水    も    れ




 水道工事屋のサムが、恋いこがれていたナンシーと晴れて
 結婚し、ナイヤガラに新婚旅行に出かけた。

 ホテルの二人、レストランでの水いらずの夕食でサムはすっ
 かり祝い酒に酔ってしまい、部屋に戻るやいなや初夜の儀
 式も忘れてベッドに倒れこみ眠ってしまった。
 ナンシー、夫の横で胸をワクワクさせながら、抱かれるのは
 いつかと待っていたが、一向にその気配がない。
 仕方なく、ナンシー、気分転換に外の空気にでもふれようと
 部屋の窓を開けると、とたんに、ナイヤガラ瀑布の轟音が、
 耳をつんざくように部屋に飛びこんできた。
 すると、突然、ハッと眼を覚ましたサムが、寝ぼけ眼で、
     「すごい音だ! 
        大変な水漏れじゃないか!
      何処だ?
        俺がすぐ直してやるぞ!」
 と叫びながら、立ち上がり、身じたくを始めた。
 そこで、ナンシー、すかさずやり返した。
     「サム、何を大きなこと云ってるの!
        あんたなんか、わたしの小さな水漏れの穴も
        ふさげないくせに」





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 原辛わら江選