医薬分業
最近よく聞く言葉ですが、その実態は余り知られてはいません。その利点欠点も明らかにされず、一人歩きしている感があります。
まずどういうことかということです。これまで医師の出す処方はおおかたは病院内の薬局へ提出され、患者さんは院内の薬局で出される薬を待っているという形でした。要するに病院へ行くと薬のおみやげがついたのでした。これが分業になると病院からのおみやげは処方箋という紙切れ一枚になります。これを処方箋薬局という病院の外にある薬局に出して薬を買うという形になったのです。病院の中で薬をもらっていたときも薬は買っていたのですが、病院のレジで一緒に請求されていたのです。
今のところ厚生省はこれをかなり推進しています。(厚生省がなぜこれに肩入れするのか本当のところはわかりません。)
- 患者さんにとって:利点はこれまでのように院内で薬を延々と待っていなくてもよい。家の近くか便利のよい薬局で薬を待たずにもらえるわけです。具体的にはこれだけです。患者さんへの薬の説明が行き届くとかも言われていますが、これは院内薬局だろうが処方箋薬局だろうがやるところはやるし、やらないところはやらないのです。欠点は若干高くなることが一つです。もう一つこれは非常に大きな問題ですが、医師と薬局との連携が悪くなる可能性が高いのです。院内薬局のように連絡の取れるところですら、薬の内容の説明の食い違いで混乱するくらい医師と薬剤師の連携は余りよくないのです。(もちろんさっきと同じで連携しているところはよくやってます。)これが普段顔を見たこともないもちろん話しもしたことがない処方箋薬局の薬剤師との連携がより悪くなってしまうことは仕方のないことです。これをカバーするような工夫をするとすればファックスまたは電子メールによる情報のやりとりになりますが、これも病院がいつでも対応ができる形にする必要があります。病院のファックスは一般に外来などより事務においてあり、来たファックスを直ぐ医師に取り次ぐことはムリだと思います。すると結局わかりにくい処方箋を院外薬局に出した場合医師に確認して実際薬がでるまでかえって待たされることになります。
- 医師にとって:どう逆立ちしても利点はありません。まず手書きの場合院内であれば字の癖を薬局はある程度知っていますから読み違えることは少ないのですが、院外ではこれがしばしばおきる可能性があります。印刷だとよいかというと今回の処方を前回と変えたりするといちいち訂正印がいります。(院内はいりません。)また採用している薬の種類も違うため一錠のmg数が違うことによるトラブルもあります。(本当はすべて処方は薬Aを何ミリグラムと書くべきでしょうが、院内の処方では何錠3回にわけてみたいな簡略的な書き方がほとんどです。)
- 薬剤師にとって:一番特をするのは一見ここのように見えます。しかし院外処方箋薬局を作るとまず初期段階で多数の薬を仕入れて用意する必要があります。また在庫の管理が大変です。院内の場合相手は一つの病院のみですが院外の場合多数の病院を相手にするわけで、薬の種類も増えてしまうわけです。
斬る! 結局院外処方箋薬局は現状の医療体制の中では無用の長物です。みんな大変な思いをするだけなんです。医薬分業と言うより現在必要なことは薬剤師の地位の確立です。せっかく国家試験を通ってきているというのにやっていることは薬を包んで渡すだけでは資格が泣こうというもんです。包んで渡すのは資格のない人でもやれるように制度を変えるべきです。