☆茶室心得 1998/10/01
茶室起こし絵を作ろう!
![]() 小川邸茶室 1999/08/05 |
![]() 茶室起し絵 |
1、茶室の設計はどこからはじめるのか
はじめに水屋の位置
次に茶道口(開いた時に水屋が丸見えにならないように)
次に炉の位置
突込茶道口
曲り茶道口
次に躪口(露地の道順)
客は露地から茶室に至り、躪口を開けて席中をうかがい、ま
ずはじめに床の間をみます。
次に床の間
亭主の後方「後ろ床」は良くない
◎床の間に対して亭主の位置が決まるのではなく、亭主の位置と客の入口の位置
によって床の間の位置が決まる。亭主の位置は茶道口によって決まり、茶道口
の位置は水屋によって決まる。
3、広間切りと小間切り。
出炉と入炉
広間切りの場合、亭主は必ず踏込畳を経て点前座、道具座に座りますが、
小間切の場合は踏込畳と道具畳が兼用で踏込んだその畳が点前座になる
ことから踏込点前座と呼ぶ。この踏込点前座には丸畳と台目畳の二種類
がある。
4、寄付(袴付)はクローク
玄関の横に二畳ぐらいで十分だから、寄付が有ると着替えや荷物を置け
るので便利である。
5、待合
腰掛待合と混同しないように
客が全員そろうのを待つ場所
本席の床の間と重ならないように、デザイン的に軽い感じの略式床や変
形床が似合う。徐々にお茶の緊張感を高めてゆく空間構成を考慮する。
待合いの出口が露地口。
6、露地
露地に於いては露地草履に履き変えなければならない。
なるべく腰掛けて草履を履けるほうが良い。
露地門とは茶事の流れとは関係無い植木屋の出入口。
7、腰掛
理想的な位置は露地口の正面にならず、中門がちらっと見えて、蹲踞の
気配が解る位置。
腰掛けに座り、迎付を待つ。
四畳半の茶室なら5人の客が座れるように腰掛けを考える。
形の良いのは7人が限度。
煙草盆や手あぶりも置く事を考慮する。
「五人の客に一間半」
奥行きは一尺八寸
踏石の上から腰掛けの縁甲板までの高さは一尺三寸
踏石は正客石と次客以下との石を区別し正客石を若干高く据える。
次客以下の石は畳石にする。
正客の位置は客が進んでゆく先の方。
壁には湊紙で二段に腰張りをする。
下地窓を設ける時には障子をかけずに亭主が見えるようにしておく。
8、飛石
飛石ハ 宗易ハ渡りを 六分に、景気を四分に据えるよし。
織部ハ 渡りを四分、景気を六分に据と被申由 被迎也。
頃合な石の大きさは露地草履で石の真ん中を踏んで前後に一寸ずつ余裕
を見た一尺が基本、一尺を基準にして交互に大小と並べる、大は尺二寸
小は八寸くらいまで。
石の間隔は四寸
お手前の時の歩幅は尺五寸七分五厘
地面からの石の出は一寸
9、畳石
据える位置は、腰掛けを別にして二ヶ所
1ヵ所は亭主の迎付けを受けるちゅ門の手前
もう一ヵ所は蹲踞の手前
10、中門
客の領域である外露地と亭主側の領域である内露地との仕切りとして設
ける門
屋根のあるものに名称として「門」が付く。
デザインはあくまで簡素に露地の仕切りである事を念頭に行う。
屋根無しの中門には主に片開き戸がつく、開き勝手は亭主が門に向かっ
て左側に丁盤が有るようにする。
屋根の無い中門には敷居の代わりに戸摺り石(飛石より少し大きい)を
据える。
中門を挟んで外露地側に客石、内露地側に乗越石と亭主石(兼ねる事有
り)それに戸摺り石を含めて中門の役石と呼ぶ。
11、露地の植木
露地に花の咲く木は植えない(床の間の花と重なるを避ける為)
落葉樹常緑樹お互いほどほどに。
珍木珍草、香りの強い埴哉の避ける。
外露地は明るく内露地は幽玄に、つまり茶室に向かうほど樹木の繁る様
に。
蹲踞や飛石、ポイント回りには下草を植えると風情が増す。
苔の手入れ、冬は霜柱が立たぬよう敷松葉を敷き、春から夏にかけては
絶えず水やりが必用で、根気がいる。
しかし、京都では放っておいても自然に苔がはえる。
12、蹲踞
茶室の蹲踞は使えるように据える。
カケヒ(竹冠に見る)の無い蹲踞のほうが風情がある。しかし、掃除などに
必要なので近くに給水栓を設け石や瓦で隠す。
蹲踞(手水鉢)
手燭石
湯桶石
前 石
「右手に手燭、左手に手桶、そのまま置けば蹲踞の役石」
鉢穴の手前から前石の前まで1尺7寸〜2尺3寸
手燭石は蹲踞より1寸〜1寸2分程低い。
手職石は湯桶石より1寸〜1寸2分程高い。
前石はゆったりと屈めるように大きくし、鉢明かりという灯籠を向こう
側に据える。
水門の中には、ごろた石を並べ水掛りの瓦を置く。
鉢穴の大きさは、大きい物で径6〜8寸深さ7〜8寸くらい、小さい物
は径7寸深さ6寸くらい。
13、額見石
あまりこだわりすぎて大きな石を据えると仰々しくなるのでさらっと流
せるように小ぶりな石を据える。
お客様が扁額に向かって進んでくるような露地は造らない事。
14、茶室の見え方
茶室に向かいながら見えてくる外観は最後の最後躪口の前に立ってま
でも、その全体像がわからないほうがよい。
その方が客自身の空想が大きく広がり、たとえ小さな茶室でも想いは無
限に広がっていくのです。
待合から外に出た時には茶室の棟辺りだけが見え、腰掛けに座っている
と木の間隠れにちらちらと見え、やがて中門を通って蹲踞に至ると躪
口まわりが見えて来ます。そして、席入りすると結局茶室の全体像がど
んなだったかわからない。しかし、それでよいのです。席入りをしては
じめてその空間の大きさ(量的にではなく)に驚き、感動をするのです。
露地の植え込みと飛び石はたえず茶室の見え方を気にしながら配置する、
のであり露地の道すがらと茶室の位置関係および蹲踞、中門、腰掛、待
合との位置関係は、それぞれそれらしい位置と他の見え方を気にして建
てるように気を付ける。
その見えてくる棟の屋根の形は、お客様が向かって来る方向、つまり躪
口側が一番形のよい屋根になるように設計する。
15、屋根の形
お客様が入る口には必ず庇を付けて軒を低く押え招き入れるように構え
る。
屋根の部分、斜めの部分をどのような形にするのかが茶室の外観の重要
なポイントである。
軒の高さとおでこの大きさが外観設計の最大のポイント。
妻側から見て入母屋のようなしかし、入母屋ではない、軒の出と庇の出
が違う屋根を「すがる」(縋)という。
この形の屋根を「やっこ」(奴)とも呼び片側だけ「すがる」の場合は
「片やっこ」という。
16、屋根葺材とその勾配
瓦葺
小さな茶室屋根の場合は小瓦を使用する、俗に言う80枚ものとか10
0枚ものとかいわれる瓦で、坪当たり80〜100枚使用する。(一般
住宅で64枚)
小間席で客が入る方向に瓦が葺下ろされると見た目に重く感じるので
妻入の場合は庇を軽いもので葺くか平入りの場合は腰葺といって、軒桁
より先は軽いもの柿葺とか銅板葺などにする。しかし、大屋根の場合は
柿葺や銅板葺では軽く見えすぎるので瓦葺がよい。
茅葺
あたたかみがあり、味わいがあるが、職人も材料も現在では困難である。
柿葺(こけらぶき)
主に杉材を薄く割った材料で葺くが、機械で割った材料は木の繊維が揃
わず雨漏りしやすい。
大和葺
杉皮葺の上に杉皮を押さえるという意味で、竹を並べて蕨縄で男結びに
結わえる。野趣のある屋根で腰掛けや中門に向く。
銅板葺
柿葺の代わりに擬似的に用い、銅板の葺足の小さいほどよく見える。
(一文字葺)
屋根勾配
茅葺 尺、檜皮葺 5寸、大和葺 4寸5分、瓦葺柿葺 4寸〜4寸5
分、銅板葺 3寸〜3寸5分
ただし建物が大きくなればそれぞれ勾配も急になる。
17、ちり穴
一種のアクセントで、客の出入口側の重要な点景。
広間の茶室には角形、小間席には丸形という決まり。
覗石
丸形ちり穴の直径内法は7寸〜8寸、長方形はその場の雰囲気で1尺か
ら2尺とまちまち。深さは7寸〜1尺底は塗らずに土のままとする。
軒内の三和土にあるちり穴は縁を付けない物が多いが、軒内の半掛りか、
地面に接するちり穴は雨水が入らないように縁を1寸くらい上げてまわ
す。
ちり穴を設ける場所は客が席に入る出入口の近辺でやや前方、こちらに
向かって覗石を据える。
蕨の飾り帚をかけるなら、このちり穴の側にかける。
18、躪口
挟み鴨居、挟み敷居、
躪口の上には必ず窓を設ける事。
窓を躪口の柱付側から設けないように、小壁を付ける。
躪口の寸法は高さが2尺3寸、巾が2尺2寸
敷居の高さは躪口前にかがんだ時の膝の高さで1尺1寸程度。
乗石が建物に近過ぎないよう、必ず自分自身で躪口の前にかがんでみて
寸法の確認をする事。
19、躪口の建具
躪口の建具の特徴は上の框が無いことである。
建具に張ってある板は縦に2枚と半分
建具が鴨居や敷居に入っているところを「ふくみ」というが、躪口のふ
くみは上下逆に入っている。
挟み鴨居と、挟み敷居の巾は1寸4分程度。
建具には細い赤杉の手掛かりを打ちつける。
室内側の建具の掛け金は建具の一番上の横桟の下場に上に向けて打ち込
む。
20、戸尻
躪口の戸を開ける場合、手をかけるところを柱付または建付と呼び、そ
の反対側、建具が進む方を戸尻と呼ぶ。
躪口から中に入って脱いだ草履はこの戸尻の方に置く。
21、貴人口(きにんぐち)
躪口と貴人口小間の席にはどちらか一つにするほうが茶室がしまって見
える。
22、切壁が正式
茶室の壁は切壁が正式とされている。
切壁下を造るには柱と柱の貫はよく鉋で削り相互に切り目を付け栓でこ
れを堅くとめて、貫と貫の間に同材で枠を組みこれにも鋸の目を付けそ
の枠中に竹を細かく割り、削って割麻芋をもって編み入れたのを入れ栓
で堅める。
壁の塗り方は鏝類を少なくして、しかも堅く締めなければならない。鏝
類の多い場合には必ずスレを生じて光ることをとくに嫌われている。中
塗が最も手間なのは言うまでもない。
23、床の間
本床は、床柱、落し掛け、床框、畳床であること。
茶室は「右明かりの床の間を本床と呼ぶ」
待合には略式床を用いる。
24、略式床と変形床
A.略式床
壁床
床框も畳床も無いただ壁だけの床の間
壁床の場合のみ腰張りの高さを変えて張ることがある。
置床
壁の前に板や台を置くと置床になる。
付床
置床の板や台が造り付けになっているもの。
釣床
壁床に落し掛けだけが付いている場合。
織部床
天井際に幕板のある壁床を織部床という。
軸釘は幕板の有る場合は、金釘で幕板の無い場合は竹釘を使う、千家で
は軸釘は竹なので幕板は入れない。
B.変形床
踏込床
床の間の床と室内の床のレベルが同じで、なおかつその境界線がはっき
りしているもの。
蹴込床
床框の部分が蹴込んである床、蹴込部分には竹などの特殊な材料を使用
する場合が多い。
室床
土壁がそのまま天井まで塗ってある床の間。
有名な席に利休居士の「待庵」がある。
袋床
前面片側に袖壁を付けて壁止めに方立や小丸太を建てた床の間
洞床
袋床で袖壁の壁止めが無く壁が塗り回しになっていて同じ様に落掛も無
く塗り回しになっている袋床を、洞床と呼ぶ。代表的な席は仁和寺の飛
濤亭、掛軸を掛ける場合は一般の床と同じく奥の壁の真ん中で良い。
龕破床
洞床で両側に塗り回しの袖壁が付いているもの。
25、特殊床
デザイン的には強烈な印象があるが、かける軸や花が限定されてしまい
室内の雰囲気も特定されてくる。一般には避けたほうが無難。
霞床
大徳寺山内玉林院の茶席に有る床の間で、掛軸に富士山の絵を掛けてそ
の前面に霞に見立てた違い棚がある。
円窓床
使い方が難しく一般には茶室に合わない。京都の西行庵にある皆如庵は
床の間中央に丸窓が有り花が掛けられるようになっており、軸は左壁に
掛ける。良い雰囲気だが数奇屋になれていないとデザインで失敗する。
原叟床
表千家六代原叟宗左(覚々斎)好みの床、
踏込床の床柱の位置が少し中に入っている、床柱を引き込んだような形。
本席よりも待合いなどの二次的なやわらかい席に似合う。
26、柱の表情
茶室や寄付、腰掛待合などに使われる柱材は、用いられる場所と全体の
流れから選ばれる。
床柱には白木の赤杉前杢、赤木の北山磨丸太・档錆丸太そして古材、黒
木では赤松皮付き丸太など。床柱以外の柱は、最近では材料的に豊富な
北山磨丸太の並丸太が多く使われる。
数寄屋は材の種類が多いが、使う物は出来るだけ統一して簡素化する。
床柱以外、特に隅の柱などは、特別な理由が無い限り壁中の柱より細め
の柱を見立てます。壁中の柱は、柱が丸い場合壁がその丸みにかぶって
細く見えるので留意する。
柱材に手を加えて景色を創る為に、北山磨丸太の表面に面を付ける面皮
仕上げの方法や、柱の根元40〜75センチぐらいまでの部分に竹の子を付
ける方法がある。
面皮仕上げは赤木を少し白木に近づける趣が有り、竹の子は少し人間が
自然に手をかけたおもむきがある。
ただし、面皮を付けると木の善し悪しがよくわかり、安価な磨丸太だと
木目が広くて嫌味な物になりかねないので、丸太のままで竹の子を付け
る程度で仕上げた方がうまくいく。
27、床の間の分類
床の間の分類は形による名称、位置による名称、そして大きさによる名
称に別れる。大きさといっても奥行きはあまり関係なく、もっぱら間口
をもって**床と呼ばれる。
一般的には小間席の場合、台目床(又は枡床)で、広間の場合は一間以
上の床の間になる。
枡床(ますどこ)
床の間の平面がほぼ正方形の場合枡形になることから枡床という。
四畳半の平面の中に半畳の床の間を設けた席に多く、この場合炉は向切
にして、床の間の床は板とし踏込床にすることが多い。
台目床(だいめどこ)
台目畳ぐらいの床の間ということだが、点前座の台目畳よりは大きさに
融通性が有り三尺八寸くらいから五尺五寸くらいまで、一間より短けれ
ばすべて台目床と呼ばれている。
一間床(いっけんどこ)
広間では床の間が一間より大きくないと釣り合いが取れない。
関東間では五尺八寸、関西間なら六尺三寸
七尺床(ななしゃくどこ)
八畳で床脇を設けた場合一間床では大きさが物足りないので床の間を少
し広げる、七尺から七尺五寸程度を七尺床と呼ぶ。
床の間を七尺五寸とすると床脇との割合が六対四となりバランスが良い。
八尺床(はっしゃくどこ)
九尺床(きゅうしゃくどこ)
大広間など間口の大きい部屋に用いる。
28、畳床と板床
壁床以外床が畳なら畳床、板なら板床、まれに壁と同じく床を土で塗り
その上に紙を強いた土床(昔宗旦が試みた)
29、床柱
床の間の三役、床柱、落し掛け、床框、初めに床柱を決めそれに合わせ
て落し掛け床框を釣り合い良く組み合わせる。
床柱を決める場合次の四通りの考え方がある。
1.部屋の雰囲気によって決める。
2.由緒、いわれの有る柱で決める。
3.非常に貴重、又は珍しい柱で決める。
4.人に言われた、皆が使っているので決める。
1.の方法が一般的だが、しかしどうすれば雰囲気にあうのかはなかなか
解らないので、4.になってしまいがちだが、やはり自分自身で責任を持
って決めるべきだ。床柱により床框、落し掛けが決まりそれにより茶室
全体の雰囲気が出来上がる。
2.の場合色々な場合が考えられるが、えてしてその茶室とバランスが取
れない場合がある。しかし、逆に茶室を床柱に合わせてしまう事も出来
る、この場合床柱に深い意味合いがあるのだから冒険が出来る。
3.の場合「珍品だから良い」という発想は持たないほうが良い、珍品で
なおかつ茶室の雰囲気に合わなければ何にもならない、同じ様に茶室と
いえば変木という訳ではない、変木には変木の使い所がある。
床柱になる為には、それ相応の気品と風格が必要である、最も適してい
るのは京都北山の「天然」絞丸太である。
要は自分で考えている茶室に一番合う床柱はどれなのか、時間を掛けて
じっくりと自分で見つけることである。
30、軸釘
「掛物の釘打つならば大輪より、九分下げて打て釘も九分なり」(利休
百首より)大輪は台輪、天井廻り縁の意。
竹釘の皮目は上又は下に向け、滑らないように斜めに打つ。
床の間の天井が低いと掛け軸が掛けられない、広間の床の間の天井高さ
はその室内の天井と同じでかまわないが、小間の場合、最低でも六尺五
寸、出来れば七尺欲しい。
軸釘には丈釘の他金物の折釘や、廻縁の下場に打ち上げる二重折釘など
が有るが千家では竹釘のみを用いる。
折釘は幕板(織部板)に二重折釘は廻縁に打つので建物が仕上がってか
らでも打つ事が出来るが、竹釘は塗り壁に打つので先に下地を入れてお
かなければならない。
31、三つ釘と三幅対
床の間の軸釘で三つ釘と三幅対では意味の違う釘である。
三つ釘は横幅の広い軸(大横物)を掛ける為の釘で、三幅対の場合は三
幅の軸を掛ける為の釘、小間の場合台目巾一間巾では三幅掛ける事は無
理なので三つ釘となる、三幅対の場合は七尺以上の床の間に限る。
三つ釘の位置は台目床ならば床の間巾の四等分の位置へ打ち、一間床の
場合は中心の釘から両方へ一尺一寸くらいの位置へ打つ。
釘の出は真中が九分で両脇を一分短く八分とし、太さも両脇を若干細く
する。
三幅対の釘は真中を竹釘とし両脇を金釘で廻縁の下場を動くようにした
稲妻釘という方式が一般的。
大横物の三つ釘への掛け方は、初めに真中の釘に掛け、次に左そして右
と掛けてから最後に真中を外す。つまり左右のみ掛かる。
32、花釘
釘の高さは、床の間の大きさや部屋の天井の高さ、その雰囲気、そして
掛ける花入によっても違うので、一概にはいえないもので、決まった寸
法が、あるわけではない。
古田織部「かけ花入の釘も寸尺ニてハうたれぬ物也。花入のかっかう又
ハ床の広させはきによりて打申物・・・・」
利休百首「花入の折釘うつは地敷居より、三尺五寸五分余もあり」「花
入に大小あらば見合せよ、かねをはずして打つがかねなり」
杉木普斎傳書「二畳、二畳半なとの小さしき、床のうち花入かけ申候、
折釘三尺六寸、三尺七寸、寸法よきところ也。上手に至りぬれハ、寸法
いらぬものなり、能(よく)みゆるもの也」
最終的には、床の間の雰囲気とお施主の一番好みの花入を出して来て、
それを床柱に当ててみたり、正面の壁に当ててみたりして、どの変に釘
を打つのか、決める。
花釘(床柱に打つ釘で一般には座付き)は、床柱の上から三尺三寸〜三
尺九寸
中釘(床の間正面の壁に打ち、軸を掛けた時に邪魔にならないように引
っ込むようになっている、無双釘ともいう)は、花釘より五分から一寸
ほど下げて打つ。
張付壁の床の間は、相手が紙なので金物の中釘や竹の軸釘も打たない、
中釘は無しで、軸釘は廻縁下端に二重折釘を打つ。
1.花釘は落し掛けと床框の間、下から三分のニの所に打つ。
2.花釘は落し掛けと床框の間の寸法x6
3.花釘は落し掛けと床框の間の寸法x床の巾
4.中釘は床の間天井と床の対角線の交点、つまり天井高の1/2
33、釣花入の釘
床の間の釣り花入れの釘は本来は二ヶ所あるが、華鬘釘と呼ば
れる落し掛けの中央正面または裏側に打つ釘は現在あまり打た
れない。
花蛭釘は床の間の天井下座の方に打つ、小間の床(台目巾)の
場合は間口が狭いので三分の一のところに、広間の床(一間以
上)の場合は四分の一の所に打つ、
台目床 一間床
フックの先は床の間の真中に向ける。
釘の形は差し込み式の「栓差し」とねじ込み式の二種類あるが
栓差しのほうが安心である。
どちらも天井裏に受木が必要である。
34、柳釘、朝顔釘
柳釘は、正月の床荘りに結柳を入れた竹の花入れを掛けるための釘で釘
を打つ位置は、床の間の下座、奥入隅の天井廻縁下端より九寸ほど下が
った位置に斜めに打つ。釘は金物の折釘で、座の無いほうが目立たなく
てよい。釘の高さが天井に近すぎると柳が折れてしまい、低すぎると間
延びして形良く垂れ下がらない。
朝顔釘は床の間の袖壁に有る下地窓に打つ釘で、下地窓の掛蔓がしてあ
る女竹を打ち抜いて外れないように釘の先が両側に開くようになってい
る割り足釘を使う。これも座はない。
35、炉壇
炉の大きさは一尺四寸角である。
炉は炉縁と炉壇から成る、炉縁は茶道具の一種である為種類はたくさん
有る、炉壇は正式な物に塗りの炉壇を「本炉壇」とし、後は略式となる
「銅の炉壇」「石の炉壇」「陶板の炉壇」「鉄の炉壇」等がある。
塗りの「本炉壇」は毎年炉開きの11月初めに炉壇師が塗りかえるのが
本当だが・・・
炉壇の深さは昔は一尺四寸だったが最近は浅くなって一尺一寸程になっ
た、厚みを入れた全体の深さは一尺三寸五分。
本炉壇は木枠と下地板、及び土で出来ていて床下に入れやすいように外
形は下狭まりになっており、内部は火の起こりをよくする為に逆に下広
がりになっている。
本炉壇は木枠が炉壇受けに掛かり、その木枠の上に畳が乗る、木枠と塗
り土の間は四分ですが、これは京間の畳の場合であって(京間の畳の厚
さは一寸八分)東京や大阪の畳の厚さは二寸あるので、その四分の炉壇
に炉縁を置くと炉縁が二分下がってしまう。つまり炉縁の成は二寸二分
と決まっている為、本炉壇を注文する時には畳の厚さを確かめなければ
ならない。
本炉壇の中塗りはジュ楽土で仕上げは黄土を使う。
塗りの本炉壇で大釜が入らない為に四方を木の葉のように凹ませた「か
き炉」というものもある。
36、京間畳
京間畳の長さは六尺三寸である、点前座だけでも京間畳寸法にしておく
と、よい。
京間の平面寸法の決め方は、あくまで畳の寸法が基準で、その外側に柱
がくる。これを「畳割制」と呼び、一般建築の柱の真真を基準とするの
を「真々制」または「柱割制」と呼ぶ。
37、台目畳と丸畳
畳一枚を一畳(一帖、一張)と呼び、その半分を半畳とするが、茶室の
場合はそれに台目畳という大きさの畳が加わる。
台目畳や半畳にくらべ一畳まるまるの大きさの畳を丸畳と呼ぶ、また、
炉の部分を切り取ってある炉畳に対し、切り取っていない畳をも丸畳と
よぶが、この場合は炉畳に対する替畳の事である。
台目畳とは、「南方録」に六尺三寸の畳の内、台子の巾一尺四寸と、屏
風の厚さ一寸をカキノケテつまり「一枚タタミノ内、台子ノ置目分切ノ
ケタルユへ、台目切ノ畳、台目カキノ畳トイウ也・・・・・」ということで台
目畳となり、寸法は六尺三寸から一尺四寸の台子の巾と、厚さ一寸の屏
風の分を切のけた残りで、その四尺八寸を台目畳の基準寸法とする。
その他使われている台目畳の寸法は、
一、台目畳に向切をした場合、炉の下端を畳縁にそろえて、炉の先に二
寸の小板を入れると「四尺七寸五分」となる。
ニ、丸畳の台目切(上げ台目切)の炉先の寸法一尺七寸五分を台目畳の
炉先の寸法にすると「四尺九寸」となる。
三、丸畳の四分の三として計算すると「四尺七寸二分五厘」となる。
38、茶室金物
躪口:狭敷居、狭鴨居に頭巻釘を使用する。上部鴨居は2本、下部の敷
居に対しては1本の割合で打つ。躪戸の平板には横桟に七・五・三、又は、
六・六・三の割合で15本の頭巻釘を三段に打つ。戸締金具は掛金の鍵の
金物を上桟の下端に打ち、壺金は隅柱に打つ。
貴人口:茶事の場合は簾を掛けるよう打釘を打つ。
連子窓:竹連子を鴨居や中敷居の外側に頭巻釘で打ちつけることがある。
窓の巾が広い時は、二枚の簾を掛けられるように四本の折釘を打つこと
もある。
下地窓:掛戸やすだれの折釘は蛤端の上部約一寸のところに左右両端か
ら二寸くらい中央に入った所に打つ。
楊子柱(筆軸柱):年頭に柳を生けるのに柳釘を打つ。天井の高さが六
尺五寸なら天井から一尺一寸下がって打つか、畳上面より五尺四寸高に
打つ。
中柱(台目柱):台目構えの席には必ず使用される柱で袋掛釘を打つこ
とを定法としている。中柱に打つ袋掛釘は引竹、又は横木の下端から三
寸六分上がった所に点前座脇の色紙窓の方向へ向けて柱の中央に折釘又
は竹釘を打ち茶入れの袋をかける。中柱のある席では自在竹の蛭釘は打
たない事になっている。
洞床:洞床には床窓を設けて採光を考慮しており掛軸は軸壁のいかんに
かかわらず向こうの壁の中央に軸掛釘を打つ。
袋床:軸掛釘は洞床と同様に向こう側の壁幅の中央上部に打つ。
壁床:壁床は床框や落掛けを用いないで単に壁面の上部に雲板を入れて
軸掛け釘として竹釘を打った形式の物で、織部床とも言われている。
現在は雲板の有る場合は日本釘、無い場合は竹釘を使用している。
床天井:床天井には釣り船の花入や釣香などを掛ける蛭釘を打つ。床天
井軸脇のほう、すなわち明かりが有る方へ三分の一寄せた中心線へ蛭環
のカギをとこばしらのほうに向けて打つ。
床窓:床窓には墨跡窓と花明窓が有る。花明窓の下地窓の中に縦横二段
に寒竹の下地を交へ、その右寄上部の交差した所へ花入の折釘(朝顔釘)
を打つ。
◆軸掛釘・中釘:床の間の正面の壁には床天井廻縁下に軸掛け釘を打っ
て掛軸をかける、利休は竹釘幅二分、厚さ一分半、壁よりの出九分、
本末を同じ太さに削り、先を直に切り、いずれも面を取らずに皮目を
少しこそげ、壁付の部分は切欠き、天井廻縁から九分下げて打ち上へ
二分反らせて皮目を上にする。三つ釘の場合は真中は前述のようにし
て左右二本は少し細く削り壁の出は一寸とする。織部はこの竹を二分
半四方に削り、皮目を上にして天井廻縁から九分下げて壁の出は九分、
三ツ釘の場合、三本とも同じ様に打つが、左右は少し細く削り、壁の
出は八分とすると伝えている。洞床や袋床のように袖壁のついている
床の間に軸壁釘を打つ場合は床の間口がいかに狭くとも、その奥の壁
面中央に竹釘を打って掛物を掛ける。
一畳台目のように床の間の無い場合、茶道口と隅柱との間一枚壁の真
中に廻縁の下端から九分下がり、出も九分に竹釘を打つ。
広間の床の間で三福対を掛ける場合は床天井の廻縁下に四分の一を打
ち、中尊の折れ釘は真中にその四分の一を打ち、両脇は四分の一の下
端から樋を掘って釘を二重折りにして根を樋に差し込む、これを稲妻
釘といい中尊の釘と同じほど下げてその根を打ち返し、掛物を横へ広
く掛ける時には釘の間隔を自由に広げられるようにしている。
この床の間の軸掛釘は小間では塗壁の場合は竹釘とし、紙張壁の場合
は鉄の折釘を用いる。中釘は向釘とも呼ばれ、茶事に於いて後入の際
は掛物を生花に代える為の物で、中釘の高さは広間では三尺六寸〜三
尺七寸高さに、四畳半席では三尺三寸〜三尺四寸、小間では三尺二寸
〜三尺三寸を標準としている。現在中釘は無双釘と称して、掛物の裏
を損じないように抜き差し自由な釘となっている。
◆柳釘:
39、茶室内の畳の名称
茶室内の畳にはそれぞれ用途によって名称が付いている。基準は四畳半
でそれより広い場合は客畳と通い畳の数が増え、狭い場合は道具畳と踏
込み畳を兼ねた踏込点前畳や、他の畳が兼用になる。
四畳半の場合のみ炉の季節と風炉の季節で畳の敷き方が一部変りそれに
伴って名称も変わる。
炉の季節では床前に貴人畳、躪口前に客畳茶道口前に踏込畳、亭主がお
点前をする所が道具畳、そして真中に炉畳が有る、(1)。
風炉の季節では炉畳は外され代わりに踏込畳を敷きかえて通い畳と
し、あらたに半畳の踏込畳を敷く、(2)。
四畳半下座床の場合は上座床に有った貴人畳と客畳を入れ替えた形にな
る、(3)。
(
八畳の場合は、客畳や通い畳が二畳になり、二畳台目下座
床の場合は、それぞれ点前座も道具畳と踏込畳を兼ね合い、踏込み手前
畳や、貴人畳、通い畳、炉畳を一畳で兼ねている。小間の点前座は原則
として踏込手前畳とする。
40、八炉
炉の切り方に八通りあり、広間切り(四畳半切)台目切、向切、隅炉の
四種類の本勝手切りと、その逆勝手の四種類とで合計八炉となる。
広間には広間切(四畳半切)四畳半には四畳半切(広間切)、小間には
小間切、なかでも台目切(向切、隅炉)があり、すべては本勝手である。
とくに公共建築の茶室などは本勝手でなければならない、逆勝手という
のは、よほどの通人の遊びと考えるが良い。