やさしい一般外科講座
5.その他のチューブ類について(膵管編)
- 膵管チューブ:あまり一般的に入れるチューブではありません。膵臓の手術後にはいるのが大部分です。
- 体外に出ている膵管チューブ:膵頭十二指腸切除の際、膵腸吻合または膵胃吻合を行う前に、あらかじめこのチューブを膵管内に入れます。吻合部を通し、1.腸管内を通して皮膚に出す。2.腸管内を通し、さらに胆管空腸吻合部を通し、肝臓をRTBDチューブの要領で刺して皮膚まで誘導する。という2つのチューブの出し方があります。1の場合いわゆる腸瘻になっているのですが、欠点としては腹壁に固定した腸管が原因となり腸閉塞をおこすことがあります。2の場合RTBDと同じですので、チューブを抜くときに瘻孔が作られていなくて、腹腔内に膵液が漏れて腹痛を起こすことがあります。この体外に出ているチューブで注意するのは、PTCDと同様ですが、呼吸性の移動でチューブが膵管から抜けてしまうことがあります。私自身の経験ですが、術後7日目に膵管チューブからの膵液の排出がいきなり止まりました。と同時に吻合部付近のドレーンから透明な液体がドバドバ出始めました。レントゲンでチューブが抜けているのがわかり、すわ膵液による腹膜炎になるかと真っ青になりました。膵液による腹膜炎は腹部の手術ではもっとも重篤なトラブルで、膵液の消化作用によりあちこちがどんどん溶けていきます。もっとも怖いのは血管の壁が溶けることまたは血管を結んでいた糸が溶けることです。どちらにしろ大出血を起こします。ショック状態になると一旦出血は止まりますが、数日経つとまた大出血を起こしショック状態になります。幸いにして私の患者さんの場合膵液は瘻孔(いろいろな臓器で囲まれてトンネル状になっていること。当然よそに漏れないので腹膜炎にはなりません。)になっていたため、この漏れによる合併症はありませんでした。私の師匠はこういうトラブルに造詣が深く、漏れたと見るやお腹の傷を開けっぱなしにして極力膵液が体外へ出るようにしていました。さらに生理食塩水による持続的な洗浄も救命に効果があるといわれています。こういう実戦にたけた素晴らしい医者もいますが、片方には何も知らないうえに知ったかぶりをして事態を軽視したり、無視したりする医者もいます。当然患者さんは重体になります。看護婦さんにとって大事なことはドレーンから出ているものの観察と出血の有無です。出血があるようでしたら直ちに主治医に連絡して下さい。
- 内瘻チューブ:これは吻合部を通してチューブを入れておいて短く切っておくというやり方です。体外へは膵液は出てこず、腸や胃の中に出てきます。外瘻チューブに比べるとチューブが引っ張られて抜けるというおそれはないのですが、固定が悪くてチューブが早期に抜けてしまえば同じような事態になります。ドレーンの性状の変化に気をつけて下さい。
次回は人工肛門の基礎について。
