立川競輪場


 グランプリが終わり、年が明けるといつも西の競輪客にとっては憂鬱な季節がやってくる。
 立川で、記念が始まるのだ。

 つい2週間前に、立川には9人のトップレーサーが顔を揃えているのである。これでしばらく我慢しとけばいいものを、またぞろ記念を開催する。
 しかも、この記念の顔ぶれがなかなか凄すぎる。なにせ、前節に神山、後節に吉岡なんていう斡旋が平気で行われているのだ。
 それに、賞金だって凄すぎる。副賞に車、それもあなた、シーマだよ、シーマ。

 別にそんだけなら特に腹を立てることもないじゃないか、といわれそうだけど、それがそうでもない。
 毎年、1月には西でも記念が二つ開催される。和歌山と玉野だ。
 この二つの競輪場、どちらも特別なんていうものには縁がなくて、せいぜいふるダビが限界。そんな競輪場の常連客にとっては、年に一度の記念競輪なんていうのはトップレーサーを生で見ることができる数少ないチャンスなのだ。
 でも、それが立川であんな豪華開催をやっちゃうおかげであおりを喰らった玉野や和歌山は「看板が十文字と山田」てな感じのずいぶん「寒い」開催につきあわされてしまう。この辺り、日自振の姿勢にも相当問題があるのだが、まあ既に各マスコミ等に散々叩かれている問題なのでここでは言うまい。
 でも、西の客はマジに怒ってるんよ。特に、儂は玉野も和歌山も準ホームだし。

 しかも、「タマには豪華開催の恩恵を受けてやろう」かと、メンバーも確かめずに今年の後節に合わせてJALの早割を買ったのだが、メンバーを見てがっかり。後閑に小橋に浜口に堤に小嶋……。
 玉野で増成に野次っていた方がよっぽど良かった。

 さて、そんな立川に初めて行ったのが一昨年のグランプリ。そう、例の大量落車の時だ。
 新横浜で新幹線を降り、横浜線、中央線と乗り換えて立川駅へ。へえ、意外と大きな駅やなぁ。東京についてほとんど知識がない儂はそう思ってしまった。せいぜい人口5万人程度の街だと思っていたのである。
 さて、改札をでて競輪場へと向かう。予備知識で、無料バスの列がハンパじゃないという話は聞いていたのだが、なるほど確かに。こりゃ乗れそうにないわ、と歩いて競輪場へ。なぁに、それらしき風体の男のあとをついていけばどうにかなるだろう。

 ふう。ついたついた。ざっと歩いて15分というところか。大した距離ではなかったな。青競買って場内へ。
 入ったらびっくりした。なんや、この人の量は。
 特に、前売り窓口の列が長い。その前の年には甲子園でGPの車券を買うために15分並んだ経験を持つ(今回の甲子園は改善されていました)儂だが、どうやらそんなものでは済みそうにないぞ。なんか動揺してしまい、客席でのおなじみの人々との挨拶もそこそこに衝動的に前売りに並んでしまった。だって、前売りでこの調子なら当回売りはひどいことになるのでは、と思ったのだ。
 その年のグランプリは、例の「アトランタ」全盛時。十文字の犠牲先行の番手を捲る神山−後閑で岩より硬いと思われていた。普段は神山で大枚勝負なんぞ絶対しない儂もついつい買ってしまう。ああ、回りの客はもっと買うようだぞ。じゃあ、儂ももっと買おう。わざわざ立川まで儲けに来たんだもんね。こんなうまい話を放っておくわけにいかんよ。まああとは吉岡の意地にかけていくらかと。それとホームページに載せた松本=児玉も配当ほしさに押さえてある。え、岡山二車?ぜぇ〜〜〜〜〜〜っっっっっっったいに、来ない。

 さてさて、レースは進む。なあに、阿佐田杯なんて外れても構わんよ。ただのSシじゃないか、あんなもの。っと、松本 雅彦(東京56)の優勝を見届けたときはまだ余裕があった。
 さあて、いよいよ始まった。いつもテレビでしか見ることができずいい加減辟易していた乱用気味のスモークも、生で見ると雰囲気が違う。ああ、今年もついにこの瞬間を迎えてしまった。
 毎年、この出走直前は金儲けのことなど忘れてしまう。その年戦ったあんなレース、こんなレース、色々なことが走馬燈のように脳裏をよぎる。でも、感傷に浸っている暇はない。発走した。

 ああ、十文字、何やってんだ、こら伸、そんなとこで粘るな、ああああああああ、もう駄目だぁ、と思った次の瞬間に悲劇が起こる。そして、小橋。

 ずいぶん呑んだ。その晩のうちに帰るはずだったが、気がついたら川崎のホテルのベッドの上で大晦日の朝を迎えていた。もう、しばらく、競輪からは離れようかと思った。

 でも、その6時間後には一宮で「今年もありがとう」開催に手を出していた。

 やっぱり、そこでもノーホーラだった。


アクセス

 前述の通り、立川駅前から無料バス。あ、今年の阿佐田杯の時は駅前のタクシーが乗り合いとなっていて、300円で行けた。行きから乗り合いになっているというのは西ではなかなかみかけんよ。

980107


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