縫合手技についてひとこと
皆さんが大変苦労をしている縫合手技について外道的な立場からひとこと
研修医1年目は大概救急外来で患者さんの縫合を経験します。ここで救急での縫合のキモ
1.縫合は止血のためと心得るべし。
救急ではしばしば小さな傷にもかかわらず止血が難しい事があります。手術室でオーベンがあんなに簡単に止血しているのに。ちょっと待った。手術室ではあらゆる道具がそろっています。電気メス、止血用ターニケット、止血綿など。救急外来でこういった物がすべてすぐそろうというわけにはいきません。また予定手術で切開するのと外傷で担ぎ込まれてくるのではそもそもシチュエーションが異なります。また患者さんが酔っぱらっていることもありますし、抗凝固剤を飲んでいることもありますし、実は肝硬変なんて事もあるのです。救急では多少傷跡が残るのは覚悟してもらってとにかく止血のための縫合であることを自分自身にも患者さんにも知ってもらう必要があります。ERなんか見てますと盛んにステリストリップで止めた傷が出てきますが、テープなどで止めてあとで出血して再診ではしゃれになりません。多分あの番組のスポンサーにスリーエムがついているものと思われます。
2.縫合でも止血が困難な傷に当たることもあります。ベローンとむけてしまった傷や指先などで欠損を伴う場合です。止血の第一の方法はなんでしょう。そう圧迫です。最高2日間も押さえておけば完全に止まります。な、長い。そんな暇はないという方(あるわけねーだろ!)は最低でも10分、凝固能力が欠けていると思われた場合は20分押さえてみてください。まずたいがいは止まります。止血の次の方法というかぴゅうぴゅう出ている場合、先ほどの話のように縫えば止まります。出来れば吸収糸でやってあげてください。予定手術でオーベンがつまんで止めているのをよく見かけると思いますが、救急の場合不確実です。私の場合一番困ったのは若い女性のリストカットでした。動脈が見えているのでつまんで結んでしまえば簡単なのですが、将来的に困るかもと余計なことを考えた私はオーベンを呼び血管吻合をしてもらいました。でもよく考えるとまた切るんだから単純にやっておいた方が良かったのかもしれません。
3.言い遅れました。外傷の傷は不潔です。よく洗うことが先決です。この際出来れば洗う前に局所麻酔をしてあげてください。あわてると意外と忘れがち。指先などでは痛みが強いので伝達麻酔をしてあげてください。
縫合のあとは抗生剤と痛み止めを出すことを忘れずに。傷跡が残るのがどうしてもいやという方には近所の形成外科(美容形成ではありません)を紹介してあげてください。あとは明日外科外来など消毒をしてもらえる科を受診するように勧めてください。当日のアルコールはやめてもらうように。(血が出る上に痛くなる)入浴も当日は同様の理由でやめてもらってください。
傷の処置の最近の傾向、マットレス縫合のこつなどはまた後ほど。今回はあまり外道じゃなかったかも。