花月園競輪場


 「ヨコハマ」といえば、もちろん日本有数の港町。同じ港町・神戸に住んでいる身としては、どうしても気にかかる街である。街の雰囲気などは二つの街はほぼ同等であろうと認識しているが、一つだけ神戸が横浜に負けている点がある。それは、競輪場の有無。昔は神戸にも「神戸中央競輪」というのがあったらしいが、諸般の事情から廃止されてしまい、今では神戸市民は西宮や甲子園まで足を延ばさなければいけない(といっても大した距離ではないが。それにしても、昔は明石や豊中、それに大阪市内にも二ヶ所競輪場があったわけだし、関西地区は競輪天国だったんだなぁ)。

 さて、そんな横浜にある競輪場・花月園に行ってみた。今年のはじめ、共同通信社杯の時のことである。競輪場のペットマークもカモメをモチーフとしており、横浜にあることを前面に押し出している。そこまで言うからにはさぞかし「ハイカラ」な雰囲気なんやろうな。
 新横浜で新幹線から横浜線に乗り換え、東神奈川で降りる。ここから無料バスが出ているのだが、あれ、変だぞ。私がイメージしている横浜とはだいぶ違うぞ。
 駅前はなんだかゴミゴミとしている。工場の煙突なども見え、イメージ的に「茶色」の感じ。川崎の駅前の方がだいぶ華やかな感じがする。
 しばらく待って、バスが来た。一度イメージを崩すと、あとはすべて悪く見えてくる。バスもなんだかドブネズミ色をしており、「オケラバス」という名がよく似合いそうだ。

 まあ、なんやかんやで競輪場にたどり着く。バスは坂の下につき、競輪場まで徒歩で登っていく。あ、もしかしたらエスカレーターがあったかもしれないけど、よく覚えていないや。何せ、この日のことはなるべく思い出したくないので……。
 予想紙は、赤競とかのおなじみのものに加えて、なにやら怪しげなものを売っていた。「競輪ヒント」というのがそれ。妙に安い。百円か、二百円ではなかっただろうか。あとで聞いたら、その日の穴予想の買い目を羅列してあるらしい。ふぅ〜ん。買わなくて良かった。穴目って、自分で予想したものじゃなきゃなんだかつまんないよね。

 さて、いよいよ競輪場の中だ。小高い丘の上にあって、結構見通しが利くぞ。あ、あの遠くに見える吊り橋がナントカブリッジとかいう橋か。しかし、瀬戸大橋とか大鳴門橋とかを渡ってギャンブルに通いづめている私としては、「なんや、大したことないのぉ」という印象しか浮かばなかった。ほかは、京浜工業地帯の煙突が立ち並ぶのが見えるだけ。なんだか殺風景やなぁ。

 スタンドに入って、驚く。でかい。まず、日本一を誇るというホーム側特観席が軍艦のようにそびえ立ち、そのほかの一般席もかなり席数が多く、ぐるりとバンクを取り囲んでいる。賛否両論あるレディースルームは、この日は記者室として使われているようだ。
 三角、レディースルームの真下の一般席に陣取る。FMCNのいつものメンバーに囲まれ、いつものように楽しく車券談義。そして、いつものように車券は当たらない。
 あまりの当たらなさに業を煮やして、気分転換のために腹を満たしに行く。
 かなり食い物関係の店は多い。揚げ物、そして寿司屋が目立つ。寿司屋では、コハダとか鉄火とか色々そろい、しかもかなり値段が安い。揚げ物屋もそこそこ種類を揃えており、川崎ほどではないけど食い物に関しては合格点。

 さて、喰うものは喰ったし、いよいよ勝負再開だ……

 途中の記憶が欠落している。最終レース、神山−後閑で一点勝負した記憶がある。そういや、東出が勝ったんだったかなぁ、そのレース。もう、忘れちまったよ。そういや、花月園の払い戻し場の記憶も全くないけど、これは記憶の欠落というより、元から存在しない記憶だよなぁ。

 その夜、横浜駅から夜行寝台急行「銀河」で帰るはずだった私は、あまりのショックのため少々お酒を飲み過ぎ、銀河の出発時間には、どうしてそこで降りたのか未だに分からない、新子安駅のホームで一人震えていた。

 二度と行かない。


アクセス

 JR鶴見駅、東神奈川駅から無料バス。また、私鉄の京浜急行花月園駅からは徒歩ですぐ。帰りはバスがないので、花月園駅なり鶴見駅なりまで歩かなきゃいけないが、下り坂なのであまり苦にはならない。

971014


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