今まであちこち旅打ちして歩き、各地の自治体に浄財を寄付してきた私である。しかし、21世紀に突入しても、伊東温泉とここ京王閣競輪場だけは足を踏み入れたことがなかった。東北とか九州だと「いざ行ってやろう」という気になるのだが、関東地方となると中途半端な距離で、特別でもない限りなかなか行こうという気にならなかった。
特に京王閣については「改装前に来ないと意味がないよ〜」という関東地方の友人のお誘いの声もあったのだがなかなか重い腰が上がらず、結局、今年の五月、改装工事も半分以上済んでから初めて足を踏み入れたのであった。五月の連休。前半は北海道旅行を堪能してきた(まあ、サテライト釧路に寄ったりもしたけど)。京王閣に寄ったのはその帰途である。何も北海道から神戸に帰る途中に東京に寄らなくても、とか言われそうだが、こうでもしなきゃずるずると行く機会を逃しそうな気がしたのである。
都内で一泊し、翌朝。よみうりランドにでも向かうのであろうか、家族連れで混雑した京王線に乗って、京王多摩川駅に降り立った。
ほう、本当に駅前だ。
今まで、駅前競輪場と言ったら西武園と富山かな、と思っていたが、ここも歩いてすぐだな。入り口はなかなか立派な感じ。「黒競」を買って中に入る。なかなかいい施設じゃないか。ホーム側は既に新スタンドが完成しているのだが、特観は快適そうだし、スタンド裏側には大きなオーロラビジョンはあって、場外の時なんかは便利そう。食い物屋関係もほとんどが新しい建物に移転していてそれなりに快適っぽい。ホーム側は一般席が少々お寒い状況なのが難点だが、「ボロイ」と聞かされていた京王閣のイメージとは全く異なっていた。
ホームスタンド以外にも目をやってみる。
三角〜四角にかけては、一般席なのだが、これがまた、やたらとでかい。そういえば、数年前にこの競輪場でオケラになった客が飛び降り自殺したという事件があったが、それはあのスタンドからなんだったんだろうなぁ。
バックは、新スタンドの建設工事真っ最中。これも立派そう。できればバックには快適な一般席を作って欲しいところだけど、さてどうなるかな。さて打ち始める。
この日はS級シリーズ(F1)初日。連休ということもあり、お客の入りは上々。四角一般席の上の方でレースを眺める。
結構、客の野次が多いな。関東弁の野次はいつもながら違和感がある。「ギャンブルレーサー」に出てきた野次がそのまま飛び交ってるんだもんな。
で、A級戦を三つぐらい続けて外す。まあこれはいつもの通り。気分転換に、四角スタンド内の売店でホッピーを呑む。お、焼酎をチロッと垂らしてくれたぞ。他の競輪場でホッピーを頼むと、単なるノンアルコールビールに過ぎないものが出てくるのに。なんだか気分が良くなる。
気分が良くなったところでホームスタンドに移り、お好み焼きとか串シューマイを食い漁ってますます気分が良好になったところでS級戦。
おお、川口 秀人(徳島57)がいるじゃないか。なぜかこいつとは昔っから相性が良く、好配当を何度も取らせてもらっている。よし、ここもこいつの捲り追い込みに賭けてみるか。豊田 一馬(群馬73)との裏表を中心に何点か買ってみる。
このあたりで「ほやちゃーん、げんき〜?」と、ひるた嬢登場。この女史と連携して勝った記憶がまるでないのだが、しかし今日は相性抜群の川口がいる。どうにかなるだろう。いや、なって欲しい。さてレースが始まり、道中ゴチャゴチャとして落車もあったりしたが、どうにか川口と豊田が並んで入線したように見えた。しかし赤旗が揚がっている。しかも写真判定だ。うわ、赤旗審議の対象に川口が引っかかってるぞ。うわー、神様、頼む、俺に幸運を〜〜〜〜
10年競輪をやっていておそらく初めてかもしれない。
なんと、審議と写真の二重障害を乗り越えて、70倍台の配当を手にした。もちろんその後のレースは全て外したが、トータルではかなり浮いた。珍しくひるた嬢が勝利の女神になってくれたのか。そんなこんなで、初めての京王閣は非常によい思い出が残った。
しかし、やっぱり、もっと前に来ておくべきだったなぁ。ボロボロのホームスタンドも一度は見ておきたかった。まあ、今更過ぎたことを振り返っても遅すぎるが。さて、10年がかりで初めて訪れた京王閣なのだが、あろうことか、その翌月に再び訪れる機会ができてしまった。掲示板に書いた文章を再掲しておいて、この項を締めたい。
先週の昼頃。
僕は、多摩川の河原で呆然としていた。夕方から都内某所で用事があったため、朝から上京。
え?そんなん、午後から行けばいいじゃないかって?
せっかく上京するのに、向こうで競輪打たない手はないじゃんか〜
本当は2月に会員になったラピスタを有効活用したかったのだけど、なんとこの日は日曜なのに休み。ううむ、と思ったけど京王閣でヒラやってるし、それでいいや。
実は京王閣には5月の連休に行っている。10年越しの念願をその時叶えたのだが、まさか40日後にもう一度行くことになるとは思わなかったなぁ。羽田から京急で川崎へ出て、南武線に乗り換えて稲田堤で降りて、さて京王閣はどこかなぁ。前回は京王線で行ったので、このルートはバージンなんだ。
あれ?確か、この駅で降りて渡し船に乗れば競輪場はすぐだって聞いていたのに、そんな案内はどこにもないぞ。大体、競輪客らしき人間が回りに一人もいない。どうなってるんだ??
悩んでいても始まらない。とにかく、川(と思われる方向)に向かって歩く。
5分ほど歩いたら堤防が見えてきた。上ってみると、対岸に競輪場が見えてくる。タイミング良く、打鍾の音まで聞こえてくる。おお、やってるやってる。目的地まであとわずか。
しかし、話に聞いていた渡し船の乗り場が見あたらない。唯一それらしき小屋があったが、貸しボートの料金が書いてあったりして、なんだか違うっぽい。ここで聞いてみようかとも思ったが、「はあ?何言ってんの?」とあしらわれそうな気もする。
伊東Sシに行っているのんぶさんに電話で聞いてみても、「橋を渡って、右手に少し歩いたら競輪場ですよ」とのこと。橋なんて、上流500mぐらい先だよぉ。
ああ、渡し船なんて、僕の幻想だったのか。しばらく河原をうろうろしていたが乗り場は見つからない。諦めて橋まで歩こうかなと思ったその時、目の前の川を船外機が付いた小さな川舟が渡っていくのが見えた。
しかもその舟、新聞を広げた客が何人か乗っている。
新聞を見ながら舟に乗るなんて…。やっぱり、あれだ!!!その舟がどこに戻るのかと思ったら、さっきの貸しボート屋に戻っていった。なんだ、とっととあそこで尋ねれば良かったのか。中にはいると、予想紙まで売っている。ちょっとの勇気があればもっと早く…
なぜかこの瞬間まで、この舟は無料だと思いこんでいた。全国各所に残存する公営渡し舟がそうであるようにな。でもなんと片道300円取られるらしい。え!だったら、稲田堤で京王に乗り換えた方が安いやないか。
どうやらこの舟は、多摩川の右岸に車を停めた人が主なターゲットらしい。ということは京王閣の駐車場は有料で、それを嫌った人がこっちに流れてきているのかな。もう一人客が来たところで、舟が出る。僕は海に出る仕事なので舟などは慣れているのだが、それでもなんだか楽しい。
川舟特有の低い舷のすぐ向こうに緩やかな多摩川の流れ。水のにおいがいっぱい鼻に入ってくる。うららかな初夏の休日。3分ほどで舟は対岸に着いた。堤防を上がって、ちょっと歩いたら競輪場の正門だ。いつもと違うアプローチでやってきた競輪場。今日はなんだか勝てそうだぞ。
その日は所用で9Rまでしか打てない日だった。でもそれまで一度も払い戻し機の前に立つことはなく。
ヤケクソで最終レースを電投で買い、1時間後に結果を聞いてみたがやはり…舟に乗っただけで満足して、あとは河原で空でも眺めていれば良かったわ、ホンマ…
アクセス
京王線京王多摩川駅正面。上記の渡し船も結構楽しい。