やさしい一般外科講座
3.その他のチューブ類について
- ドレーン以外にもいろんなチューブが術後は入ってきます。チューブの観察の仕方を紹介します。
- IVH(中心静脈栄養チューブ):皆さんおなじみのCVとかIVHとか呼んでいるチューブです。入れる部位としては両鎖骨の下、上、両方の頚静脈といろいろはいるところがあります。入れる部位としては、長期にわたってはいる場合は患者さんにとっては鎖骨下が有り難いようです。というのは首から入ってたりすると意外と首の向きを変えるときなどもチューブが邪魔になることがあるためです。
まあ別に何処から入れても最終的には上大静脈内にカテ先があればいいのですが、カテ先は意外なところに入ったりします。(透視下で入れればいいのですが、なかなか患者さんを透視まで連れていけないのが現状です。)右の鎖骨下から入れた場合、首の静脈へ行ってしまうことは結構あります。通常あまり問題になりませんが、上大静脈よりは血流が少ないため静脈炎をおこしやすく、時に首の辺りが赤く腫れてくることがあります。(エー皆さんご存じだと思いますが、もう一度確認、中心静脈栄養で入れる点滴溶液は糖濃度がとても濃いために、末梢から入れると静脈炎になってしまうのです。血流の多い心臓の近くではこれが薄まるため静脈炎にならないのです。)入れすぎるて右心室までカテが入ると不整脈をおこすことがあります。他にも反対側の鎖骨下静脈に入ったり右の鎖骨下静脈の末梢に行ってみたりとありとあらゆることがおきます。まあこれも静脈炎に注意となります。
輸血に関しては私見としては赤血球は入れてはいけません。何故かというと輸血は通常中の赤血球が壊れていくためにかなりカリウムが高い状態になっているからです。またしっかり温めてから入れるという原則は守られることが少なく、冷えたカリウムの高い溶液が心臓に直接流れることにより心室細動などの致命的な不整脈をおこす危険がでてきます。
最後に感染の危険について。皆さんが考えているよりはカテーテルの感染は多いのです。外科医者でも知らない人は結構います。症状としては割と一定の時間にかなり高い熱がでる、その割に本人がけろっとしている、くらいですか。特に側管からの点滴を開始したあとなどはおきやすいので注意して観察して下さい。(3方活栓の中はばい菌の培地になりやすいのです。)治療としてはカテーテルの抜去です。
- 胃管:昔の外科の本には術後の急性胃拡張?の予防のため入れておくと書いてあるのを見たことがあります。が、どっちかというと入れたためにかえって患者さんが空気を飲み込んでしまい、胃がはってしまうことも多いような気がします。基本的にはもう現在術後ほとんどいらないんじゃないかと思っています。
胃管を入れることによる害:まず患者さんにとって咽頭痛や鼻の痛みが強いです。次にチューブによる違和感のためか痰が出しにくいということもあります。最後に耳管開口部(のどの所に耳とつながる管が開いてます。)をおさえてしまい、耳の異和感を訴える人もあります。
胃管を入れたことによる利点:術後に胃にたまってくる消化液や血液を外に出してくれる。まあ胃の手術なら関係あるかもしれません。また胃を温存する膵頭十二指腸切除のあとも結構胃の中に消化液がたまることがあります。しかし、まず胃を全部取った場合、小腸内にあまり消化液は逆流してきません。経験的に胃全摘のあと胃管からの排出量は翌日からだいたい100ml以下であまり入れている意味はないようです。胃切除のあとも一日くらいはいるかもしれませんが、いくつかの例外を除いて、やはり排出量は少ないようです。また多くても抜いてしまってあとで困ったことはあまりありません。
膵頭十二指腸切除の場合は胃からの分泌も多くさらにこれがなかなか腸に送られない(腸管の麻痺が長く続くため)ため、吐いてしまう人もありますが、一般的にこのような場合には胃瘻といって別に胃液を排出させるチューブを入れますので、胃管はあまり必要ではありません。
結論:食道の術後でも術後全く入れない人もいるくらいで、かえって抜けてしまったとき迂闊に再挿入すると吻合部を傷つける結果になることもあります。ですから胃が残っているときは吸引をし、胃が残っていないときは吸引の必要はないという原則以外は特に覚えてもらう必要はないようです。むしろ内科的な病気の場合の方が重要になります。
次回は胆汁チューブや膵液チューブについて。
