取手競輪場


 西の人間にとって、「茨城」というところは非常になじみがないのである。

 「つくば学園都市」、「鹿島アントラーズ」、「水戸黄門」……、全国ブランドといったらそのくらいのものか。あ、アントラーズは千葉だと思っている奴も回りには結構いるぞ。「チバラギ」などという言葉も聞こえてくるが、なんとなくイメージとしては分かるけど、実感としてはイマイチつかみにくい。
 競輪にしたって同じようなもの。戸辺英雄とか小林信太郎とか坂巻正巳とか工藤兄弟とか、十文字が出てくるまでは非常に目立たない存在であった。

 特にローカル色豊かなわけでもない、ビッグレースが開催されるわけでもないということで、ここに来る機会はなかなかないだろうと思っていたのだが、たまたま東京出張の機会を得て、そのついでに足を踏み入れることができた。今年の2月のことである。

 昼過ぎに出張の用事を片づけて、上野から常磐線に乗り込む。
 もっと近いと思っていたのに、1時間近くかかってしまった。既に無料バスもなく、タクシーで到着したら既に9R締め切り5分前。
 まあ、しょせん平日のヒラ開催。大して客がいるわけでもなく、あっさり車券は買えてしまった。出走までやや時間があったので、場内探検。

 それなりに大きな競輪場を想像していたのだが、案に相違してこじんまりとした設備。特観席もきれいな感じだけど、何だか小振りだなぁ。「首都圏」というイメージを持っていたので少々意外である。
 でも、さすがに設備は全体的に整っている。スタンドの下に穴場があるが、ビニールシートで寒気の流入を防いでいる。それに、あちこちに休憩所もあって、非特観客もそれなりに快適に打てる工夫がなされている。いい感じ。

 食い物については、関東地区としてはイマイチのような気も。行った時間が遅かったせいで残り物ばかり食わされたこともあり、なんだか大した印象がない。芋を焼いて売っていたのが印象に残っている程度。

 さあて、いよいよレースが始まる。関東のヒラ開催の選抜戦辺りだと、知らない選手がほとんどだ。予想紙も買わず、スポーツ紙と出走表だけが情報源なのでとりあえず強そうな選手から三点ほど買ってみたら1,300円ほどの配当を手にすることができた。よ〜し、この競輪場は、どうやら儂と相性がいいようだぞ〜。

 そして次は最終レース。相変わらず知らない選手ばっかりなのだが、お、知ってるのがいたぞ。松永 晃典(静岡76)だ。Sでもそこそこ頑張ったこいつ、このレースはほぼ一本かぶりの人気。なにせ、他に知ってる選手がいないのだからこいつ信頼してしまうのも無理はない話。先ほどの浮きをほとんどぶち込んだ。

 レースが始まる。期待の松永、主導権を奪われてしまう。「でも、こいつ、元々まくりタイプだし〜」と思ってみていたがさっぱり車が前に進まず、結局別線のドスジで4千両。
 本日の収支は、かろうじて、上野〜取手の往復の交通費分だけの浮きという情けない結果。「日刊スポーツ」と、駅から競輪場までのタクシー代の分は確実に赤字。

 帰りは、タクシーなど使えず、当然無料バス。しかも、乗り場が分からずウロウロしていたので、回りの客は払い戻しを受けた景気のいい客ばかり。そんなに負けたわけではない割には、随分心に傷を負ってトボトボと帰ったのであった。


アクセス

JR常磐線取手駅から無料バス。取手までは、上野から快速で約40分。

980616初稿
010929補訂


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