癌の話4

またまた癌の考え方の基本について書きます。応用編はまた後ほど。

今回はまとめです。

癌の進行の仕方は4つあります。

  1. 血行性転移:肝臓、肺など癌細胞が血液の流れにのって転移していく。血行性転移といいます。以下に絵を示します。

  1. 播種:原発臓器を食い破り、癌がこぼれ落ちた状態です。癌は最初原発臓器の一番内側に発生します。その後癌はどんどん深く食い破っていきついに一番外側まで至ります。ここから癌細胞が細胞単位で腹腔内へただよっていきます。(腹腔内というのはいわゆるおなかをあけてぱっと見える、腸管や臓器の外側になっているところです。)これらの細胞が他の臓器や腸管の外側に着床し育ったものを播種と言います。読んで字のごとくまるで癌が種まきをしているようにみえるためこの名が付いています。通常これがあるとどんな臓器の癌であれ治すための手術は不可能になります。できないということではなくこの播種をどれだけとってもあとからあとから播種が出てくるからです。これは細胞単位の播種がその後に育ってくるためです。要するに播種があると手術時に判断された場合、たとえ肉眼的に10個しか転移が無くても、顕微鏡で見ると数万個の転移があるということなんです。

  1. リンパ行性転移:リンパ管を伝っていく転移です。リンパ管というもの自体がなじみが薄いものだと思います。血管と同様に体のあらゆる場所に張りめぐらされており、細菌の侵入や異物の侵入を監視しています。これらが侵入するとその一部はリンパ腺に到達します。その刺激でそれを叩きつぶすリンパ球が増殖しそれ以上の侵入をくい止めるというわけです。でも癌細胞は所詮自分の細胞です。(気が狂っていますが)そのため癌細胞が侵入してもなかなかこれに抵抗するためのリンパ球の増殖が起こりません。かくして転移が成立します。逆にあまり気が狂ってしまいもはや自分のものと思われないような細胞では転移は成立しません。ある程度までのリンパ腺転移なら外科治療で治せることがあります。

  1. 浸潤:まあこれは一番分かりやすいと言えば分かりやすいのですが、原発の臓器から隣接する臓器に癌が食いつくことを言います。ある程度までのくいつきなら外科治療で何とかなることもあります。

こういった細胞単位での発育をするため手術したのに再発と言うことが起きてしまうのです。手術中このような細胞単位での癌の発育は目で見えないからです。全部顕微鏡で見れば分かるだろと言う人のために次号では病理医という顕微鏡で癌を追っているドクターの話をします。