江 戸 小 話 四 話

 


 一) 上に着ようか下に着ようか?.............

     冬の寒い日、下着一枚の男、古着屋の前で、
        「上に着ようか下に着ようか?
           中に着ようか、外に着ようか?」
     と思い悩んでいたが、
        「ええい!中に着よう」
     と決心し、隣りの酒屋に入り、
        「あつ燗(カン)三本!」
     と大声をあげた。


 二) おならの由来............

     ある人、近所の物識り隠居に、
        「ご隠居、ちとお聞きいたしやすが、「屁(ヘ)」を”おなら”と
         申しやすが、どういう訳でござんしょう?」
        「それは知れたこと。
         百人一首にあるではないか。
           ”いにしへのならの都の八重ざくら
               今日ここのにほひぬるかな”
         こいつの”なら”に”お”をつけて、”おなら”と申すようになっ
         たのじゃよ」


 三) 人殺し...........

     強盗、首尾よく忍びこみ、居間をのぞけば、ここの主人、槍を持っ
     て待ちかまえる態(テイ)。
     これは敵わぬとお勝手に回れば、下男どもが手に手に太い棒を
     持ってうかがう態。
     納戸(ナンド)はと見れば女房に女中たちがナギナタをかざして
     突かん態。
     ”三十六計逃げるにしかず”と玄関に出れば、身の丈六尺を超え
     る用心棒が二、三人、抜き身で仁王立ち。
        盗人、ここに進退きわまり、
           「ひ、人殺し!!」


 四) 値と寝..........

     枕売り屋、ある家の座敷に上がり、そこの女房に枕を売りつけてい
     る。
     女房が、枕を下にして寝心地を確かめながらアレコレ選んでいると
     ころに、亭主が帰ってきて、
         「こらっ!人の女房に何するぞ!
            さても汝!枕をかわす(交わすと買わす)太え奴」
     すると枕屋、少しも慌てず、
         「ご亭主、まだネ(値と寝)はいたしませぬ」





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原辛わら江