寒い。
神戸の家を出る直前までクーラーをかけていた。なんぼ青森でもこれ以上急に冷え込むことはないだろうと踏んでいた。
空港に降りた瞬間、回りは燃えさかる紅葉、そして明らかに秋が終盤にさしかかっていることを示す冷気。『念のため』一枚だけ持ってきていた長袖シャツを慌てて上に重ね着。しかしそんなもんじゃ足りないぐらい寒い。バスで市内に出て駅前の温度計を見たら、なんと13度。こりゃ寒いはずだ。ブルゾンを一枚買って着込んでみる。とりあえず当座の寒さはしのげる体制は整ったが、実は明日以降北海道へと北上する予定。胸一杯の不安を抱えながら青森市内をうろついていた。1999年、10月。無職になりたて。再就職の目処は全く立っていなかったが、せっかく自由の身になったのだからと遠征を企てた。それが今回の北上だ。退職金はまだ入っていなかったが、往復の旅費はJASのマイルで無料だったし、その他諸々はどんどん現地で稼げばいいじゃないか。簡単なことさ。そう考えて飛んできたものの、いきなり出鼻をくじくが如くのこの寒さ。この先の自分の人生を暗示しているみたいだ。
すぐに競輪場を目指しても良かったのだが、青森は駅前に前売り専用場外があるという。せっかく来たのだからここも覗いてみたいではないか。
ふむ、発売と払戻窓口が数窓ずつあるこぢんまりとした場所だ。でもこの手の前売り専用場外って、客は吹きっさらしの中でマークカードを書いたりしなきゃいけないところがあるけど、ここはちゃんと建物の中。冬場の特別の場外も心配なく買えるってわけだな。青森ではケーブルテレビで地元開催を全レース中継しているらしい。町の中心部に近いところにこんな場外があったら、ちょこっと買ってあとは家で見るという人も結構多いだろう。良い施設だ。ここでB級戦の車券を前売りで買っておく。さて、この場外のすぐそばにあったレンタカー屋で車を借り、いよいよ競輪場へ。うわー、噂には聞いていたけど、どんどん山の中へ入っていくぞ。ここでオケラになって無料バス乗り損なったら死んでしまうぞ。
着いてみたら、想像以上にでかい敷地の中に競輪場は存在していた。回りは森。その中を切り開くかのように競輪場。こんな立地は初めてだ。この場所に移転し来たのが何年前だったか失念してしまったが、とにかく随分派手な開発をやったものだ。
場内へ入ったら、3RB級戦のの真っ最中。とりあえずモニターで見ていたら、なんと的中してしまった。おお、幸先がいいじゃないか。気分が良くなったところで場内をじっくりと見てみる。いい競輪場だなぁ。 9月にできたばかりの超大型オーロラビジョンは、枠番車番両方のオッズを同時に表示、しかも遠くからでもはっきり判別可能。客席のいすも、一般席でもちゃんと背もたれがついているし、穴場はあちこちに分散していて、どこの席からでもそんなに歩かずに車券を買えるし、情報モニターは多種多様で、オッズが終わったら各選手の写真入りプロフィールを流すし、とにかく客のことを考えて作ってある。これなら特別競輪をしょっちゅう呼べるのもうなずけられる。これで奈良とか甲子園とかと同じテラ銭かぁ。なんか、地元で打つのが馬鹿馬鹿しくなってきさえする。
4R終了時に、地元在住はなだ師登場。いつもはテレビ&電投が主体だそうだが(駅前の前売りも愛用されているとのこと)、FMCNで「来週青森に行く」とちらっと書いたら、わざわざ来てくださった。感謝。
で、彼は来た早々の5Rを的中させて、「祝儀代わり」ということで特観をおごってくださる。ますます感謝。実は、山の中に入ってさらに気温が下がり、さっきから震えていたのだ。
特観にはいるに当たって、「テレビが見やすい席」を探したが、入ってみて、そんな努力は不要だったことが分かる。全ての席から、オーロラビジョンがはっきりと見えるのだ。いや、いいわ、これ。特観全席に小型モニターをつける例が最近増えているけど、大型オーロラビジョンの方がいいぞ。レースが進む。この日は割と堅かったようで、久しぶりに1日で3レースも当ててしまった。ほとんど知らない選手相手でこの結果は上々だと思う。勢いづいて迎えた最終レース。
1999.10.16. 青森 10R 初日特選 先固2,025m 1佐野 哲也(静岡64) 2矢内 良和(群馬75) 3佐々木弘美(秋田69) 4出沢 則夫(茨城49) 5福間 力(神奈76) 6進藤 浩行(千葉57) 7畑野 薫(山梨70) 8中曽 直彦(千葉74) 9藤田 竜治(青森68) 地乗り←394・27・8615さすがに特選ともなると聞いたことがある選手が出てくる。この中で、3番車佐々木が唯一100点を超えている。番手が地元の藤田で、このラインが圧倒的人気。佐々木はS級では捲り選手だったような気がしていたのだがA級では先行が多いようだ。2番車矢内もS級ではそこそこやっていたはずだが前回完全優勝の佐々木の前にはやや劣る印象。うん、折角遠征に来たんだ。ここは地元勝負だ。差し目主体、あとは佐々木が捲ったときに備えて、佐々木の頭で何点か。
そうしたら…
中曽が先行、そして中団が矢内。この後に続く楽しい旅行の資金を提供してくれるはずの僕の大事な佐々木君は後方でうろうろしていて、結局…
一着2矢内、二着6進藤、三着1佐野
枠で890円、車で7,090円〜〜〜最終レースが終わってみれば、三つも当てたのになぜか沈んでいた。うううむ、おかしい…
で、横を見れば、はなだ師がなにやらウキウキしている。どうやら、このレースも取ったらしい。なんと、本日全レースゲットとのこと。うわぁぁ。勝つのは地元選手じゃなくて地元客だったか〜〜〜〜
まあ、それなりに楽しい思い出を残して競輪場をあとにしたわけである。
この晩は、八甲田山中の一軒宿に泊まった。翌朝起きたら一面の銀世界。初雪である。全く、儂は、北をなめていたなぁ…
アクセス
青森駅前から無料バス。遠征で行くなら、空港でレンタカーを借りて行くのも面白いかも。一旦街に出るより早いよ。