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この写真は1983年1月5日にフィラデルフィアで行なわれたシクサーズ対レイカーズの試合で撮影したものです。ブレでわかりにくいと思いますが、ダンクしているのはシクサーズのジュリアス・「ドクターJ」・アーヴィング、ブロックに行ってバックボードを避けているのはレイカーズのマイケル・クーパー(現WNBAスパークスHC)です。

80年、82年のファイナルと同じ対戦と言うことで大いに注目を集めた試合でした。二度もレイカーズに苦汁を飲まされている地元フィラデルフィアファンの興奮もレギュラーシーズンとは思えぬほど高まっていました。期待に違わず延長戦にもつれ込む接戦となり、このダンクはその延長戦でシクサーズのリードを4点に拡げる決定的なプレイで、観客の熱狂が最高潮に達した瞬間でした。

面白い写真になったと自分では思っていますが、こんな写真が撮れたのは全くの偶然でした。私にとっては初めて取材した試合での写真と言うこともあって大事な記念の一枚です。

初めてのNBA取材でしたが、やはり写真も撮っておいた方がいいだろうと考え、最低限の予算で一眼レフ本体、標準、広角、望遠と3本の交換レンズを揃えて試合に臨みました(この機材を使って撮影した写真)。会場入りしてまず知ったのは取材票に種類があってフロアで写真を撮るにはフォトグラファーとしての取材票を申請しなければならないことでした。しかたなく2階にある記者席から観戦メモを取りつつ、写真も撮りつつということになりました。注目の試合だったこともあり指定された席は最後列の端から3番目でした。今では国際化したNBAですが当時は外国メディアは邪魔者扱いでした。私と私の横に座っていたイタリアの新聞記者、イスラエルの雑誌記者しか外国メディアは来ていませんでした。

フロアまで遠かったのでもっぱら望遠レンズを使うことになりましたが、試合前のウォームアップでまずいことに気が付きました。照明が暗くて早いシャッターが切れません。自動露出の表示は1/60か、明るい構図で1/125、下手をすると1/30を指しています。レンズを考えれば無理もないです。レフレックス式の250mmでF8の固定絞りでしたから。焦点距離が短くともせめてF4くらいの望遠を買うべきでした(余談ですがバスケットの写真撮影は暗さとの戦いだったようで当時の写真集でも流し撮りが多用されています)。固定絞りなのでシャッター優先モードも使えず、万事休すでした。

案の定、現像から上がってきた写真は使い物になりませんでした。しかし、この1枚だけは幸運に恵まれて面白い絵になりました。この試合にはスポーツイラストレーテッド(スポイラ)が取材に来ていました。超有力メディアであるスポイラは特別扱いされていて、スタジオ撮影用のストロボをフロアの天井の四隅に据え付けることが許されていました。これがあるので鮮明で精細な写真を撮ることができます。(ときどきプレイヤーの顔にネットの影が映っているような写真がありますが、これはストロボが発光しているからです。)

この写真を撮った瞬間にスポイラのカメラマンもシャッターを切ったようです。その時のストロボの光が回ったおかげで背景の観客が(ブレてはいますが)明るく写り込んだという訳です。

このダンクは数多いドクターJのダンクでも有名な一本で、後にコカコーラ(ダイエット・コーク)のCMに使われたことからコカコーラダンクと呼ばれています。

数年前にこの試合が日本でも(関東では)TVKで放送されていたことを知りました。この瞬間を改めて見た時には感慨深いものがありました。

2002年11月10日作成
2002年12月7日追加