わからん厚生労働省1
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久々のアップです。(誰も読んでないか)今日の新聞では厚生労働省の発表として全国6700の施設アンケートから病院、診療所の収益状況、病院長、勤務医、看護師の給与状況が報告されていました。病院増収診療所増収だそうです。私の勤めている病院は前年比すべてマイナスです。目立った院内の機構の変化はなしです。通常前回の医療費削減でかなりマイナスになっているはずなのにです。診療所についてはよく分かりませんが、これも知り合いの話からするとあまり芳しくないはずです。なんで増収になったかです。おそらく(想像ですが)黒字になった病院ではかなりのリストラがなされたのではないでしょうか。リストラ結構、世の中みんなそうではないかというあなた、完全にだまされています。日本の病院の従業員の数たるや諸外国に比べ遙かに少ないのです。アメリカなどと比べると寒くなるような数字です。なんでそんな少なくても出来るかというと個人個人が複数個の仕事をこなすからです。逆に言うと仕事の縄張りが緩いのです。事務職の方が患者さんを検査室まで車いすを押して連れて行ったり、医師が患者さんの搬送を行ったり、レントゲンを撮ったり、フィルムを運んだりという具合です。こんな事を外国でやったら専門の人に多分怒られるでしょう。仕事をとったという意味で。増収になった病院は多分リストラか従業員の給与引き下げを行ったものと思われますが、ただでさえ少ないスタッフを減らすとそのサービスの低下は目を覆う物になります。リストラの他にはアウトソーシングという手があります。しかしこれをやるとその部門でスタッフが曖昧ながらもこなしてきた仕事は全く派遣社員達は行わないため他の部門のスタッフの仕事は当然増えます。ますます患者サービスは落ちます。さらに儲からない患者は受け入れない病院もかなり含まれているかと思います。アメリカの話ではありません。儲からないと見ると近所のお人好しの病院へすべて送ってしまうというとんでもないというか黒字ほくほくの病院が実在します。(当然うちはお人好しですが)よく読むと病院の収益としては赤字となっています。赤字幅が今回は小さくなったと。よーく考えてください。病院だって雲や霞を食べて生きていけるわけではありません。市民病院、農協系列病院、準公的機関病院(これらが大きな病院の大半を占めますが)ではなんとか税金からの繰り入れなど支援を受けて何とかやっているのです。赤字だからやーめたとはこれらの病院は言えません。地域の人の死活問題になるからです。
一方勤務医の(私もそうですが)収入が上がったとあります。通常赤字の状態で人件費を上げる病院などありません。私も都市部の病院に勤めていますが、あがっている実感はありません。どこであがっているのでしょうか?まずは研修医達です。最低限を保証しなければ研修医受け入れが出来ないためそれまで雀の涙であった大学病院などが軒並み初任給を上げています。これだけでもかなりあがります。これまで月収5万が20万くらいになるのですから。さらに地方での人手不足があります。宮城県三重県など多くの県(東北は軒並みだそうですが)で県が医師の公募をしております。当然需要供給のバランスで給与は上がります。なぜ地方に医者がいないか。私の病院でもそうですが地方の医学部を卒業した研修医達はやはり故郷の病院をマッチング(現在厚生省が音頭をとって研修病院と研修医のお見合いをさせています。これは大変結構なことだと思います。)で希望する傾向があります。また地方出身で都市部の大学を卒業した研修医達は故郷へは戻りません。母校の医局の人事にほとんど乗っかってしまいます。地方にはますます医者が足りなくなり高い初任給で研修医を引っ張るしかなくなるわけです。結果都市部は変わらないが地方では給与が上がる、研修医の最低年棒があがるというわけであの5%増という結果になったものと思います。
自画自賛になりますが、勤務医がいなければ医療にはなりません。黒字ほくほく病院が見捨てるような困難な手術を受ける患者さんは見殺しになります。しかし勤務医には医師会はほとんど役に立ちません。医師会の実力者はすべて開業医です。まあ医師会としても金を納められない勤務医などどうでも良いのでしょうが。また労働組合もなく、労働基準監督局も全く立ち入りません。勤務医の仕事はどうやら労働ではないようです。
増大する医療費をなんとかしろという厚生労働省への厳しい注文はよく分かります。しかしそれよりも重大な問題がたくさんあります。医学部は相変わらず文部科学省の管轄で医者など育てなくて良い、研究者を育てろ!で医学教育の改善など望むべくもない、しょうがないから卒業後の教育を何とかしようと厚生労働省が研修カリキュラムを作ると「誰が教えるの?」「老健施設に見学に行く暇などない」「精神科のローテーションがホントに必須なのか?」など文句の言われ通しです。実際医者の教育というのはある意味ボランティアで成り立っています。誰もほめませんし報酬もありません。教える方の手当、教わる方の給与保証を実現させると病院はとんでもない赤字を抱えることになるでしょう。教えるべき資格も全く曖昧なままです。最低限の医療費でそこそこの医療レベルを達成しているということでWHOが世界第1位に評価している日本の保険制度ですが、これ以上医療費を下げようとすれば多分崩壊せざるを得ない状況になると思います。本来日本以外では金がないものは医療は受けられずにのたれ死ぬしかないのです。医療費を下げたければ医療費における生活保護廃止、医療保護廃止をおこない、(3割負担)金がないものはのたれ死ぬ体制を作るしか手はないでしょう。さらに日本が世界一の長寿であることも医療費増大の原因になっていると思います。手術をして助けても経済効果がない(その後働けない)人をあまねく助けているのが現在の状態ですが、これほどの赤字はないはずです。
私自身結論はありません。増大する医療費を消費税などの財源でまかなうしかないかなあくらいしか考えておりません。ここは優秀で県知事よりも絶大な権限を持つ厚生労働省の課長さん達に考えて頂くしかありません。
結論:やっても見返り(天下りなど)のない医学教育だのは正直手がけたくないのは判ります。医師会にもあちこちの教授にもつるし上げられて。しかし次世代の医療を考えるのはあなた達の義務です。よーく考えてね、厚生労働省さん。