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『Thos e who are not needed ――進入者――』 「熱いね。この熱気は洒 落になんないよ。熱すぎだよ!」 ラキルは朝方、燦燦と太陽が照りつける荒野を歩いていた。先日立ち寄ったミクル村 を更に北東へと進んでいる。目的地は商業都市メルベルだ。街の面積は広く人口が多い。メルベルはその地域の暑さを利用した産業などが盛んで、都市であるが農産物が多い。その理由は単純に土地の広さと、この気候から生み出されるものによる。そして人口が多いのは働き口が多いためである。 「確か……『景気と熱さが凄い街』だっけ……? あほか!」 もう既に意識が朦朧としてきて、暴言を吐きながら歩くということしかでき無くなってきた。メルベルまではもう少しだが、それは強烈な熱さもそこに待っているということだった。 「しかし衣服が妙に熱い――って僕の服装ほぼオール黒か! どうりで熱いわけだよ! 熱溜めんなよ!」 黒といった暗い色は、それだけ太陽光などによる熱を溜めやすく、逆に白と言った明るい色はその光を反射するため熱を溜めにくい。 「くそう……ここに来てささやかな誤算があったとは……ていうか致命的だよ……オール黒駄目じゃん……予備の服全部黒だよ……ファッションセンスどうかしてるよ……」 もはや自分へ暴言を吐いているという事も気付いていないラキルであった。 「何ていうか、涼しいな。これを待ってたんだよ。黒でもバンザイだよ」 商業都市メルベルの、公園。そこにはベンチを思う存分使っている――具体的には寝転がって――状態の、ラキルがいる。公園は、木々が多く埋められ、いたるところに池がある。それだけではなく、水田さえもある。人通りは、比較 的多い。年の中でも、比較的涼しいところなのだろう。 「水田が近くにいっぱいあると涼しいってのはやっ ぱり紛れもない事実だよな。俺の家も――」 言いながら、昔を思い出し苦笑いをこぼす。その過去 は苦かったが、落ち込んでもいられない。――待っている、人が居るのだから。 「それも今となっては 昔を夢見てる一人のちっぽけな人間の戯言かもしれないけどね。まあ、でもそれに向かって歩かないならそれ は僕じゃない。僕は、彼女に会わないと。そのためにも――」 勢いを付けて上半身を立ち上げ、ベン チから去っていく。 「この眼に永劫なる慈悲を」 左目を左手で押さえながら、ラキルは右目を慈しん だ。今――三年前から――右目は、普通の人となんら変わりのない眼となっていた。 昼間の太陽が一 番照り付けている時間帯だったがさすがというべき都市の構造のおかげでそこは涼しかった。水田や池はあちこ ちにあり、木々も至るところに埋められている事もあってか太陽が照らす場所以外は比較的涼しかった。都市の 中心部の人通りが多い場所。商業地区に、ラキルは居た。この都市は、中心部に商業地区を置き、北部に交友商 会地区、南部に居住地区が設けられている。商業地区というのは基本的に物を売り買いする店舗などが多く、それ だけに人通りが多い。交友商会地区というのは、北部の街に対しての輸入輸出や、交流、共同のイベントなどを取 り計らう会などを開いたりする地域であり、農業をする人以外の有職者の四分の三はここで働いている。残りの一 は、商業地区で店舗を営む人たちだ。ちなみに輸入した品物などは商業地区に運ばれる。南部の居住地区はその名 の通り居住地域もあるが、それと同時に農家もたくさん存在する。それで何故居住地区地域と呼ばれているのかと いうと、農家のほとんどは、住家の近隣ですることが常だからである。 そしてラキルは、都市の中心部であ る商業地区に居た。 「すいませーん。近頃街中を騒がしているちょっとトチ狂った何かトチ狂ったような欠片 を探している人とかいないでしょうか?」 「トチ狂ってるかどうかは知らないけど……そんな話は聞いた事があるね 。確か居住地区の大きな屋敷にそんな人達が住んでて研究してるって話を聞いた事があるね」 「何気に馬鹿丁寧な説明 ありがとうございます」 「いえいえ。――何かむかつくけど」 そう言って、仕事をしているであろうスーツを着 たお兄さんはどこかへ行った。 「ふう、何かあれだね。やっぱりおじいちゃんおばあちゃんばっか相手してたのがここまでの敗 北の原因だったんだろうね。とても直射日光でやられてるようには見 えないけど……まあいいか。目的地は居住地区だ。南だったよね」 ラキル は南へ歩き出した。もう、歩く事は苦になってはいなかった。 昼の四時頃。ラキ ルは居住地区にある一際大きな屋敷の前に居た。 「お決まり設定だなぁ。贅沢言えないけど 」 屋敷は一通り回ったが、何処にも監視の手が行き届いている。屋敷は塀が高く、簡単には飛 び越えられない上に門の前には兵が居る。兵士は、上半身を鎧で固め、槍を装備していた。十分倒せる 。が。 「んー。どうしようか。重力制御はあんまし得意じゃないしね。門の兵を単純に通過しても 門そのものが閉まってるしね。不要に兵を倒しても門を越える事は難しいか。門はアウト」 ラキル は思考を再度めぐらせ直す。この屋敷の周りを回った時のことを思い出してみる。 「……そういえば 。あそこからなら行けるかな」 ラキルは屋敷の裏へと駆けだした。屋敷の裏と言ってもそこに特別 に何かがあるわけではない。ただ、少しばかり路地が狭いだけであった。となりの家も高く、塀くらいの 高さ、ゆうに八メートルはある。 「さーて。できるかっ」 ラキルは、塀へ向けて跳躍した。も ちろんそれで塀の高さまで届くわけは無かった。が、 「とうっ」 塀を蹴った。それにより体は更に 上へ、そして反対側の家の壁へ。そして家の壁へもう一度足を着け、更に蹴った 。それを繰り返し――ラキルは塀の上へ乗った。 「まあ、楽勝。後は、ここが外れじゃないことを祈らせてもらおうか。 ――とうっ」 下へ、屋敷の中へ向かって跳躍する。その下には、ガードマンである兵士が立っていた。しかしラキルは気に せず、兵士を後頭部から蹴った。ガッっという音がして、兵士は声を上げるでもなく倒れた。だが、内部の警備はそう甘くはなく。 「侵入者 だ!」 左右から兵士が何人も、こちらへ向かってくる。だがラキルは臆する事無く、 「こっからが本番だっ!」 ラキルは意識を集中した。 戻るときはプラウザの「戻る」をクリックして戻ってください。 |