「湘南バンク」というキャッチコピーのポスターをことあるごとに全国にばらまいているが、西日本にしか住んだことのない儂である。「湘南」と言われても、サザンやユーミンの歌が思い浮かぶぐらいで、今ひとつ、競輪場とは結びつかなかったのであるが。
去年の5月の連休、記念競輪の時に初めてこの競輪場に足を踏み入れた。
何か、雰囲気が違う。私が知っている競輪場の姿とは違う。
まず、客層が違う。なんだか、若い男女連れがやたらと目に付く。おいおい、こんなところをデートコースにしてるんかいな。ここは博打場だろ?
雰囲気だって、全体に明るい。記念競輪の一時的なものとは思えない。食い物が違う。フライドポテトやアメリカンドッグなんぞを売っている。ホルモン焼きなんて売っていない。場内を回っているうちに、モスバーガーの出店まで見つけてしまった。もっとも、モスの特徴である「出来立てで、レタスパリパリ」というものではなかったが。
まあ、色々とびっくりしながら、4角スタンドに腰を落ち着ける。ここは残念ながら、4角の攻防が若干見にくいものの、椅子のレベルも高いし、モニターもそばにあるし、穴場も近いし、なかなかよろしい。場の雰囲気自体にはなじめないものの、打ちやすい競輪場であることは確かだ。道理で、やたらと人が多いはずだ。
本当に客を呼ぼうと思ったら、これぐらいの施策は必要なのかもしれない。確かに、旧来の客には居心地が悪いかもしれないが、新しい層を取り込まないことには未来はないだろう。課題は、今までの客にも快適な空間を提供する事ができるかどうかだ。その点、平塚は一般席もまずまずだし、特観席も多いし、どの客層にも受ける空間を作っていると思う。理想像の一つではないだろうか。
さて、この4角スタンド、4角の攻防が見にくいと書いたが、どうやらゴール入線順も錯覚を起こすようだ。
当日強かった三宅 伸(岡山64)のスジで勝負。来れば、ズクを穴場から抜くことができる。果たして、展開はそのとおりに。余裕のドスジで決まったように見え、「ズクじゃ〜」と叫んでしまったのだが……
モニターを見ると、太田 真一(埼玉75)が大外追い込んできている。何かががらがらと音を立てて崩れていった。
理想の競輪場、平塚。しかし、私の中には悪い印象ばかりが残ったのだった。
帰途、駅まで歩く道すがら、酒屋の前に親父達が群をなして酒を飲みながら今日一日の後悔話をしていた。どこの競輪場の近くでも見られる姿だ。
なぜか、ほっとした。
アクセス
JR東海道線平塚駅から無料バス。駅から歩くと、20分ぐらいはかかるだろう。