中心静脈の二次攻撃
では珍しく前回の続き。(いつも後述と書いておいて全く続編がないのに気がつきました。)右鎖骨下静脈で当たらないとき。いろんな場合があります。自分自身で結構驚いたのは左右で鎖骨の太さが圧倒的に違う人。何の仕事をやっていたのか忘れましたが、明らかに右の鎖骨の方が遙かに太くなっており、右鎖骨下からでは全く入りませんでした。太さの違いに気付いたのは後からなのですが。では二次攻撃のステップについて以下述べます。
右がだめなら左があるさというわけで左を刺すことになるのですが、どちらにしろあまり粘らないようにすることが肝心です。下手をすると両側の気胸になり目も当てられません。余談ですが、開胸予定の手術の場合原則的に開胸する側から穿刺するのが安全です。いざ気胸になっても後日開胸するのであればさほど問題にはなりません。(反対側だと手術中止になってしまう可能性もあります。)
左鎖骨下静脈穿刺:左も同様に鎖骨の真ん中の出っ張りよりやや腕側から刺します。カテラン針で刺さないのは前回述べた理由で同様です。この穿刺では比較的楽に上大静脈へとはいるのですが、無名静脈、正式名称左腕頭静脈というのは結構長く、少し深めに入れないと上大静脈には達しません。14cm以上は必要だと思います。途中で止まっていると血管炎をおこしたり、最下甲状腺静脈へ迷入したり(実際経験しました。その後カテは血管壁を突き破り頸部に水腫を作っておりました。)とトラブルに見舞われます。むろん頸静脈にはいることだってありますし、一番傑作だったのは右の鎖骨下静脈にも入ったことがあります。なんて笑っていたら、副甲状腺(上皮小体)腫瘍の局在を確かめる際のカルシトニンの測定にこの迷入テクニックを使っていた猛者もいて、なるほど人間というのはただでは転ばないものだとうなってしまいました。
右内頸静脈穿刺:これについてはあまり外道的な意見はありません。教科書通り胸鎖乳突筋の鎖骨枝胸骨枝の合流部から刺します。動脈を手で脇へよけておくことが肝心です。この操作ではカテラン針は絶対必要がありません。通常の針で必ず届きます。慣れれば一番安全で確実な方法ですが、消化器外科の患者さんのように長く使う場合、首での固定はやりにくく、患者さんの苦痛も多いようです。左の内頸静脈穿刺は一般的にやってはいけないと言われています。さてなぜでしょう?自分で調べてください。
大腿静脈:意識障害があり暴れている患者さんではここが第一選択になります。万が一暴れて針先がそれても生命に別状のある臓器には刺さりにくいからです。右大腿静脈の方が左よりは刺しやすい様です。内側よりVANと並んでいるため、右からだと動脈を外側によけやすいからです。場所柄不潔になりやすいので管理には気をつけてください。また大腿ヘルニアのある患者さんには禁忌?です。割合浅めのところを走っていますのでたいがい本穿刺でも針をひいてきたときに当たることが多いようです。そのためカテの送り込みの際に内筒だけ入っている状態になってしまい、カテが入らないこともあるので根気よくやってください。ちなみに気胸の危険はありません。(読者をばかにしとるんか!おっさん)術後の患者さんの場合深部静脈血栓症などおこしていると血液の逆流がないということもあります。ついでにフォガティカテを入れて血栓除去するのも一興かと思います。
新研修医君たちに一言