やさしい一般外科講座
4.その他のチューブ類について(胆管編)
- 胆汁チューブ:入れる部位によって呼び名が違ってきます。どれも胆管内または胆管空腸吻合部近傍に先端があります。
- PTCDチューブ:経皮経肝胆道ドレナージチューブのことです。PTBDと呼んでいるところもあります。手術する前や手術をしない場合に入れています。文字通り皮膚から肝臓をとおして肝臓内の胆管に針を刺し、それを通してチューブを入れます。肝臓を刺すと簡単に書きましたが、肝臓は血管だらけの臓器で、下手なところに刺すと出血してしまいます。多くの施設では超音波を使って針の行方を見ながら胆管を刺すという方法をとっています。右側の胆管をねらうときは右の前胸部から、左側の胆管を刺すときはみぞおちから刺します。右から刺してあるときの注意点。通常は腹腔内を経由するのですが、時に一部胸腔内に穿刺針が入ってしまうこともあります。気胸や血胸になることがあるので、術後呼吸困難を訴えるときは注意して下さい。また右の場合は呼吸による肝臓の移動距離が大きいので((横隔膜の運動に伴い吸気時は肝臓が下がり呼気時は肝臓が上がります。)折角刺さっていたチューブが抜けてしまうことがあります。でてくる胆汁の量にも気をつけましょう。左から刺してあるときの注意点。大きな血管がそばにあるため、出血に要注意です。血液がチューブからでていないかよくみてください。あとここまで注意しなくてもいいのかもしれませんが、PTCDが入っているときは術前の肺活量検査に気をつけて下さい。(私は原則的にやりません。)先の肝臓の移動によってチューブが抜けてしまう危険が高いからです。
- RTBDチューブ:すいません、何の略かよく知りません。刺し方としてはさきのPTCDの逆と考えてもらえばよいです。手術中に入れますが、切開してある胆管にまず先端に針のついたチューブを入れます。この針を操作して胆管内から肝臓を刺し、肝表面に針先を出します。肝表面にでた針でさらに腹壁を貫いて皮膚の上にチューブを引き出します。PTCDが皮膚→肝臓→胆管なのに対し、胆管→肝臓→皮膚とチューブを進めるわけです。総胆管結石の術後の場合、先端は胆管内にあるので通常は黄色の胆汁がでてきますが、緑色になった場合は深くなって十二指腸内に入っていることがあるので色に注意して下さい。他に胆管空腸吻合の術後にも入ることがあります。このチューブの最大の欠点は、たまにチューブ周囲に瘻孔が出来ていなくて、抜いたときに腹腔内への胆汁漏れがおきることです。チューブを抜いたあとの腹痛に注意して下さい。
- ENBDチューブ:ERCPという検査をご存じでしょうか?口から内視鏡を入れて十二指腸まで進め、十二指腸乳頭よりチューブを胆管や膵管に入れて造影する検査です。このチューブはこの手技の応用で乳頭から胆管内にチューブを入れてそれを胆管ドレナージに使うわけです。手術前に使うことが多いのですが、術後のトラブルがあったときにも一時的なドレナージとして使うことがあります。鼻や口を経由するため長期の使用は患者さんの負担になりますので。
次回は膵液チューブについて。
