一宮競輪場


 毛織りの街、一宮。
 駅を一歩でると、いきなり繊維問屋街が広がっている。記念の名称も「毛織王冠」となっており、この街がこの産業でもっていることがうかがえる。

 しかし、毛織なんてものは競輪客にとっては全然関係ないよね。駅前だって、問屋街なんかがあるよりは飲屋街でもあった方がはるかに役に立つし。まあ、岐阜みたいに風呂屋街までは要求しないけど。

 さて、そんなイマイチ冴えない駅前からバスに乗って約10分、いよいよ競輪場にたどり着く。
 駅前の寂れた感じとは裏腹に、競輪場周辺は普通の住宅地。でもよく見たら、露店の焼鳥屋とかがあって、いかにも競輪場近くという感じ。降りてから3分ほど歩いたら競輪場だ。

 中に入ると、まず気がつくのが特観席の立派なこと。こんな裏びれたように見える街に、何でこんな立派な特観が?
 でも、この一宮、名古屋から電車で15分で来れてしまうので、入場者数は名古屋競輪場とあまり変わらなかったりする。それに、街だって、確かに駅前は寂れているけど、名古屋のベッドタウンとしてどんどん人口が増えているのだ。大都市圏の競輪場としては当然の施設なのである。

 で、とりあえず設備に感心したあと車券を買おうとするとき、たいていの人はある異様な光景に気がつくはずだ。
 なんだ、この長蛇の列は。

 車券の列ではない。窓口には、十分まだ空きがある。でも、なぜか人々が列を作っている。
 近寄っていくと、その列の先頭は売店の焼きそば。そして、次々とその列の先頭から異様に盛り上がった焼きそばを持った人々が何か嬉しそうな顔をして吐き出されていく。
 どれどれ、ちょっと儂も並んでみようか。

 列についてしばらく経つと、店員が金を取りに来る。350円払うと、割り箸をくれる。この箸が食券代わりになっているようだ。
 さて、いよいよ自分の番だ。
 店員のおばちゃん、まず発泡のトレーの下に紙(出走表の古いの)を敷く。そして、その紙ごとトレーを持ち上げ、その上にこれでもかといわんばかりに焼きそばを盛り上げていく。
 普通の競輪場で提供される焼きそばの2.5倍はあろうか。とにかく、大変な量。ここで、最初にトレーの下に紙を敷いた理由が分かる。紙ごとトレーを掴まないと、焼きそばがこぼれてしまうのだ。

 こんな焼きそばを目の前に出されてしまうと、ついつい顔がほころんでしまう。まあ、じつは味は大したことがないのだけれど、その量に免じて全て許してやろうという気になってしまう。何せ、350円。町中で買ってももう少し高い。
 売店近くのゴミ箱を見ると、食いかけの焼きそばが捨ててあるのをよく目にする。そう、文字通り食べきれないぐらいの量なのだ、これは。ほんま、これは一度目にして欲しい。他の売店でも対抗上ほぼ同等の量の焼きそばを出すので、混んでいるときは別線を狙うのが得策。

 さて、満腹になった。いよいよ勝負だ。
 バンクはごく並の400バンク。個人的には「追い込み有利なのでは?」という印象を持っているが誰に聞いても反対されるのでそうではないのかもしれない。
 でも、なんでそんな印象を持っているかといえば、実はここで勝ったことが1回しかないからである。今まで、5回ぐらいここで打ったと思う。記念を打ちに、出張ついでに、GP本場でやられた腹いせに、とにかくなんだか来やすいのではあるがその度に滅びている。
 スジで決まらない。バックで「よっしゃぁぁぁぁぁぁ」と思っていてもゴール線では「ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇ〜」となってしまうのが毎度のパターン。満腹になって眠くなった頭もこんな決まり手ではすっかり目が冴えてしまう。

 そんなこんなで最近はさすがにやや足が遠のいていたが、今年の秋にはオールスターが開催される。

 また、何万円もする焼きそばを食べに行くのか……


アクセス

 JR尾張一宮駅及び名鉄新一宮駅から無料バスと案内されているが、実はこの二つは同じ駅。
 JRの出口なら、駅前から右手に少し行ったガード下から無料バスがでている。
 尾張一宮へは、名古屋から東海道線下り。新快速だろうと普通だろうと、来た電車に乗れば途中で抜かれることはないです。

980312


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