベワークショップを行った。ワークショップ前日のライブコンサートから、ワークショップ終了まで3日に渡るメンバーたちの奮闘ぶりをレポートする。
(文責:アフリカ日本協議会会員 楠田 一千代)
10月17日(金)
ワークショップ前夜西アフリカ伝統音楽舞踏団「ワラ・バ」から講師をお願したラミン=ユール=ジャバテ氏とアブー=ケンプー=カマラ氏を迎えてのライブコンサートが大阪市内で行われた。ユールは西アフリカ・ギニアのグリオ(吟遊詩人)の家系の出身、アブーはシエラレオネ生まれ、ギニア育ちのアーティストである。会場には予想を大きく上回る130人以上が集まった。一時は道に人があふれ、企画・運営している「アフリカの会」のスタッフがあわてる場面もあった。ライブは盛り上がり、予定時間をオーバーして歓声と大きな拍手の中最後の楽曲が終了。ワークショップに向けて上々の滑り出しであった。
18日(土)
四条畷市・えにし庵でのワークショップ/ライブコンサートの朝、ひんやりした空気の中目覚めると、快晴、ワークショップ日和である。眠い目をこすりながら午後のワークショップの準備を進めるスタッフから緊張感が伝わってくる。緊張しながら、一方でスタッフのみんなはワークショップが楽しみで仕方ないという感じだ。ウキウキシテイル。応援のスタッフも駆けつけてきた。READY!!
さぁ、ワークショップの始まりだ。ユールやアブーを正面に、15名ほどの参加者(女性が非常に多かった)が丸椅子に腰掛けている。ジェンベの全般的説明の後、いよいよ音の出し方を教わる。地面に立てたジェンベを少し前方に傾け、両膝でしっかり支える。底部がベタッとついたままでは音が出てゆかない。手は皮の部分に親指と人差し指で逆さまのハートを作るように置く。基本的な3種類の音をひとつずつ教わる。ユールの「トゥン」に続いて参加者たちが恐る恐るジェンベを打つ。「トゥン」。ん〜、少し音が違う。「手を皮で弾ませるように」、「親指の下の肉の盛り上がった部分をジェンベの縁にあてて」、「肩は動かさずに肘から下を動かして打つように」、ユールの指導でレッスンは進んでいく。「パパ」、「ツツ」、「トゥンタタ」、基本音を二つ、三つ、四つ、組み合わせたリズムが教えられる。参加者は戸惑いながらも徐々に慣れてきたようだ。リズムに合わせ体をゆすりながら打つ人もいる。「指を開いて打つ「タアン」の音は指先から出ます」、「頭で深く考えないで」、「よくリズムを聞いて、繰り返して」。ワークショップも終盤、アブーのドゥンドゥン(ジェンベとは形の違う寸胴の、両端に皮が張られたタイコ)も加わり、全員で合奏して仕上げだ。
「グンゴドパ グンゴドパ」、「ドゥンパパ」、「トゥンタタドンパパ」、「トゥトゥトゥトゥトゥタタタ トゥトゥトゥトゥトゥタタタ...ドゥン!」。拍手!
参加者には、若い人が多かった。はるばる東京から来たカップルもいた。佐渡島でのコンサートでジェンベを聞いてからファンになったという。翌朝の3回目のワークショップまでフルに参加してくれた。セネガルに新婚旅行に行き、久しぶりにアフリカの空気に触れに来た人、子どもを2人連れて泊りがけで参加したお母さん、白髪交じりの男性もいた。ほとんどの人が、生まれて初めてのアフリカのタイコを大好きになった。「すごくよかった!」、「今度はいつやられるんですか?」。アフリカの会のスタッフにとっては最高の誉めことばを参加者たちが口にする。
午後の2回のワークショップの後、今日の仕上げはライブコンサートだ。続々と人が集まってくる。お子さんを連れて家族で来る人も多い。「こんばんは!」。ユールの挨拶でライブが始まる。えにし庵の大広間に拍手と歓声が響く。受付はライブが始まってからも大忙しだ。大阪からの道が大渋滞で、遅れて到着する人が相次ぐ。途切れない客足に安心はしながらも、一方でスタッフもライブに参加したくて仕方ない。そわそわしながら大広間から聞こえてくるリズムを楽しむ。大広間では座布団の上で、みんな体全体でリズムを取っている。まるで、ユールとアブーの演奏に操られているみたいだ。ライブも佳境、「立ってください」の声に、待ってましたとばかりに全員が立ち上がる。「グンゴドパ ドゥンドドン グンゴドパ ドゥンドドン グンゴドパ ドゥンドドン」、ジェンベのリズムで会場全体が踊り出す。子どももちっちゃなお尻を振りながら、足を踏み鳴らして踊っている。その前でお母さんのお尻が揺れる。みんなノリノリだ!最後は、ギニアの祭りなどで歌われる歌をユールに教わりながら合唱、昨夜同様最高の盛り上がりで、拍手と歓声の中、終了。みんなとっても満足した表情だ。
スタッフは息つく間もなく次のプログラムの準備にかかる。コンサート会場が懇親会場に早変わり、ライブを終えたばかりのユールたちを囲んでの交流会が始まる。アフリカの会で準備したピーナッツペーストとトマトをベースにしたセネガルの料理、マフェは大好評。アフリカを聞いて、感じて、踊って、食べて、そして「飲んで話して」は明け方まで続いた。
19日(日)
ワークショップ最終日
朝7時、大広間で雑魚寝している中からひとりふたりとスタッフが起き出し、30人を越える宿泊客の朝食の準備にかかる。裏方は大忙しである。
ほとんど寝てないにもかかわらず、みんな気持ちが張っているのか、動きがテキパキしている。午前午後各1回のワークショップを無事やり遂げることに気持ちを集中させる。しかし、午前中のワークショップの最中、トラブルが発生した。えにし庵は住宅地にあるため、ジェンベの音が近隣住民にとっては騒音になっていたのである。ワークショップの会場は屋外から屋内に変更されていたのだが、それでもやはり音が大きかったようだ。雨戸で広間を締め切って今回はなんとか切り抜けたが、会場付近の騒音対策は大きな反省点として残った。
午後1時半、最後のワークショップは子どもたちが対象である。小学生、中学生が父親や母親に連れられて現われた。「トゥン」、「タアン」、「ブン」、小さな手でジェンベが打たれる。ユールの大きな「トゥン」と子どもたちの小さな「トゥン」が交互に広間に響く。なんと子どもの後ろから手を伸ばし、すっかり二人羽織の「生徒」となっているお父さんもいた。最初はリズムをうまく取れなかった子どもたちはあっという間にリズムを覚え、大人たちよりずっとすてきな音を響かせている。生まれて始めてたたく子どもたちのジェンベの音色に、アフリカの会のメンバーも感心するばかりであった。ワークショップ終了後は、子どもたちにせがまれ、サインをしたり、一緒に写真を撮るユールとアブーの姿があった。握手の時に感じたユールの手の硬いジェンベだことともに、きっとみんな今日の体験を忘れないだろう。アフリカはもう「知らないところ」ではない。西アフリカにはジェンベという伝統文化があり、人々の生活の中に欠かせないものとして今も生き続けていることを知ったのだから。
アフリカの会のメンバーたちにとっての初めての大きな企画。反省すべき点はあるが、無事成功に終わったといえるだろう。夜、京阪京橋駅でユールたちを見送ってから、残っていたメンバーたちと食事をした。生ビールで乾杯。誰かが「あ〜幸せ」とつぶやいた。
● 「ブン」:ジェンベの革の中心を手のひらでたたきます
● 「トゥン」:ジェンベの縁を指を閉じたままたたきます
● 「タアン」:ジェンベの縁を指を開いてたたきます
この三種類の音が組み合わされ、フレーズを作り、フレーズが2つから5つ組み合わさり、ジェンベのリズムを作り上げます。実際に音を聞いてみたい人は、ジェンベの音の聞ける "Djemb'Info"というホームページもあります。説明はフランス語ですが、"Real Time Audio(ra)"のボタンをクリックすると、ジェンベの音が聞けます!

AJF