「競輪客たるもの、夏の炎天下だろうと冬の北風だろうと雨が降ろうと虫に刺されようと気にしておれるか」などと強がりは言うものの、やっぱり競輪場は快適な方がいいに決まっている。私も最近ではすっかり軟弱になって、特観席が空いていれば迷わず入るようになってしまった。
そんな軟弱者(?)に打ってつけの競輪場が、ここ、グリーンドーム前橋であろう。
もう、ご存じであろう。現在、日本唯一の全天候型ドーム競輪場。来年には小倉ドームも完成するし幻の東京ドーム競輪場もあるけど、先駆者としてのここの評価は揺るぎない。寛仁親王牌も毎年開かれるし、立川に並ぶ東のメッカと言いきって良いだろう。
サンサンバンクである。場内が常に無風状態なことと相まって、スジで決まりやすいような印象を受ける。でも、そのことが逆にとんでもない事態を生み出したりする。何せ、みんなスジで買うのだから、ちょっと荒れればたちまちドマンシュ〜。配当金は3桁か5桁しかないのではないかと思わせるようなこともあった。
ここには、二回も行ってしまった。二回とも親王牌の時である。
関西からだと結構遠い。近くに空港もないし、どうしても陸路乗り継いでいくしかない。新幹線で行っても5時間近くかかる。初めて行ったときには何を思ったか中央線経由の夜行、しかも座席で行くという愚挙を犯し、真矢じゃないや深夜に乗り換えて前橋駅についたときにはもうヘトヘト。前の晩には車中で飲み過ぎてすっかり二日酔いだし。二人で缶ビールロング缶が15本以上は空いたはずやもん。
「あかんわ〜、もう今日は競輪やめようかのぉ」とか言いながら、駅前の喫茶店でとりあえず休憩。なんか、今ひとつ寂れた駅前だし、気分がさっぱり盛り上がらない。
でも、店に備え付けのスポーツ新聞を読んでいたらだんだん気分が高揚してきた。同行のMさんに言わせると、「目が輝いてきたで、あのとき」ということらしい。とにかく、出走表を見るともういてもたってもいられない気分になってきたのである。
「よぉぉぉぉぉし、行くぞぉ!!!!」
無料バスに乗ってたどり着いてみたら、そこはもう私が今まで知っていた競輪場とは全くの別世界にみえた。なんか、きれいな体育館という感じ。
スタンドに上がってみても、全てが特観席並の椅子だし、一部にはテーブルまでついている。千円も取るくせにテーブルすらない甲子園ホーム側特観には見習って欲しい。
実際レースが始まると、やっぱり体育館のように声援が反響する。こうなると、ヤジなんかは飛ばしにくい。いや、まだ特別の時はマシだろうが、ヒラの時なんぞ下手なヤジとばしたら目立ってしようがないのではないだろうか。そういや、「ギャンブルレーサー」でそういうシーンがあったな。吉田のオヤジが関にヤジとばして目立ちまくっているやつ。
ドーム開設と同時に登場した、予想屋改め「車券コンサルタント」、どんなものかと楽しみにしていたが、ただの予想屋やないけ。別に制服を着たからといって言い草が変わるわけではなし。
その他、場内の雰囲気、客層、落ち着いてみればドームだからといって他の競輪場とあまり変わりはなし。設備豪華で風紀劣悪というまさに私好みの競輪場であるとその日は感じたものである。
さて、この日は比較的固く収まり、少額ながらもプラス収支を計上して帰ることができた。そして、「ここは儂と相性がいい」と思いこんでいたのだが……
二年後。去年のことである。この「競輪道」をお披露目して間もない頃、私は再び前橋の地に立っていた。同じ大会、同じバンク。雰囲気も前回と特に変わりはない。でも、その日の前橋は、二年前とは違って次々とマンシューが飛び出し、為すすべもなく金を減らしていった。二日間参戦して二日とも大崩れ。
「もう二度と来るもんか」と誓ったものである。
でも、こんな競輪場、近畿にも欲しいな。西宮ドームの話はどうなったんやろう……
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