Q4 政党に国がお金を補助するのは許されるの?

 

1994年の「政治改革」によって、国民の税金を財源とした政党助成制度が1995年から開始されました。政治腐敗の温床となってきた企業・団体献金を将来(5年後の2000年から)全面的に禁止する代わりに、そして「民主主義のコスト」を賄うという謳い文句のもとに新設されたのです。本当にそのような理由で政党助成制度は導入されたのでしょうか。

まず、企業・団体献金については、政治家の資金管理団体へのそれは禁止されたものの、政党へのそれはいまだに禁止されていません。つまり、政府腐敗の温床となってきた企業・団体献金を禁止する代わりに、国民の税金で賄われている政党助成を導入するという論理そのものが、公約の反故によって破綻しているのです(政治改革オンブズパーソンの声明「『政治改革』の公約を守り、企業・団体献金の全面禁止を!をご参照ください)。

また、現行法は、「民主主義のコスト」を賄うという論理になっていません。このことはまず受給資格は配分基準の点から指摘できます。現行政党助成法によると、そもそも民主的な選挙制度で選出されているにもかかわらず、無所属の国会議員には、政党交付金は交付されません。国会議員5人以上あるいは1人以上で全国の得票率2%以上の議会内政党でなければ交付されないのです。国会議員1名で得票率2%の議会内政党には交付されますが、国会議員4人で得票率1.99%の議会内政党にも交付されないのです。

受給要件を充足した「政党」には、年間で総額310億円を超える政党交付金が確保され、各「政党」の議員数割と得票数割で配分されますので、選挙における投票率にも自己の得票率に関係なく、政党交付金が配分されているのです。衆議院議員の選挙制度によって大政党に過剰代表が生じ(Q3)、その結果として政党交付金においても大政党に過剰給付が行なわれています。

その上、各「政党」に投じられた投票は、衆議院と参議院の各議員を決定するために選挙権が行使されたものですが、この投票が投票者の意思を無視して各「政党」の政党交付金の受給資格と配分基準に流用されているのです。ですから、国政選挙は投票するが、政党交付金のために「投票」は棄権するということは認められていないのです。これでは民主主義とは言えません。

以上のように、政党交付金の受給資格は配分基準に着目しただけで、現行法が「民主主義のコスト」に相応しい内容になっていないことは明らかです(政治改革オンブズパーソンの声明政党助成は『民主主義のコスト』ではない!! ― 現行選挙制度の選挙結果に連動した政党交付金の配分基準と、『政治資金の二重取り』の点から ―をご参照ください)。

このことに加えて、各「政党」の政党交付金の使途を見ると、「民主主義のコスト」とは言い難い内容であることは明らかです。

まず、インターネットで公表されている自治省政党助成室のまとめによると、1999年に支出された政党交付金総額のうち43.6%が「人件費」に、15.3%が「事務所費」に支出され、両者でほぼ占められている「経常経費」に63.3%(146億円)も支出されています。「政治活動費」への支出は残りの36.7%だけです。しかも、そのうち、最も「民主主義のコスト」らしい「調査研究費」への支出は、総額約4億6183万円で、全支出額の2%にすぎません。

政党交付金は、これまでヘアーメイク代、大学OB会費、車関連費用(駐車場代やガソリン代、修理代やリース代等)に政党交付金が支出されてきた。そのほか、お中元や歳暮あるいは香典などへの支出もいまだにあります。

民主党の江本孟紀参議院議員(比例区)が代表を務める政党支部(当時、「スポーツ文化フロムファイブ」)が、政党交付金から、旅費や飲食費として計450万円を支出し、その中には私的な宿泊費や食事代なども含まれていたことも明らかになっています。彼は、かつてスポーツ平和党に所属していたとき、参議院災害対策特別委員会で、政党交付金を阪神大震災の復興費用に使ったらどうかと提案していたのです。言行不一致も甚だしい限りです。

自民党の支出は贅沢である。例えば、月額30万円、40万円を超える金額が幾つかの支部で事務所の家賃に支出され、事務所のために冷蔵庫、テレビ、掃除機、応接用椅子など事務所の備品一式に支出しているものさえあります。不可解なのは1998年に自民党東京都支部連合会が防災大会に2000万円を超える金額を支出していることです。

政党交付金は、それを受け取った政党が自己の活動のために使用するからこそ受け取っているはずですが、受け取った政党交付金を、なんと寄付している例も明らかになっています。その概要を1999年の場合を例に言えば、「寄附金」の総額は約5億4377万円で「調査研究費」よりも多い金額ですが、公認料、推薦料、陣中見舞いなど実質的には寄付に相当するものが「選挙関係費」あるいは「組織活動費」としてそれぞれ報告されているので、実質はもっと多いようです。

寄付にも幾つかの種類があるので、まず、政党が自分らに、あるいは自分等の一部に寄付しているに等しものがあり、所属議員等の後援会、あるいは研究会や政治団体・政策団体などに寄付しています。例えば、1998年に解散した政党の場合、旧新党友愛がその政策団体(政治団体)の友愛協会に10億6000万円を、旧民政党が旧「国民の声」の政治団体である国民クラブに750万円を、それぞれ寄附していました。

また、自己の支持母体である労働組合に寄附しているものもあります。例えば、1998年の場合、旧民主改革連合は日本労働組合総連合会に1億円、新党友愛は幾つかの支部が地方の民社協会に合計約4470万円寄附していた。1999年の場合で言えば、改革クラブ本部が「組織活動費」として「お祝い金」を日本労働組合総連合会へ合計10万円を寄付しています。

さらに「政党」が他の「政党」に寄付しているという不可解なことが行なわれています。1996年に市民リーグ(当時)が民主党本部に1000万円の寄付を、民主党石川に300万円の寄付を行なっていた。また1998年に新党平和(当時)の衆議院比例代表区東海第一総支部が公明愛知県本部に200万円の寄付を行なっていた。1999年の場合で言えば、 改革クラブ本部が「組織活動費」として「お祝い金」を自由党本部へ20万円、民主党本部へ5万円、それぞれ支出し、また「その他の経費」として「統一会派経費負担分」を合計703万円強、それをなぜか公明党代表の神崎武法議員に支出しています。

その上、あろうことか、政党交付金が1996年10月の衆議院総選挙において買収資金として使用された事件がすでに2件も発覚しています。一つは、北関東比例区から選出された中島洋次郎・自民党衆議院議員(当時)の事件で、もう一つは、福岡5区に新進党から立候補し落選した楠田幹人候補者(当時)の事件です(1997年2月14日福岡地裁判決)。

亡くなった後に金塊を隠し持っていたことが発覚した金丸信・自民党副総裁(当時)が、「政治改革」が議論されていた当時、政党助成制度の導入の議論に対して、「泥棒に追い銭」になるのではないかと危惧していたのです(朝日新聞1990年7月5日)が、彼の危惧はまさに的中した、と言えます。

このように考えてくると、政党助成制度の真の導入理由は、企業・団体献金を全面的に禁止して政治腐敗の防止に努めるためでも、「民主主義のコスト」を賄うためでもないと言わざるを得ません。国民、社会から遊離した政党が国民に痛みを伴う政策を強行するために、それを強行する政党の財源を国民の税金から騙し取っているのではないでしょうか。政党助成法が憲法違反であるという問題(Q8)もありますから、結局、政党助成は保守政治を延命させるための「不良政党への公的資金の投入」なのではないでしょうか(上脇博之『政党助成法の憲法問題』日本評論社・1999年)。

(上脇博之)