再びお金の話
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某放送局の報道特集を拝見して久々に田○み○ずさんに頭から肥をかけたくなりました。この番組普段は問題を1点に絞り論評をするのですが、ものが医療になった途端問題を2−3点にばらけさせしかも一方的な紹介に終わるという最悪な結果でした。
確かにこの医療問題では些末な点を除けばいつもマスコミのやる仕込みは少ないかもしれません。全然分からないからです。分からないと何を出すかというと定番なのは”救急医療最前線””神の手の医師物語””不治の病に立ち向かう○○ちゃんの物語””本当は怖い何とかの医学”といったところです。やるなとは言いませんがあまりに定番な上、毎度同じ切り口でいい加減うんざりしてきます。そして今回出てきたのは”アメリカの医療”でした。舞台はアメリカのがんセンター、見放されてしまった患者でも様々な臨床試験の医療を自由に選択でき幸せだわーというものです。臨床試験というのはそもそも何かというと実験台になるということです。ときに我が国で行われている臨床試験も患者さんに勧めると”実験台はイヤ”としばしばいわれてしまいます。実験台ということはその内かなりのパーセントのものは試験のまま終わり実用化されない、つまり効かないかまたは副作用がすごくて耐えられないものということなのです。
だいたいマイケルムーア監督のシッコのなかでさんざんたたかれているアメリカの医療が天国な訳がありません。予算があればきっとムーア監督はキューバではなく日本に患者を連れてきたと思います。なぜ臨床試験を受けるか。ここから今回のお題に入ります。臨床試験ではない通常の治療ではアメリカはかなり高額の費用が必要です。使用する薬剤はもちろんです。アメリカには保険などありませんので薬の代金などは薬剤メーカーが決めています。日本は厚生労働省が決めており、医療費削減のためかなり薬代も安く抑えられています。ついでに言うならば厚生労働省は年々薬の値段を下げます。新薬は高いけどそうじゃなきゃどんどん安くなる訳です。確かに患者さんにとっては福音かもしれません。しかし長く使われる薬というのはそれだけ安全性も確立されており信頼度の高い薬なのです。これを安くされるのに平気な製薬メーカーは効くかどうか分からない新薬を高額に設定してもらうことによって何とか収入をカバーしています。
前向きななデータを出す臨床試験になるとアメリカではそれにかかる費用を負担してくれるのです。効くかどうか分からないけど。そこまでに個人の保険を使い切ってしまった人にとってはもうこれにすがるしかないわけです。(もっとも保険の種類によっては外資系の保険会社は厳しい制限を付けます)
国内ではどうでしょうか。既に結論の出ている薬剤は国内でも使えます。(ただ日本人のデータがないという致命的な欠陥がありますが)これはむろん保険も利きますし高額医療費の扱いも適用されます。選択も自由です。場合によってはこれは抗癌剤を使った方がと思われても本人の意志で拒否されることも全然珍しくありません。よほど日本の方が患者さんの意志に沿っているように思えるのですが。日本人の抗癌剤についての前向きなデータが出ないのもその辺りにあります。保険で費用がまかなわれるのでどの治療を受けようが受けまいが本人の勝手なわけです。お金がないから前向きデータを出す臨床試験に参加しなければならないのとは大違いです。蛇足ですが番組内でセカンドオピニオンはアメリカのがんセンターでは50万から80万円かかると報じておりました。何で国内の事情を報道しないのでしょうか。セカンドオピニオン外来は高くても1万円程度です。ただのところもあります。
ではなぜアメリカの医療費は高くなるのでしょうか。答えはそれぞれ専門家がいて、それぞれ医療費を請求するからです。チーム医療だから安いと思ったら大間違いです。以前知り合いが腹痛でハワイの病院に入院しました。内科医が診察すると診察料、外科医に診察を頼むと追加で診察料、さらに婦人科に頼むと更に診察料で1週間で100万ほどかかったそうです。考えてみれば当たり前ですが、国内では入院中に主科以外にどれだけ診察を頼もうともそれがたとえ100診療科に頼んでも料金は変わりません。患者さんに請求できる料金だけではなく病院に入ってくる料金も一つの科が診療したものと全くかわらない訳です。
また診療報酬がどこにはいるかも違いになります。外科医の話しかできませんが、国内では手術料は一切外科医の懐には入りません。病院に入ります。一方アメリカでは手術料は全て外科医の懐に入ります。このお金でアメリカの外科医は秘書を雇ったり自分の必要な人間のサラリーを払うわけです。(病院自体は入院収入でまかないます。)
ですから当然日本では医療秘書など無いに等しい状態で、今回医療秘書を雇うといくらか保証してやるよと保険が点数を設定していますが、彼らのサラリーをまかなうだけの点数を保証しているとはとても思えません。
外資系の薬剤メーカーにとっては臨床試験は出来ないは薬価は厚生労働省が値切るはでこれが障害になります。自国でこれだけの値段で売っているものを日本で発売しようとすると厚生労働省からとてつもない安値を突きつけられあえなく撤退というわけです。メーカーによっては日本市場にその薬を出さないところも出てきます。
ちなみに消化器癌でもっとも使われている5FUという薬は国内で作られており250mg1本約250円です。最新の大腸癌治療でこれを4000mgほど使いますが、それで4000円です。しかしその効果を増強するために使われている薬はその何十倍もするわけです。
結論;アメリカを賞賛するメディアはどう見てもオリックスの手先です。儲かることだけやるのならとうの昔に日本の医療は崩壊しています。安値で医療を支えるというのは限界に達しています。7対1看護でNs達はどんどん条件の良いところへ引き抜かれていきます。結果急性期の病床自体が減少しています。(厚生労働省は多分これで慢性期病床を減らせると踏んだのでしょうが)このような急性期病床が減ると予定手術の患者さんの方が査定も少なく(保健者による医療費の踏み倒し)救急のような査定の多い損な医療をやる病院は皆無になり、たらい回しはこれまで以上に増え続け、医療政策に困った私立病院はひたすら儲かる医療しかしない。病院が儲けるということに目くじらを立てる人がいますが、多少の黒字がないとものすごく困るのです。病院は常に古くなります。耐震設計基準にも合わせる必要があります。これには病院の黒字を全てあてているのです。赤字の病院はこのようなリニューアルが出来ず患者をとんでもない危険にさらすことになります。それで良いのなら病院は赤字に甘んじますが・・・。