虫垂炎について
いわゆる盲腸、業界人がアッペとかアッペンと呼んでいるこの病気の最近の傾向についてお話しします。
上の絵のように小腸がおわって大腸に入ったところについているのが虫垂です。小腸を通り抜けてきた食べ物などの腸内容はここでは非常に水分の多い便の状態になっています。この便は虫垂にも入ったり出たりしながら大腸の終点(肛門)に向かって運ばれます。
虫垂は袋状になった腸ですが、この袋の入り口(出口でもありますが)が何らかの原因でふさがると中にたまった便の中の細菌が活動し始め炎症を起こします。(どぶなどでも流れが悪くなるとばい菌が活動してメタンガスを出しているのと同じ様な原理です。)虫垂は腫れ上がり中に膿がたまった状態になります。
症状としては最初臍のあたりが痛くなりそのうち右下腹部へそれが移動します。熱も出ますが、たいがいの場合微熱です。とここまで読んで<なんだ簡単な病気だ。わたしでも診断できる。>と思ったアナタ、アウトです。虫垂炎と似た症状を起こす病気はそれこそゴマンとあるのです。また虫垂炎であっても上のような典型的な症状を示さず、最初からおなか全体が痛くて転げ回ることもあります。診断は業界の人に任してください。私らでも時々外しますので。(誤診といわれないように手術前に他の病気の可能性も説明してしまうわたしは臆病者でしょうか・・・。)
さて最近の傾向ですが、まず手術を避けるようになりました。私が研修医であった頃(10年以上前ですが)疑わしきは切れでした。薬で散らしてもらえないかと患者さんに言われますと、「散らしておいてもまた切ることになるんですぜ。へっへっへっ。」などと決めぜりふをはいたものです。しかしあけたら卵管炎、卵巣出血などと言うことも結構ありました。現在ではCTとか超音波の進歩のおかげで、内科的治療をしながら経過が画像で追えるようになりました。(ただし入院です。)この方法で虫垂の腫れがとれて、切らずに治っちゃうケースも増えてきました。
なおこの内容をとある定期配布物にのせたところ、なぜか検閲されており、文章が変わっておりました。医者としての品格にかけたのでしょうか?
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