下請倒産による不払い代金
        ―元請責任の所在―

                                     荒川隆男

■今年の4月、下請業者の倒産で未払いとなった工事代金2425万円の支払を求める訴えが神戸地裁でありました。

■ 訴えたのは尼崎民商会員で配管工事業の大倉鉄建工業。元請業者は特定建設業・神鋼パンテック株式会社です。

■ 訴状によれば、▽大倉鉄建工業(原告)は1997年8月〜98年1月にかけ、神鋼パンテック(被告)の下請業者・王子工業鰍ゥら下水道配管工事など5件を請負った。▽工事の監督については、97年8月以降それまでの王子工業の監督と異なり、神鋼パンテックの監督から指示を受けて施工した。▽神鋼パンテックは、97年8月ごろから王子工業が倒産の危機にあることを知りながら、工事の中断を恐れ、直接監督し工期を早めるよう指示した。▽工事は98年3月までに完成させたが下請の王子工業は翌月倒産、代金は未払いとなった―というものです。

■ 原告の大倉鉄建工業はこれまでに、神鋼パンテックに対し、未払い分の解決について話し合ってきており、建設省からの「勧告があれば払う」との言明を引き出していました。旧建設省に対しても、建設業法第41条にもとづく指導、助言、勧告の要請を行っています。

■ 旧建設省の回答によると、神鋼パンテックに対する立替払いの勧告は「二重払い」になることを理由に、勧告は出せないとし、「大倉鉄建工業を救済するための何らかの措置を講じるよう指導」しているが、救済措置が講じられていないという申し立てごとに指導しているという進展のない回答でした。

■ このように、建設業法第41条は制裁を伴う行政処分ではなく、しかも立替え払いを勧告できるのは労働者に対する賃金(2項)、他人への損害(3項)という限定的な規定です。

  そこで、元請との交渉や行政庁の行政指導を求める行動を行いつつも、今回提訴に踏み切った大倉鉄建工業による損害賠償請求訴訟を勝訴に持ち込む理論構成についてお知恵をお借りしたいと思います。

■ このことについては、鈴木修弁護士が「建設政策」誌(99.4)で「1次下請業者が倒産して2次下請業者の請負代金の支払が不能となった場合、1次下請に発注した元請業者に対して2次下請業者がその請負代金債権を有し、元請業者がその支払を拒むときは、2次下請業者が元請業者に対してその請負代金を裁判上請求し勝訴判決を得ることが出来る法律上の根拠を検討しよう」と問題提起されていました。

  小泉「改革」による不良債権処理が不安を一層深刻にさせています。


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私の主張・見解・視点

ここに掲載するものは、建設政策研究所関西支所の月刊誌『関西交流ニュース』から転載したものです。

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